人の性的指向を変える「転向療法」は自殺や自傷を引き起こすと調査で示される

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性行為の強制やロボトミー、化学的去勢などを含めた方法で同性愛者を異性愛者に矯正しようとする転向療法は、ヨーロッパで広く行われてきました。宗教的な観点から「同性愛は罪だ」とみなされ、転換治療が行われることも多かったのですが、調査の結果、転向療法を受けた人の多くが不安やうつといった症状を呈し、自殺や自傷を試みる確率も高いことが示されました。

2018 National Faith & Sexuality Survey - Ozanne Foundation
https://www.ozanne.foundation/project/faith-sexuality-survey-2018/

Conversion therapy can result in mental illness, poll finds | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2019/feb/20/conversion-therapy-can-result-in-mental-illness-poll-finds

信仰と性的指向についての調査に参加した4600人余りのうち、約10％にあたる458人が自身の性的指向を変えようとしたことがあるとのこと。このうち10人に1人が転向療法を受けたことについて「選択肢はなかった」としており、22人は自分と異なる性別の人との性行為を強要されたと回答しています。転向療法を受けたうち半数は10代の少年少女で、12歳以下も存在しました。転向療法を強要された最も一般的な理由は、その欲求が「罪深い」ものだったからといいます。転向療法を受けた人の半数以上は「効果はなかった」と述べていますが、13人だけは「非常に効果があった」と回答したそうです。

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転向療法を受けたうち半数以上がメンタルヘルスの問題を報告しており、最も多かった症状は不安とうつとのこと。約300人が自殺を考えた、あるいは自殺を試みたと述べており、自傷経験があるのは100人以上、摂食障害を抱えている人は70人以上でした。

この調査は性的指向やジェンダーの差別を減らすことを目的としたOzanne Foundationが行ったもの。「個人の性的指向を変更しようとする転向療法が自殺や自傷、摂食障害といった問題を引き起こす」という調査結果はイングランド国教会の宗教会議で発表される予定です。

2017年、イングランド国教会は性的指向の転換を目的とした転向療法が非倫理的で潜在的に有害であるとして、政府に禁止するよう求めました。宗教会議の間でも「転向療法は現代の世界のものではない」という声は大きくなっていますが、一方でアングリカン・コミュニオンやペンテコステ派の人々は、性的指向を変えるための祈りや「救出の奉仕」に参加することを推奨しています。

イギリス、リバプールの司教であるポール・ベイズ氏はこの調査結果を「ショッキングで驚くべきもの」だとし、「この統計は愛、受容、非難、恐れなどが入り交じったメッセージに傷つけられ苦しめられた命を映し出しています」と述べました。ベイズ氏はリバプールでこのような問題を耳にしたことはないとしていますが、管区によって教育課題がまだ残っており、地方の教会はLGBTIの性的指向やアイデンティティは罪ではないことを学ぶ必要があり、転向療法は終わらせるべきだという意向を示しました。

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「性的指向や性自認を理由に自分が『劣っている』と感じるのであれば、それは間違いです。何があろうと、そのことで誰か傷つけた人は悔いるべきであり、謝るべきです。『神があなたをそのように作ったのは間違いだった』と言われるのは苦痛であり、祈る人たちこそが変わる必要があります。いくつかの教会では文化の変化の最中にあり、この問題を解決するには不断の教育を行っていくしかありません」とベイズ氏は述べています。

Ozanne Foundationを創設したJayne Ozanneさんも転向療法を経験しノイローゼになった一人。Ozanneさんは転向療法を経験した回答者の規模と重症度、そして経験時の年齢が懸念される点であることを指摘し、場合によっては緊急に保護する必要があると述べました。

イギリス心理療法士協会のMartin Pollecoff氏は、転向療法が信頼できるものではなく、人に大きな傷を残すものであるとコメント。「私たちの目的は性的指向に関して人を手助けすることであり、彼らを羞恥と恐怖の元で生かすのではなく、彼ら自身であることを受け入れ祝福することなのです」とPollecoff氏は語りました。