2匹のミツバチが協力してペットボトルのキャップを外す驚愕のムービー

ミツバチは人間が好きなハチミツを集めてくれるだけでなく、さまざまな種類の花粉を媒介して生態系を維持する上でも重要な役割を果たしています。そんなミツバチは非常に高い知能を持っていることでも知られており、新たに公開された「2匹のミツバチが協力してペットボトルのキャップを外すムービー」が、多くの人々から注目を集めています。

'Unbelievable' Video Shows Two Bees Work Together to Unscrew a Soda Bottle
https://www.sciencealert.com/unbelievable-video-shows-two-bees-unscrewing-a-bottle-of-fanta

実際に2匹のミツバチがペットボトルのキャップを外す様子は、以下のムービーで確認できます。

Bees Opening a Soda Bottle || ViralHog - YouTube

画面に映っているのは中身が入ったファンタのペットボトル。よく見ると、キャップの両側に小さなミツバチがくっついているのがわかります。

2匹のミツバチがキャップと本体の間に頭を潜り込ませるようにしながら、少しずつ足を動かしています。

キャップはかなり緩んでいるようで、ミツバチが動くたびにキャップが少しずつ回っていき……

ついにキャップが外れました。

思わぬできごとに撮影者も笑っています。

この映像はブラジルのサンパウロで撮影されたものだそうで、昼休憩にファンタを飲んでいた際の出来事だったとのこと。科学系メディアのScienceAlertは、この動画がCGで作成されたフェイクである可能性や、すでに緩みきった状態のキャップを偶然落としただけである可能性もあると指摘。しかし、「どちらにせよ、ミツバチが炭酸飲料強盗をやってのけるほどの脳を持っているかどうかを考えるのは楽しいことです」と述べ、ミツバチの知能に関する話題に踏み込んでいます。

ミツバチの小さな脳がこれほどの作業を行うことは信じられないかもしれませんが、必ずしも脳の大きさが知能と比例するとは限らないと研究者は考えています。この点についてScienceAlertは、「小さな動物は脳細胞が支配する体自体が小さいため、より小さな脳を必要とします」と指摘したほか、「脳の大きさではなくニューロンの接続の複雑さが認知能力にとって重要」とする説を挙げています。

20世紀にミツバチのコミュニケーション手段を研究し、「ミツバチのダンス」の意味を解読するなどの功績でノーベル生理学・医学賞を受賞したカール・フォン・フリッシュは、ノーベル賞を獲得する前の1962年の時点で「ミツバチの脳は小さすぎるため、独創的な性質は本能によるものとする見解を持っていました。それ以来、ミツバチの脳がどれほどの認知能力を持っているのか、そして物事を学習できるのかどうかについての研究が進められてきたとのこと。

その結果、ミツバチの脳は人間の0.0002％ほどの重さしかないにも関わらず、「数の概念を記号と結びつける」「ゼロの概念を理解できる」「動物の糞を巣を守る道具として利用できる」といった高度な認知能力を持っていることが判明しています。

「ペットボトルのキャップを外す」という行動は明らかに自然界で必要なものではないため、ミツバチが意図的にこれを行ったのだとすれば、ミツバチが新たな行動を後天的に学習したことになります。これは、「ミツバチの複雑なタスクを遂行する能力は本能に刻み込まれたものである」とするフォン・フリッシュの立場とは相反するものです。

もちろん、ミツバチたちは偶然にキャップを外せただけかもしれませんが、2017年の研究ではミツバチが報酬をもらうために「自分と同じ大きさのボールを転がす」という自然界では必要ないタスクを学習できることが判明しています。この実験では、ミツバチはボールを転がして特定のゴールに入れると報酬の砂糖水をもらうことができ、「別の個体がボールをゴールに転がす様子」を見ることで、より速く行動を習得できることもわかりました。

ScienceAlertは、「たとえニューロンの回路が小さくても、ミツバチは私たちが考えていたよりもはるかに高い能力を発揮するかもしれません。次に屋外で昼食を取る時には、飲み物に注意を払うことをお勧めします」と述べました。