レビュー

「宝石の煌き」をさらに奥深くパワーアップさせる「都市」「東洋」「交易所」「城塞」が入った「宝石の煌き:都市」プレイレビュー


プレイヤーがルネッサンス期の宝石商となり、宝石を集めて売りさばいて栄光と名声を手に入れるというコンセプトのボードゲーム「Splendor 宝石の煌き」の拡張版「宝石の煌き:都市」が2017年9月に登場しました。通常版でも高度なゲーム性が垣間見えたこのボードゲームに新たなルールが加わり、さらに奥が深くなったという拡張版を早速編集部のみんなでプレイしてみました。

宝石の煌き:都市 | ホビージャパン アナログゲームインデックス
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Splendor/宝石の煌き 日本語版
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「宝石の煌き:都市」は既に「宝石の煌き」を持っていることが前提になっています。「宝石の煌き:都市」単体ではプレイできません。

宝石商となり美しい宝石を集めて商業帝国を作り上げ栄光と名声を勝ち取る「宝石の煌き」プレイレビュー - GIGAZINE


左側が拡張セット「宝石の煌き:都市」の箱。右側の通常版と比べると、通常版では表のイラストが宝石細工師だったのに対し、拡張版は宝石をはめた貴婦人になっています。また、若干縁取りの色が濃くなっているのがわかります。


箱を開けると内容物はこんな感じ。新しい拡張ルール用紙、拡張ルールで使用するボード、新たなカード・タイル・コマなどが入っています。


「宝石の煌き:都市」には「都市」「東洋」「交易所」「城塞」という4つの拡張セットが入っており、それぞれの拡張に対応するタイルやカード、コマがあります。拡張版でも基本的なゲームの流れは通常版と変わりませんが、通常版に新たな拡張ルールが加わって、ゲームがより複雑になりプレイヤーの戦略も飛躍的に増加します。


◆「都市」
拡張版の説明によると、最初は「都市」のプレイが推奨されていたので、まずはこれから。世界観としては「ブリージュ、リヨン、リスボン、セヴィル、ヴェニス、フィレンツェ、ピサ――どの都市も宝石細工師による独自の素晴らしい作品を、そして気前のよい金払いを求めている。だが、君はこの贅沢な需要を満たすことができるだろうか?」と書かれています。


「都市」のルールで追加されるのは「都市タイル」。まずは7枚を切り離して準備します。


貴族タイルの代わりに、これら都市タイルを並べるだけなのでセットアップは超簡単。


都市タイルには両面に異なる獲得条件が記されており、ゲームで使われるのはどちらか片方だけ。どちらを使うのかはランダムで決めます。


都市タイルを入手したプレイヤーが現れたら、そのラウンドでゲームは終了。都市タイルをゲットしたプレイヤーが1人ならそのプレイヤーの勝利、複数いれば威信ポイントの高い方が勝利となります。プレイヤーは都市タイルを入手しようとあの手この手を尽くしますが、都市タイルは全部で3枚しか無いため、必ず2人以上のプレイヤーが同じ都市タイルを奪い合うことになります。


最初のゲームは4巡目のプレイヤーが威信ポイント3点の赤ボーナスを購入し、同時に威信ポイント16点と赤のボーナスを5枚の条件を満たして都市タイルをゲット。他のプレイヤーは全員威信ポイントが10点以下という中で、ぶっちぎりの勝利となりました。貴族タイルによる威信ポイント獲得が無いため、いかにしてカードで威信ポイントを稼ぐかが重要になります。


勝手がわかってきたところで2戦目に突入。「都市」の拡張は「とにかく都市タイルを取ればいい」という単純明快なルールのため、編集部員もストレートなプレイになります。


このゲームも先ほど勝利したプレイヤーが、ギリギリの獲得点数で都市タイルをゲットして勝利。無駄なカードが少なめで美しい持ち札です。


実は今回、同じ都市タイルを狙った別のプレイヤーがあと一歩の所まで迫っていました。上半分が勝利したプレイヤーの手札、下半分が惜しくも敗れたプレイヤーの手札です。下のプレイヤーは次の順番が巡ってくれば4威信ポイントに赤ボーナスのカードを購入し、都市タイルをゲットできるはずでした。ところが上のプレイヤーがわずか一巡前に都市タイルをゲットしたため、下のプレイヤーは都市タイルをゲットできずに敗北。ゲームのプレイ時間は長いのですが、勝敗を決する最終局面ではわずか一巡が命取りになる場合もあります。


