宝箱に詰まった運と戦略を駆使して戦場の支配を目指す「ウォーチェスト 日本語版」を遊んでみました
さまざまなユニットを使って六角形マスのフィールド上で戦うボードゲーム「ウォーチェスト」の日本語版が、ボードゲームカフェ nostalgiaから2021年4月上旬にリリースされます。シンプルながら奥が深い戦略性が肝の対戦ゲームになっているとのことで、一足先に遊んでみました。
War Chest – ALDERAC ENTERTAINMENT GROUP
https://www.alderac.com/warchest/
war chest日本語版のサンプルができました!順調にいけば4月上旬に製品が当店に到着いたします。検品後、各店舗様にご案内と当店での予約を開始いたします! #ナガノス #ボードゲーム pic.twitter.com/9RmQaPp4Mj
— ボードゲームカフェ nostalgia長泉店 (@nostalgia_naga) March 24, 2021
ウォーチェストのパッケージはこんな感じ。見た目は完全に宝箱のような感じ。
プレイ人数は2人あるいは4人、プレイ時間は30分~60分、対象年齢は14歳以上を想定。
フタにはマグネットが仕込まれていて、ピタリと留められるようになっています。
開けるとこんな感じ。まさに宝箱を開けているような感覚で、わくわくします。
フタ裏に書かれた説明によると、「ある国を将来背負うであろう王の子どもに、戦争の策略を教えるための道具」のレプリカがこのウォーチェストだとのこと。
内容物はルール説明書と袋が4つ。袋にはオオカミとカラスのマークが刺繍(ししゅう)されています。
ユニットカードと占拠マーカー、ゲームボード
ゲームボードを広げて、iPhone 12 miniと並べて大きさを比較するとこんな感じ。
そして、16種類のユニットコインとロイヤルコイン、イニシアチブコインが詰まったコイントレイ。
コイン1枚を手のひらの上に乗せるとずっしりとした重さを感じます。
1枚の重さを量ってみると実測13gで、1枚7.0gの500円玉のおよそ2枚分。
トレイごと量ってみると、全部で1kgを超えました。
◆プレイ準備
ウォーチェストは「2人あるいは4人プレイ」ということで、2人で遊んでみました。最初にオオカミ陣営とカラス陣営にそれぞれにロイヤルコインと占拠マーカー6枚を配ります。
6枚の占拠マーカーのうち2枚を、ボード上の赤枠の位置に配置します。なお、2人対戦時は両端の濃い茶色のマスは使いません。
ユニットカード4枚と対応するユニットコインを各陣営に配ります。ユニットカードは全部で16枚あり、ランダムで配ったりドラフトで選んだりできますが、今回は説明書に書かれていた「初めて遊ぶ場合におすすめのセット」でプレイします。ユニットカードは自分の手前に並べ、対応するユニットコインをカードの上に配置します。この手前に置いたユニットカードとユニットコインのセットを「サプライ」とします。
さらに、各陣営にロイヤルコインを配ります。ロイヤルコインは片面に自陣営のアイコンが描かれており、もう片面はユニットコインの裏面と同じになっています。
そして、サプライから自軍のユニットコインを2枚ずつを取り、自分のロイヤルコインと一緒に袋の中に入れます。
これでセットアップは完了。
ゲームを始める前に、オオカミ陣営のマークとカラス陣営のマークが両面に描かれたイニシアチブコインをトスし、先攻プレイヤーを決めます。
ゲームは非常にシンプルで、「ドローフェイズ」「プレイフェイズ」を繰り返すだけ。先に自分が持っている占拠マーカーをすべてフィールドに置いたプレイヤーが勝者となります。
ドローフェイズでは、各プレイヤーは同時に袋から手札となるコイン3枚を引きます。
プレイフェイズでは、「配置アクション」「コインを表向きに捨てるアクション」「コインを裏向きに捨てるアクション」の3種類を、各プレイヤーが交互に実行します。1アクションにつき手札から1枚のコインを消費するので、プレイフェイズは3手番で終了することになります。
「配置アクション」では、手札からユニットコインをボード上に配置できます。ただし、1つのユニットは1箇所にしか存在できず、配置できる場所は占拠マーカーの上のみ。占拠マーカーの上に他のユニットコインが乗っている場合は配置できません。
