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「死海文書」が眠る第12洞窟が新たに見つかる


「二十世紀最大の考古学的発見」ともいわれる「死海文書」は、イスラエルのクムタンにある11の洞窟でのみ見つかってきた歴史的文章です。ここに新たに「死海文書が存在した」証拠のある第12個目の洞窟が発見され、新しい死海文書が見つかる可能性が高まっています。

Hebrew University Archaeologists Find 12th Dead Sea Scrolls Cave | האוניברסיטה העברית בירושלים | The Hebrew University of Jerusalem
http://new.huji.ac.il/en/article/33424

イスラエルの国立大学であるヘブライ大学の考古学研究所で働くオレン・ガットフェルド博士とAhiad Ovadia氏、バージニア大学のランドール・プライス博士およびその学生たちによって、新しい「死海文書が存在した洞窟」が発見されました。新しく発見されたのは、死海の北西岸に位置するクムランから西に行った場所にある洞窟で、第二神殿期に作成されたツボなどが同洞窟内に隠されていることから「死海文書が存在した」ことが証明されたかたちとなります。なお、死海文書が眠ると証明されたこの洞窟は、「第12洞窟」と呼ばれることになるとのことです。同洞窟で最初に発掘作業が行われたのは60年以上前のことですが、2017年になって初めて死海文書の眠る洞窟であることがわかりました。


第12洞窟での発掘作業は、イスラエル自然・公園局イスラエル考古学庁により支援されてきたもので、より組織的な調査や発掘作業を行うためにイスラエル考古学庁のイスラエル・ハッソン長官が発令した「オペレーション・スクロール」による成果でもあるとのこと。


発掘作業の様子


1950年代に行われた最初の発掘作業は、盗掘によるものだと見られています。その証拠として洞窟内には第二神殿期に使用されていた保管用のツボやフタが多数見つかっていますが、ツボはすべて壊れており、中身もなくなっていたとのこと。なお、盗掘を行ったのはベドウィン族であると考えられています。


ヘブライ大学のガットフェルド博士は、「これまで死海文書はクムランにある11個の洞窟でのみ発見されたものと考えられてきましたが、今後は12個の洞窟で見つかったものと周知されていくでしょう。ベドウィン族からの情報提供で発見につながった死海文書の存在する洞窟ですが、12個目の洞窟が見つかったことで、実際どれくらいの数そういった洞窟が存在するのか確信が持てなくなりました」とコメント。

さらに、「結局死海文書自体は見つからなかったものの、ツボの中に保管された巻かれた羊皮紙を見つけました。これは何かを書くためにツボの中に保管されていたもので、この羊皮紙の発見こそが洞窟内に存在した死海文書が盗まれたことを示しています。なお、洞窟内で発見されたものはツボの中に入った羊皮紙の他に、羊皮紙を巻き付けるための革バンドや羊皮紙を包むための布などの断片があります」と語っています。

割れたツボの中に入った羊皮紙


羊皮紙を包むための布


また、同時に石刃や矢尻……


カーネリアンで作った装飾されたスタンプシールなども発見されており、これは明らかに銅器時代や新石器時代に使用されていた洞窟であるとのこと。


イスラエル古代庁のハソン局長は、「別の死海文書洞窟が発見されたことは、ユダヤ砂漠にはまだまだ多くの作業が残っており、重要な発見を待っているという事実を証明しています。イスラエルは、古代の泥棒が世界的な財産を盗んで金銭を得たため、時間をかけて発掘作業を行う必要があります。我々は、歴史的な活動を公衆とともに組織的に実施するため、必要な資源を動員し、ユダヤ砂漠のすべての洞窟を発掘します」と語っており、今後ユダヤ砂漠でさらなる発掘作業が行われる意向です。

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in メモ, Posted by logu_ii

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