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名作RPG「MOTHER2 ギーグの逆襲」の貴重なデータが眠るフロッピーが26年の時を超えて発見される


コピーライターの糸井重里氏がゲームデザインとシナリオを手がけたことで知られる、1994年にスーパーファミコン向けに発売されたRPG「MOTHER2 ギーグの逆襲」は、日本だけではなく海外でも強い人気を誇ります。そんな「MOTHER2 ギーグの逆襲」のデータが眠ったフロッピーディスクが四半世紀を経て発見されました。

A Forensic Analysis of EarthBound's Deepest Secrets | Video Game History Foundation
https://gamehistory.org/earthbound-script-files/


“Deleted” Nintendo floppy recovered 26 years later, full of Earthbound secrets | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2021/06/earthbounds-original-translator-parses-new-game-secrets-found-26-years-later/


「MOTHER2 ギーグの逆襲」はファミリーコンピュータ向けRPG「MOTHER」の続編ですが、内容としては前作のリメイクに近い作品です。海外では1作目が発売されておらず、「MOTHER2 ギーグの逆襲」が「Earthbound」という名前で発売されました。「UNDERTALE」など、海外のゲームには「MOTHER2 ギーグの逆襲」の影響を受けたと公言するタイトルも多く、その人気の高さがうかがえます

インディーゲームの開発者であるCarried Away Gamesことマーカス・リンドブロム氏によれば、2018年に奥さんから片付けるようにいわれた古い箱の中に、2枚のフロッピーディスクが入っていたのを発見したとのこと。1枚には「Nintendo」というロゴとマリオがラベルに印刷されています。もう1枚のフロッピーディスクにはエイプのロゴが描かれ、ラベル部分には「Earth Bound Message File 03/25 version」と手書きされています。

So my wife hands me an old box of stuff to clean out, I find these... crazy. The second looks like it was at the time I was working on EB. But of course, I have no floppy drive anymore... I'll hold onto them until I have a chance to read them somehow. pic.twitter.com/2B2lmRy2PY

— Carried Away Games (@CarriedAwayGame)


リンドブロム氏は「MOTHER2 ギーグの逆襲」のローカライズを担当していた人物です。そのため、このフロッピーディスクの中には「MOTHER2 ギーグの逆襲」のセリフデータが含まれていると考えられました。しかし、歴史的に貴重なゲームの保全活動を行うVideo Game History Foundationがフロッピードライブを用意し、このフロッピーを読み込んだところ、「Earth Bound」と書かれたフロッピーはすでに中身が削除された上で、無関係の作業内容が保存されていたことが判明。

それでもVideo Game History Foundationは削除されたデータをサルベージすれば、データを見ることが可能になると考え、フロッピーディスクの解析を行いました。リンドブロム氏が「MOTHER2 ギーグの逆襲」のデータを消した後に書き込んだのは、非常に短いテキストドキュメントのみだったこともあり、削除された「MOTHER2 ギーグの逆襲」のデータはほぼ完璧にサルベージできました。

以下はローカライズ用に用意されたゲームのスクリプトファイルの一部で、エイプが独自に開発したスクリプト言語によって記述されている模様。中身は会話やカットシーンの日本語ファイルや英語ファイル、さらには開発者向けのメモまで含まれていたそうです。


また、含まれていたデータは市場でリリースされた完成版のものではなかったとのこと。そのため、開発途中で変更されたセリフも残っていることがわかりました。

例えば、日本語版だと「◆このみち シーリンに つづく。‥‥って かいてあるんでしょ?」というセリフは、当初「・This road leads to Shelin.…does it say so?」と訳されていました。しかし、この「シーリン」は、「ツーソン」という町名のカタカナ表記を読み間違えているというネタ。そのまま「Shelin」と訳すのは意味合いがずれてしまうため、完成版では別のセリフに変更されています。


また、スリークの町で看板を調べた時に出るセリフが完成版(画像右)と異なり、糸井重里氏のよりメタ色の強いメッセージだったことが判明しました。


さらに、「MOTHER2 ギーグの逆襲」は何度も開発が頓挫しかけていて、一度はほぼ一から作り直しになったことで知られています。「MOTHER2 ギーグの逆襲」には度重なる開発の遅れを自虐めいてネタにしたセリフも散見されますが、海外版の「Earthbound」は予定通りに発売されたことから、自虐要素が減らされていたことも判明しました。


他にも多くの新発見があったことから、Video Game History Foundationはリンドブロム氏のフロッピーディスクは非常に貴重な資料であると評価し、「25年も前の古いゲームで、今もなおこれだけ多くのことが発見されるということが信じられません」とコメントしています。

なお、サルベージされたスクリプトファイルはInternet Archiveで公開されています。

EarthBound SNES Source Code Scripting Files : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/earthbound-source

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in ゲーム, Posted by log1i_yk

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