Adobeの永続ライセンス版「Lightroom 6」は崩壊しつつあるとの指摘
Adobeが開発・販売する「Adobe Photoshop Lightroom」は写真編集用のソフトウェアであり、2015年に永続ライセンス版の「Lightroom 6」が発売されました。ところが2020年12月に入って以降、「Lightroom 6で一部の機能を使おうとするとクラッシュしてしまう」といった報告が上がっており、「Lightroom 6は永続的とはいえない」と報じられています。
Lightroom Classic: v6.10 crashes in the facial recognition Modul | Adobe Photoshop Family
https://feedback.photoshop.com/conversations/lightroom-classic/lightroom-classic-v610-crashes-in-the-facial-recognition-modul/5fd510567288d52d004c42d6
Adobe Lightroom v6 is Falling Apart
https://petapixel.com/2020/12/24/adobe-lightroom-v6-is-falling-apart/
2015年に発売されたLightroom 6は買い切り方式のソフトウェアとなっており、一度購入すればソフトウェアが永続的に使用可能とされていました。2017年にはLightroom 6の販売が終了してLightroomの買い切り方式が全て廃止され、記事作成時点では月額課金(サブスクリプション)方式の「Lightroom CC」のみが提供されています。
Adobeは買い切り方式のLightroom 6について、2017年末に最終バージョンのアップデートを最後にサポートを終了すると発表しました。それでもサブスクリプション方式に移行したくないユーザーはLightroom 6を使用し続けていましたが、2020年12月にはLightroom 6の公式フォーラム上で、「特定の機能を使おうとしたらLightroom 6がクラッシュする」という報告が上がっています。
Lightroom 6ユーザーが報告しているのは、「Lightroomの顔認識モジュールを開くとアプリが数秒以内に終了する」というもの。Lightroom 6およびLightroom CCの顔認識モジュールは、写真の中から特定の顔を識別してカタログを整理できるツールです。
2020年12月13日、MStutzというユーザーは「ここ1週間、顔認識モジュールを開くとLightroomがクラッシュします」と報告し、2020年12月のWindows Updateによる影響か、あるいはPhotoshop Elements 2021・Adobe Premiere Elements 2021のインストールが関係しているのではと述べました。
また、cldmitryという別のユーザーは、顔認識モジュールだけでなく写真のメタデータを複製する仮想コピーの機能を使った際にもアプリがクラッシュすると報告しています。
dale_5435052というユーザーは「PCの日付を10月1日に変更したところ、不思議なことに顔認識モジュールが動作しました」との解決策を述べており、問題はシステムの日付にあることが判明しました。
今回の事態を報じたテクノロジー系メディアのPetaPixelは、システムの日付を戻せば問題が解消されることから、「Adobeがアプリの機能に使用したサードパーティライセンスの有効期限切れ」が一連の問題を引き起こしている可能性があると指摘しています。
TML59というユーザーはフォーラム上で、Adobeの顔認識機能がDLLの形で他社からライセンスされていることが問題だとコメント。AdobeがLightroom 6のサポートを終了したこと自体は問題ないが、ライセンスの期限切れでLightroom 6が使えなくなってしまう欠陥については、Adobeが責任を持って対応するべきではないかと主張しました。
Lightroom 6の機能が使えなくなってしまう事態は今回が初めてではなく、2018年には「写真を撮影した場所をGoogleマップ上で確認できるマップモジュール機能がLightroom 6で使えない」という報告が上がっています。これは機能に使用されるGoogle Maps APIキーの期限切れが原因であり、AdobeのAPIキーを個人のAPIキーに置き換える方法で修正できるとのこと。
PetaPixelは今回の事態を受けて、サードパーティライセンスの有効期限切れは今後も発生する可能性があり、時間の経過と共にLightroom 6でさらに多くの機能が使えなくなるかもしれないと指摘。avpmanというユーザーは、「私がLightroom 6を購入したのは永続ライセンス版のためでした。顔認識DLLのライセンス切れに対して『永続』という言葉の定義を議論するのも面白いかもしれませんね」とコメントしています。
一連の問題についてPetaPixelがAdobeに問い合わせたところ、Adobeの広報担当者は「Lightroom Classicの永続ライセンス版はサポートされていません」と回答。すでにLightroom 6のサポートを終了しているため、テクニカルサポートやセキュリティ修正、バグ修正といった対応はできないと述べました。
なお、Adobeは2020年に大幅な売上増を達成しており、継続的な収入を確保できるサブスクリプション方式への移行を進めることは、ビジネスの観点からすると賢明な判断だろうとPetaPixelは指摘しています。
As Adobe's Earnings Soar, It Plans to Invest Further in A.I. Editing
https://petapixel.com/2020/12/11/as-adobes-earnings-soar-it-plans-to-invest-further-in-a-i-editing/
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