また、手札のユニットコインを、ボード上にある同じユニットコインの上に乗せることもできます。ユニットコインは攻撃(後述)を受けるとボード上から1枚取り除かなければならず、1枚のみだとユニットが消失してしまいます。しかし、コインが複数枚乗っていれば、攻撃を受けてもユニットが消失しません。
「コインを表向きに捨てるアクション」は、手札からコインを表向きにして捨てコイン置き場に捨てることで、捨てたコインと同じ種類のユニットコインを1マス移動させるか、隣接する敵ユニットに攻撃を加えることができます。
また、各ユニットには「戦術」と呼ばれる特殊能力が設定されており、コインを表向きに捨てるアクションで使うことができます。例えばオレンジ色の「キャバルリー」の戦術は「移動を行った後、攻撃をする」というもの。
例えば以下のような状況で、キャバルリーが紫色のクロスボウマンを攻撃するためには、本来だと「移動」と「攻撃」で2回のアクションが必要になります。しかし、キャバルリーの戦術を使えば、移動と攻撃を同時にできるので、1回のアクションでクロスボウマンを排除することができるというわけです。
攻撃されたクロスボウマンは、コイン1枚がボード上から取り除かれ、コイントレイに戻ります。この取り除かれたコインはゲームから排除されるので、もう二度と戻ってくることはありません。
なお、ユニットコインは枚数がそれぞれ決まっており、ユニットカードの左上に書かれています。クロスボウマンは最大5枚存在しています。もちろん配置アクションでクロスボウマンのコインを重ねていれば、一撃でアウトにはならないのですが、全てのコインをゲームボード上に重ねてしまうと、移動・攻撃・戦術を行うためのコインがなくなってしまう上に、手札に引いてくる確率も減ってしまいます。限られた枚数のコインをどのように運用していくのかがこのゲームのポイントです。
ソードマンの戦術は「攻撃を行った後に移動できる」というもので、キャバルリーとは正反対の効果です。
以下の状況で、ソードマンは隣接するランサー(赤色)を攻撃して排除し……
さらに移動することができます。
黄緑色の「ライトキャバルリー」の戦術は「2マス移動する」というもの。
本来ユニットは1手番につき1マスしか移動できませんが、戦術を使うことで以下のように2マス移動できるというわけです。
このライトキャバルリーが移動した先に描かれている記号は、「拠点マス」を示すマークです。コインを表向きに捨てるアクションを選択した時、この拠点マスに捨てたコインと同じ種類のユニットコインを乗っていれば……
拠点マスを占拠することが可能。自陣営の占拠マーカーをボード上に置きます。
「コインを裏向きに捨てるアクション」では、後攻プレイヤーはイニシアチブコインを奪って自分のものにすることができます。このイニシアチブコインを奪うアクションは1ラウンドにつき1回のみ実行可能です。
また、コインを裏向きに捨てるアクションで、サプライから任意のユニットコイン1枚を捨てコイン置き場に配置する「徴兵」を行うことができます。
ドローフェイズとプレイフェイズを繰り返してゲームを進めていきますが、袋の中のコインは限られているので、使っていくといずれ袋は空っぽになります。その場合、捨てコイン置き場にあるコインをすべて袋の中に入れて、手札を引くことになります。徴兵によって袋の中のユニットコインの数が増えるので、戦力の増強につながるわけです。
そんな感じでゲームを進めていきます。
お互いが拠点を求めてぶつかり合うので、前線はユニットコインが入り乱れます。
「直線状に2マス離れた位置のユニットを攻撃可能」という戦術を持つクロスボウマンがオオカミ陣営のユニットを攻撃したところ、オオカミ陣営の占拠マーカーが丸裸に。拠点の占拠は、相手の占拠マーカーがあっても可能なので、この攻撃はカラス陣営にとって大きなチャンスとなります。
奥にいたソードマンがそっと近寄りますが、実はオオカミ陣営が後方に配置していたアーチャーが、「2マス離れた位置のユニットを攻撃する」という戦略でソードマンを攻撃。コイン2枚重ねだったソードマンは、コインを1枚剥がされてしまいます。
しかし、占拠マーカーをあきらめないカラス陣営は、ソードマンをさらにもう一回移動させ、拠点に到達させます。これで次にソードマンのコインを手札に引けば、コインを表向きに捨てるアクションで、このマスを占拠することができますが……
