サイエンス

「地球の内核の中には未知の構造が存在する可能性がある」との研究結果

by Shea Huening

地球はいくつもの層が重なり合った構造をしており、外側から地殻マントル(上部マントル・下部マントル)外核内核と呼ばれています。新たに査読付き雑誌のJournal of Geophysical Researchに掲載された論文では、地球の一番内部にある内核には、これまで知られていなかった構造が存在する可能性が示唆されています。

Evidence for the Innermost Inner Core: Robust Parameter Search for Radially Varying Anisotropy Using the Neighborhood Algorithm - Stephenson - 2021 - Journal of Geophysical Research: Solid Earth - Wiley Online Library
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1029/2020JB020545

Scientists dig deep to reveal Earth’s hidden layer - ANU
https://www.anu.edu.au/news/all-news/scientists-dig-deep-to-reveal-earth%E2%80%99s-hidden-layer

Scientists Detect Signs of a Hidden Structure Inside Earth's Core
https://www.sciencealert.com/earth-s-hidden-innermost-core-hints-at-an-even-more-dramatic-planet-history


地殻の下の内部構造に関する科学的理解は、地形や海底の観測、地表に露出した岩石の観察、火山活動により地表へ出てきたマグマなどの調査、内部構造を通って伝わる地震波の分析、重力や磁場の測定といった研究に基づくものです。オーストラリア国立大学の地球物理学者であるジョアン・スティーブンソン氏は、「地球には地殻・マントル・外核・内核という4つの主要な層があると教えられてきました」と述べています。

根気強い間接的な観測によってこれらの層が存在することはほぼ確実だとみられているほか、地下5100~6400kmに位置する内核は月と同じくらいの大きさであり、その温度は5000度以上に達することもわかっています。非常に高温の内核が溶けることなく固体の状態を保っているのは、特殊な原子拡散パターンによるものだとの研究結果もあります。

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By Mark Rain

スティーブンソン氏の研究チームは内核のより正確な構造を調べるために、国際地震センターが数十年にわたり収集してきた、地震波が地球内部を通過する時間の観測データに着目。このデータと数千パターンにおよぶ内核の構造モデルを、探索アルゴリズムを用いて照合したとのこと。

内核を通過する地震波の特性の変化を分析したところ、内核の構造が地下5800km付近で変化している可能性が高いことが判明。「私たちは内核における鉄の構造の変化を示すかもしれない証拠を見つけました。これはおそらく、地球の歴史の中で2回の冷却イベントが別々に起きたことを示唆しています」と、スティーブンソン氏は述べています。

今回の研究は、観測された地震の数や受信機の配置によって確実性が制限されていたものの、いくつかの実験的証拠がこれまでの地球構造モデルと矛盾する理由を説明するかもしれないとのこと。スティーブンソン氏は、「今回の結果は非常にエキサイティングです。教科書を書き直さなければいけないかもしれません!」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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