新型コロナの流行で「オンラインでの購買行動」はどう変化したのか?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で人々の行動が大きく変化し、経済にも大きな打撃を与えました。そんな中でオンライン市場は伸びを見せており、AdobeはAdobe Analyticsによる分析から、「インフレの発生」「『今買って後で払う』の流行」といった、いくつかの消費の兆候を発表しています。
Adobe Digital Economy Index: COVID-19 Report
https://blog.adobe.com/en/publish/2021/03/15/adobe-digital-economy-index-covid-19-report.html#gs.vq9glx
Adobeによると、2020年3月から12月までのeコマースにおける売り上げは、前年比で42%増の8130億ドル(約88兆円)に達したとのこと。このようなeコマースの成長は今後も続いていくとみられており、2021年には8500億ドル(約93兆円)、2022年には史上初の1兆ドル(約110億円)に達するとAdobeは予測しています。
そんなAdobeが発表した市場の変化は以下の通り。
◆1:新年の消費
2021年1月~2月における消費者のオンラインでの消費は1210億ドル(約130兆円)であり、前年比で34%の成長を記録しました。
◆2:「今買って後で払う」の流行
「今買って後で払う」という支払い方法がブームとなり、2021年1月~2月の利用は前年比で215%の成長だったとのこと。このオプションは経済的な不安定さを抱えるユーザーにとって魅力的なものとなり、この支払い方法を利用する人は一度の購入額が18%高くなるという調査結果も示されています。
◆3:食料品購入の新しい行動習慣
2020年から2021年にかけて「オンラインで食料品を購入する」という消費者行動は一環した成長率をみせました。2021年2月1日から2月21日までのオンラインにおける食料品購入は、パンデミックの前である2020年1月6日から1月26日までに比べ、売り上げが230%したそうです。まだ、同じ期間での比較で、「スポーツ用品の購入」についても75%の成長率だったとAdobeは述べています。
◆4:売り手は需要への対処に困難を抱える
2020年7月には「在庫なし」というメッセージがパンデミック前の2020年1月の3倍も表示されることになりました。このような「在庫なし」が頻繁に表示されるという傾向は2021年になっても続いており、特に食料品・医療用品・ペット用品で見られやすいとのこと。
◆5:これまでの「たくさん買い物をする日」は力を失う
アメリカで消費が活発になる感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間は、売り上げが9%減少。また同様にメモリアルデーにおいても20%消費が減少しました。
◆6:店頭受け取りサービス「BOPIS」は人気を保つ
消費者が感染の可能性を低く保ったまま安全に買い物ができる手段として、ロックダウンの時期にはBOPISが人気を集めました。BOPISはその後も人気を保っており、2021年2月には前年比で67%の成長を遂げたとのこと。
また、消費者の行動変化を受けてオンラインでの商品価格に変化が生じていることも報告されています。具体的にいうと、オンライン市場は需要に対して供給が追いついておらず、新たなコストが発生し、商品価格が高騰した結果、消費者のデジタル購買力は前年比で1%減少。また2019~2020年度は前年比で10.4%減だった電子機器の価格は2020~2021年の期間中、前年比で2.2%減にとどまりました。加えて、食料品価格は前年比で4.2%アップ、家庭・ガーデニング製品の価格は前年比で3.9%アップと、いたるところでインフレが見られるとのことです。
なお、PayPalも同様にeコマースの大きな成長を報告しており、2020年は9360億ドル(約100兆円)だった支払いが、2021年には1兆ドル(約110兆円)に達するとみています。
PayPal Sees No Letup for Online Shopping Even With Reopenings - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-03-15/paypal-sees-no-letup-for-online-shopping-even-with-reopenings
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