サイエンス

長生きするために摂取すべき栄養素の比率は年齢によって大きく異なるという研究結果


食事によって体に取り入れられる栄養素は、人の健康、ひいては寿命に大きな影響を与えます。シドニー大学の研究チームが発表した新たな研究は、寿命を損なわないために摂取すべき脂質・タンパク質・炭水化物の比率が「年齢によって大きく変化する」可能性を示唆しています。

Global associations between macronutrient supply and age-specific mortality | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2020/11/10/2015058117

National supplies of protein, carbs and fats can predict your lifespan
https://medicalxpress.com/news/2020-11-national-protein-carbs-fats-lifespan.html

The optimal diet for longevity comes down to this critical factor
https://www.inverse.com/mind-body/the-optimal-diet-for-longevity

人間の身体になくてはならない栄養素の中でも、脂質・タンパク質・炭水化物は主要なエネルギー源であることから特に重要なものとみなされており、健康を考える上で「バランス良く摂取することが重要」とされてきました。


シドニー大学のアリスター・M・シニア氏らが発表した新たな研究は、健康を考える上で最適な脂質・タンパク質・炭水化物のバランスは「年齢に応じて変化する」と主張しています。研究チームは103カ国が公開している計1879個の生命表と国際連合食糧農業機関が公開している主要栄養素の供給データ、および一人あたりの国内総生産などを統合的に分析することで、年齢に応じた摂取すべき栄養素の比率を算定しました。

その結果、死亡リスクを最小化する栄養素の比率は、25歳未満では「全カロリーの40~45%を脂質から、16%をタンパク質から、39%~44%を炭水化物から得るのがベスト」である一方、55歳以上では「全カロリーの22%を脂質から、11%をタンパク質から、67%を炭水化物から得るのがベスト」という結果が得られたとのこと。


この結果について、シニア氏は今回の研究は主要栄養素の供給データという「実際に摂取された栄養素」とは異なるデータについて分析するという手法を採ったために問題点が残されているとした上で、「50歳以上では炭水化物を多く摂取するべきという点が顕著だった」と主張。流行のダイエットなどに見受けられる「脂質の摂取量を減らす」「炭水化物を避ける」という考え方から離れて、「脂質・タンパク質・炭水化物の総合的なバランスを見直す」という考え方を採用するように勧めました。

また、シニア氏は今回の研究結果から、世界規模では食料の供給不足となっている一方、先進国では脂質や炭水化物の過剰供給によって死亡リスクが引き上げられていると指摘しています。

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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