85億円もの売上をフォートナイトやPUBG MOBILEのチートツール開発者が得ていたことが判明

オンラインゲームにおけるチート行為は、ゲームバランスが崩れたりユーザーが離れる原因になったりと、ゲーム開発者にとって悩ましい問題であり、さまざまな方法でチートツールへの対策が行われています。そんな中、テクノロジー関連メディアのMotherboardは、さまざまなオンラインゲーム用のチートツールを配布する「Cheat Ninja」の元代表者と接触し、チートツールの売上や取り締まり状況について報告しています。

Inside The ‘World’s Largest’ Video Game Cheating Empire
https://www.vice.com/en/article/93ywj3/inside-the-worlds-largest-video-game-cheating-empire

Motherboardはキャットフィッシュと名乗るチートツールの開発者と接触しました。キャットフィッシュ氏は「PUBG MOBILE」「フォートナイト」「コール オブ デューティ モバイル」といったスマートフォン向けゲームアプリで使えるチートツールの開発者で、これらのチートツールの販売サイトである「(ウェブアーカイブ)Cheat Ninja」の運営も行っていた人物です。

Motherboardによると、キャットフィッシュ氏はPUBG MOBILEのリリース直後から、透視やオートエイムなどの機能を有するチートツールを中国で販売し、販売開始から1週間弱で数万人民元(数10万円)を稼いだとのこと。その後もPUBG MOBILEの開発チームによるチート対策を掻い潜りながらチートツールの販売を続けた結果、2019年末には月間40万ドル(約4400万円)の売上を獲得できるようになりました。

その後、キャットフィッシュ氏はPUBG MOBILEに加えてフォートナイトやコール オブ デューティ モバイル向けのチートツールも開発。これらのチートツールを販売するためにCheat Ninjaを開設し、中国だけでなくインド・クウェート・アラブ首長国連邦・サウジアラビア・エジプトなどの国々で新たな顧客を獲得することに成功します。

しかし、2020年に入るとPUBG MOBILEの販売元であるテンセントや中国警察がチートツール開発者への取り締まりを強化し始めます。そして、2021年1月には、キャットフィッシュ氏と共にチートツールを開発していたワン容疑者とヒー容疑者が警察に逮捕されました。

中国警察によると、Cheat Ninjaはチートツールの販売で7700万ドル(約85億円)を稼いでいたとのこと。また、ワン容疑者は本業の月給が462ドル(約5万円)であったにもかかわらず、フェラーリやランボルギーニを含む合計約300万ドル(約3億3000万円)相当の高級車と約400万ドル(約4億4000万円)相当のビットコインを所持していました。

ワン氏とヒー氏が逮捕された際、キャットフィッシュ氏はCheat Ninjaのフォーラムに当局の捜査官が紛れ込んでいることに気付いたとのこと。キャットフィッシュ氏は過去の発言ログを全て見直した上でCheat Ninjaを閉鎖。さらに、チートツールに関連するデータが保存されたSSDを破壊しました。

キャットフィッシュ氏はMotherboardに対して「今後、チートツールでお金を稼ぐつもりはありません。警察はもちろん、詐欺師やクラッカー、競合開発者、日々更新されるアンチチートツールと戦うことは非常にストレスです」と語っています。なお、記事作成時点では、キャットフィッシュ氏は警察によって指名手配されています。