Googleの第2世代「Nest Hub」に搭載されている非接触の睡眠追跡機能「Sleep Sensing」とは?
Googleが現地時間の2021年3月16日、スマートディスプレイ「Nest Hub」の第2世代モデルを発表しました。新たなNest Hubには「Sleep Sensing」という睡眠追跡機能が搭載されており、睡眠中の様子を追跡する接触型デバイスやカメラを使わずに、「Soli」というモーションセンサーを使用した追跡を行うとのことです。
Need a better night’s sleep? Meet the new Nest Hub
https://blog.google/products/google-nest/new-nest-hub-soli/
Google AI Blog: Contactless Sleep Sensing in Nest Hub
https://ai.googleblog.com/2021/03/contactless-sleep-sensing-in-nest-hub.html
Google announces new Nest Hub with Soli 'Sleep Sensing' - 9to5Google
https://9to5google.com/2021/03/16/new-nest-hub-sleep-sensing-soli/
Googleが2018年に発表したスマートディスプレイ「Home Hub」は、2019年に「Nest Hub」と改称されました。2021年3月16日に発表された第2世代Nest Hubは厚いベゼルに囲まれた7インチスクリーンを備えており、第1世代よりもオーディオの低音が50%強化されているとのこと。
第2世代Nest Hubに搭載された新たな機能には、Google独自のモーションセンサー・Soliを使用した睡眠追跡機能であるSleep Sensingがあります。Google Nestの製品マネージャーを務めるAshton Udall氏は、多くの人々が睡眠や健康に関する情報を求めてGoogleにアクセスしていることから、第2世代Nest Hubにも睡眠に関するソリューションを組み込むことにしたと述べています。
睡眠不足は認知症のリスクを33%、心血管疾患のリスクを48%上昇させるほか、脳年齢を3~5年も老化させるとのこと。また、睡眠不足による交通事故も問題となっており、多くの人々が十分な睡眠をとれないことに悩んでいる現状があります。Sleep Sensingを組み込んだ第2世代Nest Hubは、こうした睡眠の問題を解決する手がかりとなります。
Sleep Sensingがどのような機能になっているのかは、以下のムービーを見るとよくわかります。
How Sleep Sensing Works on the second-gen Nest Hub from Google - YouTube
睡眠は人々の生活に大きな影響を及ぼしていますが、自分の睡眠状態を追跡することは困難です。近年では手首などに装着する睡眠トラッカーやフィットネストラッカーも普及していますが、寝ている時にデバイスを装着するのが気になるという人や、睡眠中にデバイスを充電したい人にとって装着型のデバイスは選択肢にありません。
新たに発売される第2世代Nest Hubは、スマートディスプレイに睡眠追跡機能・Sleep Sensingを統合しており、枕元に置けば非接触で人々の睡眠を追跡することができます。Nest Hubには睡眠時の様子を撮影するカメラなどは搭載されていませんが、小型レーダーセンサーのSoliを使って睡眠時の姿勢や呼吸の状態を追跡可能だとのこと。Soliは手足の大きな動きだけでなく、呼吸に伴うわずか1cm以内の動きも検出できるそうです。
また、Nest Hub内蔵のマイクや光・温度センサーなどからも情報を収集し、せきやいびきといった睡眠中の動作や環境音、照明の明るさ、気温といった睡眠に影響を及ぼす要因についてもデータを集める仕組みとなっています。
Sleep Sensingが検出するのはNest Hubに最も近い人だけであり、近くにいる別の人の動きが睡眠追跡に影響を与えることはないとのこと。
Sleep Sensingはオプトイン方式の機能であり、ユーザーが許可しない限り睡眠追跡機能はオンになりません。また、睡眠時の動きを表したグラフや、せきやいびきといった睡眠に関する音声情報はNest Hubの内部で処理されます。
9to5Googleによると、せきの回数やいびきの時間といった一部の情報はGoogleに送信されるそうですが、音声や動きのグラフはGoogleに送信されません。ユーザーはNest Hub内の情報を削除することもできるほか、睡眠追跡機能のうちマイクだけをオフにすることもできます。
ユーザーが起床したら……
今回の睡眠に関するさまざまな情報を確認できます。データは健康管理アプリのGoogle Fitと同期し、iOSやAndroid端末でチェックすることも可能です。
ユーザーは自分の睡眠状態を把握することで生活の改善に役立てることができるほか、Nest Hubがユーザーの睡眠パターンを把握して、理想的なスケジュールを推奨する機能も搭載されているとのこと。
GoogleはSleep Sensingを開発するために、数千人から収集した合計100万時間以上のレーダー測定データを睡眠日記や別種のセンサーから収集した睡眠データと組み合わせて、機械学習モデルを訓練したと述べています。Googleは、「第2世代Nest HubのSleep Sensingは来年まで無料プレビューとして利用できます」と述べており、将来的には有料サービスとして提供される可能性があるそうです。また、Googleが2021年1月に買収したフィットネストラッカー企業「Fitbit」の睡眠追跡機能と統合する方法も模索中とのこと。
第2世代Nest Hubは3月16日から、アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・フランス・オーストラリアで事前注文が開始されており、発売は3月30日の予定とのこと。価格は99.99ドル(約1万1000円)となっています。
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