クロスボウマンの上位互換であるアーチャーは、直線でなくても2マス先を攻撃できるのが戦術の特徴。この拠点マスもアーチャーの攻撃範囲なので、ソードマンは拠点占拠することができないまま、戦場から消えてしまいました。
……と、オオカミ陣営が見事な拠点防衛をした裏で、実はこっそりと奥にあるオオカミ陣営の拠点が空っぽになっていることに気づいていたカラス陣営。2マス移動できるライトキャバルリーを使い、一気に奥へ攻め込み、見事拠点の奪取に成功。これで6枚すべての占拠マーカーを配置したカラス陣営の勝利が決まりました。
4人プレイの場合は、各陣営2人ずつでプレイ。重要なのは座り位置で、ボードを囲んで各陣営の手番が交互になるように互い違いに座る必要があります。プレイする上で連携を取る必要がありますが、同じ陣営が隣合わないため、ヒソヒソと話し合うことはできず、戦略上の相談は必ず敵陣営にも聞こえる公開状態で行わなければなりません。
また、ユニットカードは3枚ずつというのが2人対戦とは違うところ。また、占拠マーカーも8枚に増えます。
4人対戦ではフィールドが広くなるので、より戦略性が高まります。以下の緑色のユニット「フットマン」は、1フィールドに2つ配置でき、「1回のアクションで2つのユニットを行動させることができる」という強力な戦略を有しています。そのため、以下のように一度に2つの拠点を占拠するということも可能。広くなったフィールドを思う存分進めることができます。
オオカミ陣営の青色のユニット「スカウト」が、カラス陣営の拠点奪取を目指して、拠点の上に居座っている桃色の「ロイヤルガード」を攻撃。ロイヤルガードは1枚しかないのでここで排除されると思いきや……
ロイヤルガードは「ダメージを受けてもボード上のコインの代わりにサプライにあるコインを消費する」という特性の持ち主。そのため、拠点を奪取されずに済みました。
その間に手薄になった右側で、カラス陣営のもう1人のプレイヤーがランサーで拠点を奪取。ランサーが着々と狙っていることを気取られないために、カラス陣営があえて「ボード左側の戦略だけを相談していた」ことが功を奏しました。この陽動作戦はまったく声に出さずに進めており、カラス陣営は「お互いにやりたいことを想像しながら進めたところ、なんとかうまくつながった」と勝利のコメントを語りました。
実際にプレイすると、1プレイはおよそ1時間ほど。ルールは非常にシンプルで、ボードゲームに慣れていない人でも簡単に理解できます。しかし、ユニットカードの組み合わせによってさまざまな戦略があり、リプレイ性はかなり高いといえます。
「ドローフェイズで3枚の手札を引く」という部分が重要で、このドローフェイズが戦いの行く末を左右する運要素となっています。ただし、完全に運頼りというわけではなく、ユニットコインの枚数が限られているため、「相手がどういうコインを何枚徴兵したか」「コインを何枚使って何枚排除されたのか」をしっかり見て、相手の手札を想像することでより有利な戦略を選択することも求められます。この運と戦略のバランスが非常によく、運が悪くても戦略でカバーしたり、どうしようもない状況を運でひっくり返したりということも生まれ、非常に熱いゲーム展開が期待できます。
さらに、ずっしりしたコインやボード、パッケージに至るまで、コンポーネントの出来が高いのもうれしいポイント。普通は手札にカードを使うと、何度も遊ぶとカードが折れたり曲がったりすることもありますが、手札として使うのは丈夫なコインなので、何度遊んでも消耗が少ないのも魅力です。
ウォーチェストの日本語版は20201年4月上旬に発売予定。希望小売価格は税別6000円です。記事作成時点では予約は始まっていませんが、検品が終わり次第予約の案内が始まるとのことなので、気になる人はボードゲームカフェ nostalgiaの公式サイトやTwitterをチェックしてみてください。
税抜希望小売価格は¥6,000です!
— ボードゲームカフェ nostalgia長泉店 (@nostalgia_naga) March 24, 2021
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