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世界的な「コンテナ不足」が発生中、コンテナは一体どこに行ってしまったのか?


海上輸送に用いられるコンテナの不足が、深刻な事態に発展しつつあります。ビールやワインの輸送を専門とする国際的な物流会社であるHillebrandが、コンテナが消えてしまった原因について解説しました。

Where are all the containers? The global shortage explained
https://www.hillebrand.com/media/publication/where-are-all-the-containers-the-global-shortage-explained

Hillebrandによると、コンテナ不足の発端は2020年に発生した新型コロナウイルス感染症対策(COVID-19)のパンデミックだとのこと。本格化するCOVID-19の感染拡大への対策として、世界各国で都市封鎖が実施された結果、経済活動がストップし大量のコンテナが港に放置されることになりました。これに伴い、多くの海運会社が減便したため、今度は世界中の船が空のコンテナを回収することができないという事態に直面しました。


COVID-19のパンデミックは中国を震源地としていますが、パンデミックからいち早く立ち直ったのも中国でした。中国が世界に先駆けて輸出を再開したことで、アジアに残っていたコンテナが次から次へと北米やヨーロッパに運び込まれましたが、欧米の経済は停滞を続けているため、空コンテナが回収できない問題はますます深刻化していきました。

Hillebrandによると、北米の波止場では人員不足によるコンテナ処理の遅延が発生しており、陸揚げされたコンテナ100個のうち60個はそのまま北米に留め置かれているのが現状とのこと。一方、アジアから北米に運び込まれる海上輸送用コンテナの数は、2020年10月には前年同期比23.3%増で過去最多となる20フィートコンテナ換算(TEU)で90万個を記録しているため、北米の波止場に空のコンテナが積み上がっていく状況が今後も続くと、Hillebrandは予想しています。

新しく製造されるコンテナ数の減少も、コンテナ不足に拍車をかけています。コンテナの生産数は、2019年から減少傾向にあり、2020年前半の需要減がこの状況に追い打ちをかけました。中国の輸出復活によってコンテナの需要が高まりを見せている記事作成時点でも、老朽化により廃棄されるコンテナの数が新規に製造されるコンテナの数を上回る状況が続いており、コンテナ工場の在庫も底をつきつつあります。

以下は、工場で生産されるコンテナ数の推移を表したグラフです。2019年10月には100万TEU近かったコンテナ生産数が、2020年10月には約30万TEUまで落ち込んでいます。


コンテナの需給が切迫するのに伴い、コンテナの価格も急騰しました。海事情報に特化したニュースサイト・Splash247によると、コンテナ市場で独占的な立場にある中国のコンテナメーカーは、2019年には1600ドル(約17万円)だった新品のコンテナの価格を2500ドル(約27万円)につり上げているとのこと。こうした現状から、Hillebrandは「世界的なコンテナ危機が解消されるのは、早くても数カ月は先になるでしょう。そのため、残念ながら輸送料は2022年になっても高止まりしたままだと予想されます」と結論付けました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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