「Waymo」の自動運転車に60回以上乗って分かったその安全性とは?
Alphabet傘下の自動運転車開発企業・Waymoが、2020年10月から一部地域で完全無人タクシー「Waymo One」の正式サービスを開始しました。そんなWaymo Oneに60回以上搭乗した結果から分かったWaymoの自動運転技術の安全性や乗り心地を、YouTuberのジョエル・ジョンソン氏とIT系ニュースサイトArs Technicaがまとめています。
This Arizona college student has taken over 60 driverless Waymo rides | Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2020/12/this-arizona-college-student-has-taken-over-60-driverless-waymo-rides/
Waymoは2020年10月に、自動運転タクシーサービス「Waymo One」をアリゾナ州フェニックスで開始しました。試験運用段階のWaymo Oneは安全のため運転手が同乗していましたが、10月からは運転手がいない「完全無人」のサービスが展開されます。
これに飛びついたのが、アリゾナ州立大学の学生であるジョンソン氏です。自身のYouTubeチャンネル・JJRicks Studiosでムービーを公開するYouTuberでもあるジョンソン氏は、Waymoの無人タクシーサービスを60回以上利用し、その様子を12本のムービーとしてYouTubeに投稿しました。
そんなジョンソン氏による無人タクシーのレビューを取り上げたArs Technicaは、「Waymoの自動運転車に搭乗しているムービーで最も印象的な点は、いい意味で退屈だということです。合計で5時間近くもあるドライビングのムービーの中で、Waymoの車が重大なミスをしている様子は1度も見られませんでした」とコメントしました。
退屈さを感じるほど危なげない自動運転技術を見せつけたWaymoとは対照的だとArs Technicaが主張しているのが、テスラの完全自動運転(FSD)です。実際に2020年10月にリリースされたFSDのベータ版を搭載した車両にArs Technicaの記者が3時間ほど試乗したところ、衝突寸前までいったケース2件を含めて合計12回も、人間のドライバーによるハンドル操作が必要になったとのことです。
著名な消費者情報誌「コンシューマー・レポート」は2020年9月に、「テスラのFSDは名ばかりで80万円超の価値ナシ」とのレポートを発表しています。
「テスラの完全自動運転は名ばかり」で80万円超の価値ナシとコンシューマー・レポートが評価 - GIGAZINE
Waymoの自動運転車を利用したジョンソン氏は、その乗り心地について「私がプライベートでWaymoに乗せた人は、みんなWaymoを信頼しました。車の動きはとてもスムーズなので、誰もコンピューターしか運転手がいないことに気付きませんでした」と話しています。特に、Waymoの自動運転車は加速やブレーキングが非常にスムーズとのことです。
一方、Waymoには「慎重すぎて歩行者が多いと動けなくなる」という欠点も残っています。以下のムービーを再生すると、実際にジョンソン氏がスーパーの駐車場にWaymoの車を呼び出した際の様子を見ることができます。
Waymo Self Driving Car v.s. Parking Lot Insanity + a Hard Lane Merge | JJRicks Rides With Waymo #15 - YouTube
Waymoの自動運転タクシーがスーパーの駐車場に入ってきました。運転席を見ると、人間の運転手は乗っていないことが分かります。
カメラを持ったジョンソン氏が後部座席に乗車。
車の前を、スーパーの買い物客が行き来します。その間、車は3分半ほど動きませんでした。
人の往来が途切れてからようやく車が発進しました。
Ars Technicaはこの点について、「歩行者がいる場面では、Waymoは慎重すぎます。人間のドライバーであれば、間違いなくもっと速く動けるでしょう。しかし、このことでWaymoを責めるのは困難です。人をはねる危険を冒すくらいなら、多少待たされた方がはるかにマシですから」とコメントしました。
Waymoはこれまで、フェニックスで合計610万マイル(約1000万km)の試験走行を実施しており、その中で車対車の衝突事故を18件起こしました。一連の試験走行では安全対策の運転手が同乗しており、Waymoは「もし運転手がいなければさらに29件の衝突事故が起きていた」と(PDFファイル)試算しています。
この安全調査の結果について、Ars Technicaは「現実に起きたものとシミュレーションで合計47件報告されている事故のうち、3分の1は追突事故でした。また、エアバッグが必要になる重大な事故は3件しかありません。まとめると、Waymoは1000万km近い運転の中で、衝突事故をほとんど起こさず、生命を危険にさらす衝突は皆無であり、発生した事故も、ほとんどは他の車の運転手の責任でした。この結果を踏まえると、『Waymoの自動運転技術はほとんどの状況で平均的な人間のドライバーよりも安全に運転可能』と主張されているのも納得ができます」と述べています。
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