iPhoneやiCloudのストレージを「読み取り不可のiMessageデータ」が占領しているとの指摘
Appleが提供するメッセージアプリの「iMessage」は、iPhoneユーザーだけでなくMacユーザーやiPadユーザーなどが、Apple IDを使ってメッセージのやり取りを行えるようになるというアプリです。このiMessageが生成した「実際に読むことができない大容量のデータ」が、iPhoneやiCloudのストレージを圧迫していると指摘されています。
Your iPhone (and iCloud backups) are full of gigabytes-worth of old iMessages that are virtually impossible to read – Key Discussions
https://keydiscussions.com/2021/05/28/apple-charges-for-storing-gigabytes-worth-of-old-imessages-you-cant-reliably-access/
iPhoneのストレージ容量は64~512GBと限られており、それ以上のデータを保存したい場合は、クラウドサービスの「iCloud」を利用する必要があります。iCloudは誰でも5GB分のストレージを無料で使用できますが、それ以上の容量を使用するには追加の料金を支払う必要があるため、無限にデータを保存しまくれるというわけではありません。
ストレージ容量の大きなiPhoneを購入したり、有料でiCloudを利用したりすることで、iPhoneユーザーは写真やムービー、大量のメッセージといったさまざまなデータを保存することが可能となります。しかし、それでもiMessageの古いメッセージは読むことができなくなっていると指摘されています。
そもそも、iMessageで古いメッセージにアクセスするには「会話を上方向にスクロールしていく」という方法をとるしかありません。この方法は非常に時間がかかるうえ、「実際には機能しない」と指摘するのが、テクノロジーブログのKey Discussionsを運営するスペンサー・デイリーさん。
Mac版のiMessageを使って過去のメッセージをさかのぼろうとしたデイリーさんですが、16GBのメモリ(RAM)を搭載したMacを使用していたにもかかわらず、6カ月前のメッセージを確認しようとしたタイミングでアプリはフリーズしてしまったそうです。デイリーさんの奥さんはiPhone 8 Plusを使ってiMessageの過去のメッセージをチェックしようとしたそうですが、45分以上スクロールしたのち、アプリはクラッシュしてしまいました。なお、デイリーさんの奥さんがさかのぼることができたのは、1年以内のメッセージだったそうです。
デイリーさんは「『会話の一番上までスクロールする』という方法が上手く機能していたとしても、それが初期の会話にアクセスする唯一の方法であるということは受け入れられません」と記し、iMessage上で過去のメッセージにアクセスする方法が限られていることに苦言を呈しています。
当然のようにiMessageにも検索機能はついていますが、既存の検索機能では過去のメッセージを検索するのには不向きであり、「2年以上前のメッセージを検索するには信頼できず、役立ちません」とデイリーさんは指摘。さらに、「iMessageの検索では広範なコンテキストは見逃され、古いメッセージは単に検索結果に表示されません」とデイリーさんは語っています。
iMessageの過去のメッセージを検索する方法は、10年以上変更されていないため、デイリーさんは「Googleフォトのスライドバーのように、月ごとのメッセージに直感的にアクセスできるようなスライドバーが実装されるべきです」と主張しています。
多くのiPhoneユーザーがストレージの確保に苦心していますが、「設定」→「メッセージ」→「メッセージの保存期間」から、iMessage上のメッセージを保存する期間を指定することも可能です。これ以外にも「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」から、iMessage上でやり取りされたメッセージのうち「大きな添付ファイルがあるものを削除」したり、「古いメッセージを削除」したりするオプションも存在します。
デイリーさんのiPhoneでは「1年以上前のメッセージを自動削除」することで、11.54GBもの容量を確保することが可能と提案されたそうです。しかし、デイリーさんは「1年以上前のメッセージの大半がアクセスできない状態です」と語っており、保存していてもチェックできない状態に陥っていることに不満を表しています。
また、デイリーさんは「古い友人を失った人など、過去のメッセージを大切にしている人もいるかと思います」と語り、過去のメッセージにアクセスできないことは「世界で最も裕福な企業が提供する機能としては恥ずかしいほど不十分です」と批判しています。
なお、AndroidのデフォルトのメッセージアプリもiMessageに負けず劣らずひどい出来だそうで、iMessageにとって真に競合となるアプリは少なく、改善の未来は暗いとデイリーさんは指摘。
一方で、モバイルOSにデフォルトでインストールされているメッセージアプリ以外の「WhatsApp」などの人気メッセージアプリでは、すべてのメッセージをダウンロードして表示することが簡単にできます。iMessageにもメッセージをすべてダウンロードするためのツールが存在していますが、これはサードパーティ製のツールであり「本来はAppleがこういったツールをリリースすべき」とデイリーさんは指摘しています。
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