小説版「スター・ウォーズ」の著者がディズニーに印税の支払いを求める
「スター・ウォーズ」を題材とした小説である、1978年に出版された「侵略の惑星」および、2002年に出版された「スター・ウォーズ - 崩壊の序曲」の2冊の著者であるアラン・ディーン・フォスター氏が、「ディズニーは支払うべき印税を支払っていない」と訴えています。
#DisneyMustPay Alan Dean Foster - SFWA
https://www.sfwa.org/2020/11/18/disney-must-pay/
アメリカでSF小説やファンタジー小説を書いているプロの作家たちによる非営利の団体であるアメリカSFファンタジー作家協会(SFWA)が、「正会員が契約書で交わされた指定の印税の支払いを受けられていない」というメッセージを公開しました。SFWAは正会員が契約の不履行などの紛争に巻き込まれた際に、それを解決するために役立つ機関として「苦情処理委員会」を設けています。この苦情処理委員会を通し、SFWAは出版社側と交渉を行うのですが、交渉がまとまった場合、苦情処理委員会に申し立てを行った小説家と訴えを起こされた企業側の名称が明かされることはありません。
しかし、交渉がまとまらない場合、SFWAは両者の名称を明らかにします。今回訴えを起こしたのは、小説版スター・ウォーズの著者であるフォスター氏で、訴えを起こされたのは2012年にルーカスフィルムを買収してスター・ウォーズ関連の権利のすべてを手にしたディズニーです。
フォスター氏はディズニーに対して、同氏が書いた「侵略の惑星」および「スター・ウォーズ - 崩壊の序曲」のロイヤリティの支払いを受けていないと主張しています。フォスター氏によると、ディズニーがルーカスフィルムを買収して以降、小説のロイヤリティの支払いは止まったままだそうです。
また、ディズニーが21世紀フォックスを買収して以降、フォスター氏が書いた「エイリアン」「エイリアン2」「エイリアン3」のノベライズについても、買収以降にロイヤリティの支払いを受けられていないそうです。なお、フォスター氏はロイヤリティの支払いについてまとめた書類等は一切受け取っていないとしています。
ディズニーからロイヤリティの支払いを受けられていないこれらの小説は、記事作成時点でも出版されており、これらの小説でディズニーはお金を稼いでいます。ディズニーは企業買収を繰り返すことで大きな成功を収めていますが、「その利益の中のごく一部を我々にも共有してくれることを望んでいます」とフォスター氏は主張。
フォスター氏は法定代理人経由でディズニーに問い合わせを続けてきたそうですが、ディズニーは同氏の問い合わせを無視し続けてきたそうです。フォスター氏は「これは大企業がしばしば行うことであることを知っています」と述べ、さらに「私以外に何人の作家やアーティストのことを無視していますか?」と問いかけています。
加えて、「私の妻は深刻な病を抱えており、私も2016年に進行型のがんと診断されました。もしもディズニーがロイヤリティを正しく支払っていれば、我々はそのお金を使った治療ができたはずです。私は慈善団体ではありません。私はこれまでディズニーが大好きで、映画やテーマパーク、ディズニーのテレビ番組を見て育ってきました。おそらく、正しい立場にいるディズニーの社員が私の言葉を受け取ることができていないのかもしれませんが、私の主張が数カ月間も無視され続けているという事実を理解することは難しいです」とフォスター氏は述べました。
SFWAのメアリ・ロビネット・コワル会長は、同団体の歴史上で苦情処理委員会が出版社と交渉を行い、上手くことが進まず、当事者同士の名前を明かすことになったのは「初めてのこと」と説明しています。
なお、ディズニー側の主張は「スター・ウォーズの権利は買収したものの、契約の義務は購入していない」というものだそうです。つまり、ディズニーは「フォスター氏の書いた小説を出版する権利はあるものの、契約については了承していないため、著者にロイヤリティを支払う義務はない」と主張しているわけ。SFWAは「この主張が正しいものと認められることとなれば、アメリカにおける著作権と契約の運用方法を根本的に変える前例となってしまう可能性があります」「そうなってしまった場合、契約を破るために子会社に権利を売却してしまえばいいだけです」と記しました。
SFWAは「あなたがアラン・ディーン・フォスターのファンであるか、作家の作品に価値があると信じているなら、この事実をディズニーに知らせてください」と記し、同時に#DisneyMustPayというハッシュタグも作成しています。
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