「都市」の拡張では勝利条件自体が変更され、「誰かが都市タイルを獲得したらゲーム終了」と明快。それぞれのプレイヤーが互いの点数と獲得ボーナスを気にしながら、自分よりも早く都市タイルを獲得しそうなプレイヤーの妨害に走ったり、他のプレイヤーと狙う都市タイルがかぶっていると気づいたら自分の進路を変更したりといった柔軟なプレイスタイルが必要となります。とはいえ基本的なゲーム性は変わらないため、ボードゲーム初心者でも楽しみやすい拡張となっています。

◆「東洋」
今回の世界観は「東洋の富は今やすべての人に開かれ、一方で顧客はその異国情緒に惹かれ始めている。この流動的な情勢の中、君は己の商売の王国をさらに変革させることができるだろうか?」とのこと。


「東洋」の拡張では、新たに購入可能なカードとして「東洋カード」が出現します。


並べると画像のようになります。左側の赤枠で囲った部分が東洋カード。


東洋カードは通常の発展カードと同様にレベル1~3に分かれており、購入するときも通常のカードと同じです。プレイヤーは東洋カードの「黄金トークン2枚として使用可能」「ボーナス2枚分」といったトリッキーな効果を駆使し、他のプレイヤーを出し抜いて勝利を目指します。


東洋カードを確保することも可能。


プレイヤーは「自分のカードに装着し、ボーナス1つ分として扱う」という効果の東洋カードや……


「青ボーナス2枚分」など、思い思いの東洋カードを購入して手札をカスタマイズしていきます。


勝利したプレイヤーの手札はこんな感じ。「自分のカードに装着し、ボーナス1つ分として扱う。そしてレベル1のカードを獲得する」「レベル2のカードを獲得する」といった強力なカードを効果的に活用しています。最後は「黒ボーナスのカード2枚を捨てて獲得可能」という効果を持つ威信ポイント3点の東洋カードを購入し、15点に到達しました。東洋カードの効果を最大限に発揮しての勝利に、他の編集部員もため息。


「東洋」の拡張はプレイヤーが獲得するカードの選択肢が増えるため、目当てのトークンを獲得することがより重要になってきます。また、「東洋」カードの中でもレベル2の「自分のカードに装着し、ボーナス1つ分として扱う。そしてレベル1のカードを獲得する」、レベル3カードの「レベル2のカードを獲得する」の効果は超強力。「これらのカードが場に出たら即確保が最善」とまで主張する編集部員も。さらに、「特定のボーナスを持つカード2枚を捨てて威信ポイント3点を獲得」という効果のカードは、終盤で得点を一気にブーストさせることが可能です。「東洋」の拡張ではレベル2、レベル3のカードが獲得しやすくなるため、レベル1の通常カードが余り気味になるという現象も発生しました。

◆「交易所」
「交易所」の世界観は「インドまでの海路が拓かれたことで、どのギルドも新たな交易所を建設した。世界規模の新たな交易ルールに、最も早く的確に対応できるのは誰か?」と記されています。


拡張版で使用するのは「東洋への道」ボードと紋章。紋章は1プレイヤーにつき1種類が割り当てられます。


各プレイヤーは、「東洋への道」ボード上の特定のゾーンに記された条件を満たした場合、そのゾーンに自分の紋章を配置します。プレイヤーは次のターンから、紋章を置いたゾーンが持つ特殊スキルを毎ターン発動することが可能です。


早速プレイを開始。赤い紋章のプレイヤーはこのターン、白のボーナスを持つカードを獲得しました。ボードの左から2番目のゾーンは「白2枚のボーナス」が必要条件となっているため、条件を満たしたプレイヤーは対応する箇所に紋章を置きました。このプレイヤーは次回から「同じ色のトークン2枚を取った後、別の色のトークン1枚を取る」という効果を発動することができます。


このターン、青い紋章のプレイヤーはカードを購入した時に紋章の効果を発動。カードを購入すると同時にトークンを1枚手に入れるという効果で、カードを購入しつつも資源を増やすというサイクルを回します。


青い紋章のプレイヤーがレベル2の白ボーナスを獲得。これによって「ボード上に置かれた自分の紋章1個につき威信ポイント1点を獲得する」効果で4点、貴族タイルで3点、カードで10点、合計17点を獲得して勝利を納めました。


休む間もなく第2戦に突入します。紋章を置くためには特定のボーナスを持つカードを購入する必要がありますが、多くのプレイヤーが同じ紋章を狙うため、なかなか思うようにカードを集められません。


ゲームが進むにつれ、置かれた紋章の数が増えていきます。黄色の紋章を持つプレイヤーはなんと3個も紋章を置いているのに対し、青の紋章を持つプレイヤーは1個も紋章を置いていないという対照的な状況。


黄色の紋章を持つプレイヤーは確保した高得点カードの点数に加え、「ボード上に置かれた自分の紋章1個につき威信ポイント1点を獲得する」紋章の効果により15点を目指します。


