WhatsAppが数百万人のユーザーを失う事態に
Appleがプライバシーポリシーを変更し、App Store上で配信されているアプリに対して「プライバシーラベル」の表示を義務づけた影響で、WhatsAppが大量のユーザーデータを取得していることが判明。これにより、個人情報の漏えいを恐れて、数百万人のWhatsAppユーザーが秘匿性の高い他のアプリに移行していることがわかりました。
WhatsApp loses millions of users after terms update | WhatsApp | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2021/jan/24/whatsapp-loses-millions-of-users-after-terms-update
WhatsApp asked to withdraw new privacy policy by Indian government
https://www.androidpolice.com/2021/01/19/whatsapp-asked-to-withdraw-new-privacy-policy-by-indian-government/
20億人のユーザー数を誇るWhatsAppですが、ユーザーはその個人情報の取り扱いに疑問を抱き始めています。WhatsAppは2016年に「ユーザーにWhatsAppアカウントと親会社であるFacebookのアカウントの紐づけ(情報共有)を行うか任意で選択させる」と利用規約を改定しますが、その後2021年1月7日に「2021年2月8日の利用規約改定以降、アカウントの紐づけを行わなければWhatsAppの利用はできなくなる」という通知を発信、WhatsAppユーザーは「Facebookとデータを共有するかWhatsAppの使用を停止するか」の二択を迫られる事態となりました。
また2021年1月6日に起きたアメリカの連邦議会議事堂をドナルド・トランプ氏の支持者らが襲撃した事件をきっかけに、主要なSNSが過激な投稿を行うユーザーを締め出すような動きを見せたこともあり、投稿の削除を恐れたユーザーやプライバシーに気を配るユーザーが他のメッセージングサービスに移行を開始。イギリスの内務審査委員会の調査によると、2021年1月の最初の3週間で、ユーザーデータを全く取得しない最も安全なメッセンジャーアプリである「Signal」のユーザー数は750万人増加、メッセージが暗号化され一定時間後に削除される「Telegram」のユーザー数は2500万人増加したとのこと。
さらに4億人のユーザーを抱えるWhatsAppの最大市場であるインドの政府が「一方的な規約改定は不公正であり受け入れられない」と声明を発表、利用規約を変更するようWhatsAppのCEOに直接書簡を発送しました。
WhatsAppの公共制作担当ディレクターであるニアム・スウィーニー氏は内務審査委員会に対し「ユーザー離れは2021年2月の利用規約改定に関連していると信じられている」と語り、「利用規約改定はビジネスメッセージングサービスの新しい機能を有効化し、プライバシーポリシーを明確かつ透明性の高い物にすることが目的であり、Facebookと情報を共有する方針に変更はない」と述べました。しかし爆発的に拡大しているユーザー離れを抑えるためか、WhatsAppは2021年2月の利用規約改定を2021年5月15日まで延期すると発表しています。
世界最大のアプリ調査会社「アップアニー」のアミール・ゴードラティ氏は「メッセージングアプリやSNSなどのユーザー数の変化は珍しいものではなく、ユーザー離れを防ぐためには迅速に行動する必要がある」と語っています。
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