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ボーイングが総額2600億円以上を「航空機の安全評価で政府機関をだました」ため支払うことに


大手航空機メーカーのボーイングが製造したジェット旅客機・ボーイング737 MAXは、2018年10月から2019年3月までのわずかな期間で2度の墜落事故を起こしました。政府機関による墜落事故の調査により、「ボーイングが航空機の安全評価で意図的に政府機関をだました」ことが判明したため、ボーイングは総額25億ドル(約2600億円)以上を支払うこととなりました。

Boeing Charged with 737 Max Fraud Conspiracy and Agrees to Pay over $2.5 Billion | OPA | Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/boeing-charged-737-max-fraud-conspiracy-and-agrees-pay-over-25-billion


Boeing to pay more than $2.5 billion to settle criminal conspiracy charge over 737 Max
https://www.cnbc.com/2021/01/07/doj-fines-boeing-over-2point5-billion-charges-it-with-fraud-conspiracy-over-737-max-crashes.html

Boeing charged with fraud over 737 Max, fined more than $2.5 billion | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2021/01/boeing-charged-with-fraud-over-737-max-fined-more-than-2-5-billion/

2018年10月のライオン・エア610便墜落事故および2019年3月のエチオピア航空302便墜落事故は、いずれもボーイング737 MAXによる墜落事故であり、2つの事故による乗員乗客の総死者数は346人に上ります。これらはボーイング737 MAXの問題によって発生したと見られており、司法省などによる調査が行われていました。

調査の結果、ボーイング737 MAXに搭載されていた「操縦特性増強システム(MCAS)」という自動制御システムに問題があったことが判明しました。また、潜在的なセンサーの不一致をパイロットに警告するシステムはオプション機能だったそうで、ライオン・エアもエチオピア航空もこのオプションを購入していなかったとのこと。

by Steve Lynes

ボーイングに関する調査を進めていた司法省は2021年1月7日付けで、「ボーイング737 MAXの安全性を評価する政府機関をだました」として、重大な詐欺の罪に関してボーイングと訴追延期合意(DPA)を結んだと発表しました。DPAは検察官と被疑者が合意を結び、「被疑者が特定の条件を守れば犯罪訴追を見送る」という制度であり、今後も追加の違反が見つからなかった場合は3年後に起訴が取り下げられるそうです。

今回の合意により、ボーイングは2億4360万ドル(約253億円)の刑事罰金、ボーイング737 MAXの顧客に対する17億7000万ドル(約1840億円)の補償金、2つの墜落事故で死亡した346人の遺族に対する5億ドル(約520億円)の補償金、総額25億ドル(約2600億円)以上を支払うこととなっています。


司法省は、ボーイング737 MAXの導入前に安全性の評価を実施したFAAに対し、ボーイングの従業員が「誤解を招く発言を行い、真実を全て伝えず、十分なコミュニケーションを怠った」と指摘。航空機の制御システムが持つ機能について故意にFAAをだまし、飛行中の人々の安全を確保する当局の能力を妨げた結果、重大な墜落事故につながったと強く非難しています。

司法省刑事課のデイヴィッド・バーンズ代理弁護士は、「ライオン・エア610便とエチオピア航空302便の悲劇的な墜落事故は、世界有数の航空機メーカーの従業員による詐欺的で欺瞞(ぎまん)的な行為を明らかにしました」「ボーイングの従業員は737 MAX航空機の運用に関する重要な情報をFAAから隠して欺瞞を隠ぺいする努力によって、率直さよりも利益を優先しました」と述べました。

なお、2019年3月からボーイング737 MAXの運航は世界的に停止されていましたが、エチオピア航空の事故からおよそ1年9カ月が経過した2020年12月に、一般旅客を乗せたボーイング737 MAXの運航が再開しています。

ボーイング737MAXが運航再開 1年9カ月ぶり:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASNDB4WJ6NDBUHBI01C.html

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in メモ, Posted by log1h_ik

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