対して青の紋章を持つプレイヤーは、1個も紋章を置かずにプレイを進めていきます。緑ボーナスのカードを主体に点数を伸ばし、15点を狙います。このゲームは黄色と青色の一騎打ちの様相を呈しますが、果たして結果は……


他のプレイヤーがレベル3のカードを購入したところ、土壇場で青の紋章を持つプレイヤーにとってのキーカードが場に登場。青色の紋章を持つプレイヤーはすかさず購入、15点へ到達しました。


紋章プレイに走った黄色プレイヤーは12点あmで到達。あと1ターンあれば手持ちのカードを購入して15点に到達していたのですが、一歩及ばず敗北してしまいました。


「紋章」の拡張では、プレイヤーがカード購入時に資産が減るスピードが遅くなり、結果として各プレイヤーの威信ポイント獲得スピードがとても早くなる傾向にあります。少しでも他のプレイヤーが威信ポイントを獲得しづらくするために妨害するのと、自分の手を伸ばすバランス感覚が求められる拡張となっています。

◆「城塞」
今回の世界観は「商取引区域をいくつも抱える巨大都市が増えれば、その危険性や互いの緊張もおのずと明らかになってくる。ギルドはどこも、敵意ある野心から自らの富を守り、己の拡大の助力とすべく、城塞を建てはじめた」とのこと。


「城塞」の拡張で使用するのは、これらの城塞コマ。1人につき3個が自分の城塞となります。


早速プレイ開始。


プレイヤーはカードを購入するたびに城塞コマを動かします。自分の城塞コマを任意のカードの上に置く、もしくはすでにカードの上にある自分のコマを別のカードの上へ移動させるか……


他のプレイヤーの城塞コマを取り除き、持ち主に返します。城塞コマが置かれたカードはその持ち主のみが確保したり購入したりできます。


ゲームが進むにつれて場に置かれた城塞コマの数が増えていきます。城塞コマをカードの上にたくさん置いているプレイヤーは、そのカードが他のプレイヤーに奪われる心配が無いため安心してプレイを進められます。一方城塞コマを置いていないプレイヤーは買いたいカードがあっても手出しができないため、画像のようにたくさん城塞コマが建っていると苦しい状況に追い込まれてしまいます。


このターン、黄色の城塞コマを持つプレイヤーが白ボーナスのカードを1枚購入しました。


カード購入時の効果によって、プレイヤーは黄色の城塞コマを任意のカードの上に動かします。


城塞コマが3個乗ったカードは、プレイヤーが通常のアクションを終えた後に続けて購入可能です。黄色のプレイヤーは資金も潤沢だったので、3個の城塞コマが乗った威信ポイント2点、青ボーナスのカードを購入。


カードを購入したので、また城塞コマをカードの上に配置します。


これで青3枚、黒3枚、白3枚の条件を満たし、貴族の訪問を受けました。これでこのターン一気に5点を獲得。同時に青3枚、緑3枚、白3枚の条件も満たしたため、次のターンでさらにもう1人の貴族が訪問してくることも確定させます。城塞コマの効果を存分に生かしたプレイに他のプレイヤーも感心しきりです。


今回は城塞のルールを最大限に活用した黄色の城塞コマを持つプレイヤーが、貴族4枚の訪問を受けて勝利。貴族カードの獲得に必要な色がかぶっているのを見て、とにかく貴族獲得に必要な色を城塞コマで確保しまくるという策が当たりました。


「城塞」の拡張では、たとえ自分が購入可能なカードであっても他のプレイヤーの城塞コマが乗っていたら購入できないため、各プレイヤーが獲得可能なカードの選択肢が非常に狭まってきます。他のプレイヤーを妨害するためにあえて城塞コマを置いたり、自分が取られたくないカードには2個、3個とコマを乗せていくなど城塞コマをフル活用したプレイヤーが有利にゲームを進められます。また、城塞コマでの攻防で後手に回ったプレイヤーは、欲しいカードが出たら購入できなくても即座に確保していくなど、その場に応じた臨機応変なプレイが勝利への道。

◆Android版、iOS版
「宝石の煌き:都市」に同梱されている拡張は以上ですが、「宝石の煌き」にはAndroid版とiOS版も登場しています。


インストールしている友人同士やオンラインでの対戦も可能ですが、1人でもAIを相手にプレイが可能。アプリ版では相手の勝利点や購入したカード、トークンが一目でわかります。


また、自分が現在購入可能なカードが光っているため、うっかり買えたはずのカードを見逃してしまうというという事故も起こりません。


なお、今回は幸運にも勝利を収めることができましたが、AIのレベルは非常に高いため、AIを相手に戦う時は心してかかったほうが良さそうです。

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in レビュー,   ソフトウェア,   ゲーム, Posted by log1h_ik

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