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Amazonで無数に投稿されている「ステマレビュー」はいくらで依頼することができるのか?


Amazon上に投稿されているレビューの42%が偽レビューであると指摘されていたり、レビュアーランキングの上位10人中7人がステマレビューを投稿していると報じられていたりと、Amazon上には参考にならないでたらめなレビューが多数存在することが問題視されています。そんなユーザーにとって害しかない「ステマレビュー」が、いくらで販売されているのかをイギリスの消費者向け情報誌のWhich?が調査しています。

How a thriving fake review industry is gaming Amazon marketplace ? Which? News
https://www.which.co.uk/news/2021/02/how-a-thriving-fake-review-industry-is-gaming-amazon-marketplace/

Posing as Amazon seller, consumer group investigates fake-review industry | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2021/02/fake-amazon-reviews-still-sold-in-bulk-it-costs-10900-for-1000-reviews/

Which?は2020年12月に、レビュー操作サービスを提供する10のサイトを用いて、ステマレビューがいくらで購入できるのかについて調査を行いました。調査の結果、5つのレビュー操作サービスだけで70万2000人以上のレビュアーを抱えていることが明らかになっています。


レビュー操作サービスのひとつは、AMZTigersというドイツの会社が提供していたそうです。Amazonはマーケットプレイスで製品の販売を行うサードパーティ業者に対して、レビューに対して報酬を支払うことを禁止しています。このポリシーに違反すると、販売業者はAmazonのアカウントを一時停止あるいは削除されます。しかし、AMZTigersが提供しているサービスは「Amazonのポリシーに反するサービスそのものである」とWhich?は指摘しました。

以下はAMZTigersが提供しているステマレビュー投稿サービスの価格表。1レビューあたり15ユーロ(約1900円)で販売されており、50レビューで699ユーロ(約9万円)、100レビューで1299ユーロ(約16万7000円)、250レビューで2999ユーロ(約38万5000円)、500レビューで4999ユーロ(約64万1000円)、1000レビューで8999ユーロ(約120万円)となっています。


AMZTigersのステマレビュー投稿サービスは、「AMZTigersが抱えるレビュアーを用いて、特定の検索ワードで売り上げを生み出すことにより、販売者が2週間以内にAmazon's Choiceの承認を得る役に立つ可能性があります」とアピールしているそうです。

なお、Which?はAMZTigersとコンタクトを取ったそうですが、返答は得られなかった模様。AMZTigersは2019年12月に実施されたDaily Mail Onlineによる同様の調査の調査対象でもありました。Daily Mail Onlineの調査報告書では、AMZTigersの従業員が「投稿されたレビューが気に入らない場合、レビュアーを変更することができます。これは合法ではありませんが、違法でもありません。あくまでグレーゾーンにあります」と調査員に対して語ったと記されています。

Amazonはこのようなステマレビューを投稿するサービスを提供する企業に対して、何度も法的措置を取ってきました。しかし、Amazonが法的措置を取るだけではステマレビューを投稿するネットワークを撲滅することは難しいそうで、規制当局などの協力が必要であると訴えています。また、一般向けには製品レビューの信頼性に疑問を感じた場合に、各レビュー下にある「違反を報告」ボタンを使用することを推奨しています。


他にも、販売業者がレビュアーに対して製品を無償で提供したり、ギフトカードをプレゼントしたりといった手法も横行しています。こういった慣行もAmazonは利用規約で禁じています。

Amazonでレビューを書いているトップレベルのユーザーはタダでいろいろともらいまくり - GIGAZINE

by Stephen Woods

しかし、販売業者とレビュアーをつなげるようなサイトが複数存在しており、こういったサイト上ではレビューと引き換えに無料で製品が提供されたり、割引券が配布されたりしているとWhich?は指摘。


販売業者とレビュアーのマッチングサービスを提供しているサイトのひとつが「AMZDiscover」です。同サイトの有料サービスにアクセスすると、販売業者は既存のAmazonレビュアーの連絡先の詳細にアクセスできるようになっており、これを基にレビュアーと直接連絡を取り、ステマレビューの投稿に関する交渉が行えるようになっているわけです。Amazonは外部企業に顧客の連絡先情報などを販売することを禁止しているため、AMZDiscoverはAmazonの利用規約に明らかに違反したサービスとなります。

Which?はAmazonに対してステマレビューを防ぐためにより積極的な行動を求めており、「Amazonがステマレビューに対して責任を負わない場合、ステマレビューに対するプラットフォーム側の法的責任を含め、政府機関が消費者保護を緊急に強化する必要があります」と述べ、Amazonに対して圧力をかけることも視野に入れるべきとしています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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