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「たとえ無料で便利でもGoogleアナリティクスを使うべきではない」という主張


Googleは検索エンジンだけではなく、GmailやGoogleドキュメント、Googleアナリティクス、Googleスプレッドシートなど、さまざまなサービスを無料で提供しています。しかし、古くから「ただより高いものはない」といわれるように、無料で提供されるのにはそれだけの理由があるわけで、ウェブアプリ開発者のキャスパー・ブレーデ氏が「Googleアナリティクスは無料で提供されているが、使うのをやめるべきだ」と主張しています。

Google Analytics: Stop feeding the beast | Caspar von Wrede
https://casparwre.de/blog/stop-using-google-analytics/


近年のGoogleは検索エンジンを運営する小さく風変わりな会社ではなく、巨大な多国籍企業となりました。Googleの主な事業は検索エンジンでも、生産性ツールの開発でもなく、巨大な広告プラットフォームの運営です。


Googleの製品の多くは圧倒的な市場シェアを占めています。例えば2021年1月時点でのウェブブラウザ市場におけるGoogle Chromeのシェアは63.5%で、2位のFirefox(19.45%)を大きく引き離しています。また、スマートフォンのOS市場では、Googleが開発を主導するAndroidが71.93%でシェア1位を誇ります。

Facebookという競合相手は存在しますが、GoogleはChromeやAndroidの成功を基盤として、オンライン広告事業を急速に拡大しました。Googleの2016年における収益は900億ドル(約9兆5000億円)でしたが、2020年の収益はおよそ1800億ドル(約19兆円)でした。これはつまり、わずか4年で収益が2倍になったことになります。


しかし、こうしたGoogleの急成長は、投資家には富をもたらすでしょうが、一般の消費者にとっていいこととは限らないとブレーデ氏は主張しています。

例えば、インターネット上にあるニュース記事にはクリックベイトのヘッドラインやCookieバナーが仕込まれており、ページの上部には大量の広告が表示されます。これらはすべてGoogleのせいで起こったことだとブレーデ氏は述べています。

また、広告事業によって、Googleのコア事業だった検索エンジンも消費者にとってつかいにくいものとなりつつあります。以下の画像は、Googleの検索結果の中に表示される広告枠の、2003年から2019年にかけての変化をまとめたもの。年を経るごとに、Googleの検索結果と広告枠を区別することが難しくなっているとブレーデ氏は指摘しています。


ブレーデ氏は「Googleの製品のほとんどが無料であり、そのほとんどが非常に便利で素晴らしいものです。しかし、それらの製品はより多くのデータを吸い上げて、広告業をさらに成長させるために存在しています」と述べ、Googleのビジネスモデルは収集した個人のデータに経済価値を見出す「監視資本主義」だと主張しました。


そんなGoogleが提供するウェブサイトの統計ツールがGoogleアナリティクスです。インターネット上にあるすべてのサイトの53%以上が、Googleアナリティクスを使ってサイトの訪問者を追跡しています。また、既知の分析スクリプトを使用するサイトの84%がGoogleアナリティクスを使用しており、Googleアナリティクス関連のリクエストは、すべてのネットワークリクエストの0.64%を占めているといわれています。

ブレーデ氏は「Googleアナリティクスは無料です。非常にいいもので、誰もが使っています。しかし、実際にはサイトの速度に影響を与える肥大化したスクリプトであり、大多数のサイト所有者には必要がありません。また、広範なプライバシーポリシーが求められるほか、煩わしいプロンプトが必要になるため、サイトのユーザーエクスペリエンスが悪化します。何よりFirefoxなどによってブロックされてしまうため、データも正確とはいえません」と述べています。

by Daniel_Afanador

さらにブレーデ氏は「ウェブ開発者は、開発で使う無料のツールについて考慮することが道徳的に求められます。Googleアナリティクスは、表面的には無料で非常に便利です。しかし、私たちは見えないコストを支払わされているのです」「世界をよりよくしたいのであれば、Googleという獣にエサをやるのをやめるべきです」と語りました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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