生き物

ミトコンドリアのような共生体から硝酸塩呼吸でエネルギーをもらっている微生物が見つかる

by Max Planck Institute for Marine Microbiology, S. Ahmerkamp

これまで、真核細胞にエネルギーを供給するのはミトコンドリアだけであると考えられてきましたが、マックス・プランク海洋微生物研究所などの研究により、ミトコンドリアとは異なる共生細菌もエネルギーを供給できることが、「硝酸塩呼吸(脱窒)」を行う共生体によりエネルギーを得ている繊毛虫の発見からわかりました。

Anaerobic endosymbiont generates energy for ciliate host by denitrification | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03297-6


New form of symbiosis discovered
https://www.mpi-bremen.de/en/New-form-of-symbiosis-discovered.html

Strange microbe “breathes” nitrates using a mitochondria-like symbiont | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/03/nitrate-breathing-microorganism-offers-glimpse-into-evolutions-past/

マックス・プランク・ゲノムセンターの生物学者Jana Milucka氏らは、2016年にスイスのツーク湖で水深約190mからサンプルを採取しました。ツーク湖が選ばれたのは、上部に酸素の含まれた層がある一方で、底部近くは酸素を含まない層がある成層構造になっていたことが理由で、底部に生息する生物は酸素がなくても生きていけるよう進化していると考えられたためでした。


採取したサンプルから得られた生物すべてのDNAの塩基配列を調べたMilucka氏らは、その中から、硝酸塩呼吸の完全な代謝経路を持つ細菌(バクテリア)のゲノムを発見しました。このゲノムは、昆虫の体内に生息する共生微生物のものと似ていたとのこと。しかし、湖の底部に昆虫が生息しているとは考えらず、この時点ではゲノムの説明はつきませんでした。


このため、共生候補を探し始めたMilucka氏らは、新型コロナウイルス感染症によるロックダウンと国境閉鎖が行われる直前の2020年2月、再びツーク湖でサンプルを採取。

そして、「Candidatus Azoamicus ciliaticola」と名付けたバクテリアが、Plagiopyleaと呼ばれる繊毛虫の1種に、硝酸塩呼吸でエネルギーを供給して共生していることを発見しました。PlagiopyleaとCandidatus Azoamicus ciliaticolaの共生は、2億年前~3億年前からのものだと考えられています。

このような「真核生物とバクテリアの共生」そのものは珍しくはないのですが、バクテリアが宿主である真核生物とともに進化し、結果、共生していくしかなくなった事例は珍しく、また、バクテリアが宿主に生体のエネルギー通貨と呼ばれるアデノシン三リン酸(ATP)を供給している事例も珍しいそうです。

今回の発見は、ミトコンドリアの派生器官を持つ真核生物が、二次的にエネルギーを供給する内部共生者を獲得し、ミトコンドリアの機能を補完・置換する可能性を示唆するものだとのことです。

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in 生き物, Posted by logc_nt

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