メモ

子どもがトランスジェンダーだと分かった時に親はどのような行動を取ればいいのか?


若い年齢のトランスジェンダーは、いじめや差別、特に家族からの拒絶といった外的要因により不安やうつ病を引き起こし、自殺に至ってしまうリスクもあります。パロ・アルト大学で心理学を学び、若者とその両親のサポートを行っているエム・マツノ氏が、子どもがトランスジェンダーであると知った時に親がよりよい擁護者になる方法、そして起こりうる失敗を避ける方法について語っています。

How parents can support a child who comes out as trans – by conquering their own fears, following their child's lead and tolerating ambiguity
https://theconversation.com/how-parents-can-support-a-child-who-comes-out-as-trans-by-conquering-their-own-fears-following-their-childs-lead-and-tolerating-ambiguity-158275

トランスジェンダーの子どもを持つ親が直面する一般的な課題は「恐れ」だとマツノ氏は指摘します。例えば、親は「子どもがいじめられるのではないか」ということを恐れ、子どもに対し「学校にそのような服を着ていかないで」と言うかもしれません。あるいは親にトランスジェンダーについての知識が不足している場合、トランスジェンダーである子どもに何をしてあげればよいのか分からず不安になり、不安を解消するために間違った行いをしてしまう可能性もあります。


また、近親者やそのコミュニティがトランスジェンダーについて誤った知識を持っている場合、子どもに加え親自身も近親者から拒絶されてしまう可能性があります。時に親は愛する人に拒絶されるリスクを冒さなければならず、その結果困難な立場に立たされてしまうこともあります。

2016年に行われた研究では、親のサポートを受けたトランスジェンダーの若者は、トランスジェンダーと対になる「非トランスジェンダーであり性別と性自認が一致する「シスジェンダー」と同等のメンタルヘルスになるということが明らかになっています。マツノ氏は「トランスジェンダーの若者がうつ病や自殺のリスクが高いという研究は確かに存在しますが、私たちは『トランスジェンダーの若者がサポートを受けているかどうか』に目を向けています」と語ります。

マツノ氏が695人のトランスジェンダーの若者に対し調査を行ったところ、対象者の半数以上が中程度~重度の不安および抑うつ症状を抱えていたとのこと。さらに若者たちが「友人」「家族」「トランスジェンダーコミュニティ」から受けたサポートとメンタルヘルスの相関性を調べたところ、家族によるサポートが最も不安症状の回復に与える影響が大きいと判明したとのことです。マツノ氏は「多くのトランスジェンダーが家族からの支援を受けられず、他の人に頼らなければならないことは残念ですが、家族は間違いなく大きな影響を与えます」と話します。


もし子どもがトランスジェンダーであると話した場合、親は「教えてくれてありがとう」と言うことが大切だとマツノ氏は語ります。感謝を伝えることで子どもの勇気を認め、子どもを愛しているということを伝えることができます。「本気?」「混乱しているだけだ」といった反応や、あるいは「いつ知ったの?」といった質問を一度に多く行うことは、子どもが詰問されていると感じてしまうため推奨されていません。よりよい方法として「いくつか質問しても大丈夫?それともまだ時間が必要?」「どうすればサポートできる?」と尋ねることもできます。トランスジェンダーの子どもたちはトランスジェンダーであることを明かす時の拒絶を恐れてしまうため、明確なサポートが重要だとマツノ氏は話します。


また、マツノ氏は「親自身もサポートを受けて下さい」と答えます。多くの場合、親は「100%子どもに協力的で、全てを受け入れている」と言いますが、少なからず悲しみや不安といった感情を抱えてしまっていることも事実です。マツノ氏は「そのような感情を抱くことは決して悪いことではなく、子どもに非協力的だという意味でもありません。しかし、親が抱える全ての感情を子どもに共有してしまうと、子どもがそれを重荷に感じてしまう場合があります。地元のコミュニティやオンラインのグループ、そして可能であれば専門家のサポートを受けて下さい」と話します。

マツノ氏は世間にはびこる誤った情報として、「性同一性障害は急速に発症する」というものを挙げています。マツノ氏は「これは誤った研究に基づいています。多くの場合、子どもは思春期に不快感を覚え出します。この感覚を親と共有していない場合、子どもにとっては以前から感じていたことなのに、親にとっては『突然のことだ』と感じてしまうかもしれません」と話します。

また、親は性別適合手術を含む医療行為について、「子どもの気が変わったらどうするのか」という恐れを抱いているともマツノ氏は指摘します。マツノ氏は「性転換後に後悔するケースは非常にまれであり、二次成長抑制剤も可逆的で低リスクです。多くの場合、トランスジェンダーの人々は何が正しいのか分からずにいろいろな方法を試し、その結果医学的な介入が必要になるリスクもありますが、性別違和を抱えたままでいることも大きなリスクがあります」と話します。

今日、多くの子どもたちが自身をトランスジェンダーであると認識していることについて、マツノ氏は「より多くの情報が得られるようになったほか、若者が早くから性自認について学ぶようになったことが理由です。また、以前からあったものの、歴史から消されてきたということもあります」と語ります。

最後に、マツノ氏は「親はしばしば自分の子どもがどうなるのかを明確に知りたいと思うでしょうが、物事は必ずしも明確ではなく、変わる可能性もあります。子どもたちにはたくさんの冒険が待っているので、子どもたちが自分で答えを見つけ出すことを認めてあげてください」と締めくくっています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
性的に惹かれるという感情を持たない「Asexual(アセクシャル:無性愛)」とは? - GIGAZINE

人の性的指向を変える「転向療法」は自殺や自傷を引き起こすと調査で示される - GIGAZINE

社会的な性の概念「ジェンダー」が子どもの中で形成される段階には生物学的な要因も影響していることが浮き彫りに - GIGAZINE

「同性愛者を生み出す特定の遺伝子は存在しない」という研究結果 - GIGAZINE

in Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.