まるでペラペラの紙のようなスピーカー「T-Paper」が開発される
両面にカラー印刷可能で、普通の紙にしか見えないスピーカー「T-Paper」がドイツのケムニッツ工科大学で開発されました。T-Paperを応用することで、ポスターや本から直接音楽や効果音を再生することができるようになり、表現の幅がさらに広がることが期待されます。
Paper‐Embedded Roll‐to‐Roll Mass Printed Piezoelectric Transducers - Schmidt - - Advanced Materials - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.202006437
Surround sound from lightweight roll-to-roll printed loudspeaker paper
https://phys.org/news/2021-01-lightweight-roll-to-roll-loudspeaker-paper.html
T-Paperの見た目はこんな感じ。全体の90%が従来の紙で構成されているとのことで、スピーカーと言われても普通の紙にしか見えません。
以下のムービーでは、T-Paperが開発された経緯がプロジェクトマネージャーのGeorg C. Schmidt氏によって解説されています。
Surround-Sound aus leichtem rollengedruckten Lautsprecher-Papier - YouTube
T-Paperは、ケムニッツ工科大学で20年以上続くプリント型電子機器の開発プロジェトの一環として開発されました。ケムニッツ工科大学は2015年に、紙製のスピーカーで作られた本「T-Book」を開発しましたが、T-Bookに使われた紙製スピーカーは「通常の紙の層」「導電性有機ポリマーの層」の2層構造で、1枚1枚手作業で作る必要があったとのこと。
T-Paperでは、ロール・ツー・ロール方式による生産が可能になり、低コストで大量に生産できるようになりました。
何枚かのT-Paperをつなげてサラウンド環境を実現することもできます。以下の画像では、7枚のT-Paperをつなげて360度の音響システムを構成しています。回路も含めた全体の重さはたったの150gとのこと。
Schmidt氏は、「T-Paperを用いることで、美術館や見本市、広告業界などで、低コストな情報表示が可能になります。廊下に設置して均一な音響体験を提供することもできます」と述べ、T-Paperがさまざまな用途に使われることに期待を寄せています。
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