新たな死海文書が「恐怖の洞窟」から65年ぶりに発掘される、一体何が書かれていたのか?
およそ2000年前にヘブライ語で書かれた死海文書は、キリスト教やユダヤ教の聖典である旧約聖書の世界最古の写本で、現代に伝わる聖書の原型ともいえる存在です。そんな死海文書が65年ぶりに、イスラエルのユダヤ砂漠にある「恐怖の洞窟」から発掘されたと、イスラエル考古学庁が発表しました。
Israeli experts announce discovery of more Dead Sea scrolls
https://apnews.com/article/new-dead-sea-scrolls-israel-19844d3eb208190914182e78d9d79aac
Biblical scroll discovered in 'Cave of Horror' in Israel | Live Science
https://www.livescience.com/biblical-scroll-discovered-cave-of-horror.html
新たに発掘された死海文書と発掘の様子を、イスラエル考古学庁がムービーで公開しています。
Thrilling finds have been uncovered by the Israel Antiquities Authority in the Judean Desert - YouTube
新たな死海文書は、死海西岸に広がるユダヤ砂漠の岸壁にある洞窟から発掘されました。洞窟の存在自体は1960年代から知られており、内部に人骨が散在していることから「恐怖の洞窟」と呼ばれていました。なお、「恐怖の洞窟」の中に散らばる人骨の多くは、ローマ帝国に対するユダヤ人の反乱である「バル・コクバの乱」の犠牲者のものとみられています。
洞窟内部に入るには、ロープに捕まりながら険しい崖を進まなければなりません。
内部で行われる発掘作業の様子
今回発掘された死海文書がこれ。およそ1900年前に書かれたとみられる死海文書の中身は旧約聖書の十二小預言書の一部で、ゼカリヤ書の8章16~17節にある「あなたがたのなすべき事はこれである。あなたがたは互に真実を語り、またあなたがたの門で、真実と平和のさばきとを、行わなければならない。あなたがたは、互に人を害することを、心に図ってはならない。偽りの誓いを好んではならない。わたしはこれらの事を憎むからであると、主は言われる」という部分がギリシャ語で書かれていたとのこと。
また、恐怖の洞窟ではおよそ6000年前の子どものミイラが発掘されました。
ミイラにはまだ髪の毛が残っていたそうで、保存状態は比較的良好だとのこと。
完全に出土したミイラがこんな感じ。CTスキャンの結果、6歳~12歳の少女
また、およそ1万500年前のものと推定される、世界最古のカゴも発掘されました。
イスラエル考古学庁は、砂漠の乾燥した気候によってミイラやカゴの保存状態が保たれていたのではないかと考えています。
命綱をつけたスタッフが崖際をゆっくりと慎重に進みながら、出土品を運び出します。
イスラエル考古学庁のディレクターを務めるIsrael Hasson氏は、「新たに発見された巻物の断片は、修復中の状態です。調査のリソースはこの歴史的に重要な作業を完了させるために割り当てます。私たちは墓泥棒たちが発見する前に、洞窟内でまだ発見されていないすべての資料を確実に回収しなければなりません」と述べました。
・関連記事
聖書博物館所蔵の「死海文書」はすべて偽物であることが判明 - GIGAZINE
「死海文書」が眠る第12洞窟が新たに見つかる - GIGAZINE
「死海文書」でこれまで見つかっていなかったネヘミヤ記を含む断片発見か - GIGAZINE
「死海文書」がオンラインで全文公開へ、Googleとイスラエルが提携 - GIGAZINE
あの「死海文書」がNASAの技術で解読され、オンラインで公開へ - GIGAZINE
聖書の謎を解き明かす鍵、2000年以上前に書かれた「死海文書」が公開される - GIGAZINE
・関連コンテンツ