新旧入り交じり混乱を極めるUSB規格をスッキリ解説
1990年代にコネクタの形状を統一することを目標に開発された接続規格「USB」は、開発から20年以上が経過した現在では多くの形状や規格が存在しており、「『USB 3.0』『USB 3.1 Gen 1』『USB 3.2 Gen 1x1』が同じ規格」というように、混乱を極めています。そんなUSB規格について、大手メモリメーカーのKingstonが解説しています。
What’s the Difference in USB 3.1 Gen 1, Gen 2 and USB 3.2? – DIY in 5 Ep 132 - YouTube
USBとは、ユニバーサル・シリアル・バス(Universal Serial Bus)の略称で、ケーブルとコネクタの標準規格で、短距離のデジタル通信や接続、電源供給に用いられています。
USB規格は、2008年から「USB Implementers Forum(USB-IF)」によって管理されています。
USBの初期バージョンであるUSB 1.0は1996年に登場しました。しかし、USB 1.0は一般ユーザーに普及することはなかったとのこと。
USBは、1998年に登場したUSB 1.1から一般に普及し始めます。
そして、2000年には最大480Mbpsでの通信に対応したUSB 2.0が登場。さらに、USB 2.0からはMini-USB端子やMicro-USB端子といった端子形状のバリエーションが登場し、充電機能も追加されました。
2008年に登場したUSB 3.0では、最大通信速度が5Gbpsへと引き上げられました。
USB 3.0に対応したコネクタは青色に着色されており、旧規格と簡単に見分けることが可能。Kingstonは、「一目で最新の規格を見分けることができました。それはいい時代でした」と述べています。
しかし、2013年に登場したUSB 3.1からUSB規格の名称は分かりづらくなります。
まず、USB 3.1ではUSB 3.0が性能はそのままに、「USB 3.1 Gen 1」へと名称を変更しました。
そして、USB 3.0の2倍の通信速度(最大10Gbps)を実現する「USB 3.1 Gen 2」も登場しました。
USB 3.1の名称は、当初は「USB 3.1 Gen 1」が「SuperSpeed USB」、「USB 3.1 Gen 2」が「SuperSpeed+ USB」として宣伝されていました。しかしKingstonによると、この名称は大して普及しなかったとのこと。
いくつかのメーカーは「USB 3.1 Gen 1」と「USB 3.1 Gen 2」をそれぞれ「5Gbps」、「10Gbps」という通信速度を付記することで分かりやすくしようと試みましたが、ほとんどのメーカーは「USB 3.1 Gen 1」と「USB 3.1 Gen 2」という分かりづらい名称を使い続けました。
その後、2017年には表裏のないUSB Type-C端子に対応したUSB 3.2が登場しました。USB 3.2には4種類の規格が含まれ、分かりづらさが増しています。
USB 3.2は従来のものも含めて、以下の表に示される4つの規格に分類されました。
USB 3.2規格 | 旧名称 | 最大転送速度 | 対応コネクタ |
USB 3.2 Gen 1x1 | USB 3.1 Gen 1(USB 3.0) | 5Gbps | USB Type-A、USB Type-C、Micro-USB |
USB 3.2 Gen 1x2 | なし | 10Gbps | USB Type-C |
USB 3.2 Gen 2x1 | USB 3.1 Gen 2 | 10Gbps | USB Type-A、USB Type-C、Micro-USB |
USB 3.2 Gen 2x2 | なし | 20Gbps | USB Type-C |
さらに、USB Type-Cと同形状のコネクタを採用する「Thunderbolt」が存在することも混乱を産んでいます。2011年に登場したThunderbolt 1と2013年に登場したThunderbolt 2では、Mini DisplayPortと同形状のコネクタが採用されていましたが、2015年に登場したThunderbolt 3と2020年に登場したThunderbolt 4では、USB Type-Cと同形状のコネクタが採用されました。
上記のように混乱を極めるUSB規格ですが、2019年にUSB-IFから発表されたUSB4では、これらの問題が解決へ向かうとのこと。
USB4では最大転送速度が40Gbpsに達し、コネクタ形状はUSB Type-Cに統一されます。Kingstonは「USB4が普及すれば、USB規格の無駄が減ってすっきりするでしょう」と述べ、USB4の普及に期待を寄せています。
・関連記事
最大転送速度40GbpsでUSB 3.0の8倍速い「USB4」の技術仕様をUSB-IFが正式に公開 - GIGAZINE
Micro USBがMini USBに取って代わって端子の主流になった理由とは - GIGAZINE
USB Type-Cに「表裏」を取り戻させる悪魔のデバイスが爆誕 - GIGAZINE
10倍高速な「USB3.0」の仕様が正式決定、登場時期も明らかに - GIGAZINE
新型MacBookも採用、裏表どちらからでも挿せる「USB3.1 Type-C」とは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