サイエンス

体重が同じでも「何を食べているか」で死亡率や健康かどうかが変わってくる


肥満が社会問題化する中で、「太っていることは不健康で、やせていることこそ健康的」というイメージを持っている人も多いはずですが、近年は太っている人の方が長生きする「肥満パラドックス」が存在することも報告されています。これに加え、新たな研究では「同じ体重であっても何を食べて暮らしているかで死亡率が変わってくる」ということが示唆されています。

Combined associations of body mass index and adherence to a Mediterranean-like diet with all-cause and cardiovascular mortality: A cohort study
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1003331

Eating Healthy Foods May Be More Important Than How Much You Weigh
https://www.sciencealert.com/a-healthy-diet-may-be-more-important-than-what-you-weigh-new-study-finds

スウェーデンとアメリカの合同研究チームは過去21年にわたって収集されたスウェーデン人7万9003人のデータを対象に分析を行いました。分析対象となったデータは2つの研究プログラムを通じて収集されたもので、質問は食事に関する96の質問を含む、全350問で構成されていました。

分析の結果、全粒粉や野菜、魚、オリーブオイルを多くとる「地中海式ダイエット」を取り続けた人は、正常体重であっても過体重であっても死亡率が高くなることはありませんでした。一方で地中海式ダイエットから遠い食事内容の人は、たとえ正常体重であっても死亡率が高かったとのこと。なお、分析対象となった人は男女でほぼ同数でしたが、結果に男女差は見られませんでした。


「この研究結果は、死亡率の上昇を防ぐためには肥満予防よりも、地中式ダイエットのような健康的な食事を行う方が適していることを示唆します」と研究チームは述べています。

ただし、地中海式ダイエットを行っている肥満の人は、地中海式ダイエットを実施する正常体重の人に比べて、心血管系疾患が死亡要因となる確率が高いことも示されています。ここから、過体重と心血管系疾患の遺伝子要因が共通することのほか、健康的な食事を厳格に実施することが肥満のリスク要因を相殺することも考えられます。


一方で研究チームは「食事とBMI、そして死亡率の関連性について調査した私たちの観察研究は、体重や食事の変化が死亡リスクを減らすと証明するものではありません」と説明し、結論を出すまでには臨床試験が必須だと述べました。ただ、被験者に長期間にわたって厳格な食事制限を求める実験は、実施が難しいとも指摘されています。

現代では肥満が社会問題化しているため、肥満の背後にある科学を理解することが重要になってきています。2015年において、BMIは世界的に見て約400万人の死に関連したとみられており、このうち3分の2が心臓病による死だったとのこと。


1990年代から地中海式ダイエットの効果は注目されており、心臓発作の後に食事を地中海式ダイエットに切り替えたグループは、切り替えなかったグループに比べて死亡率が半分であることも研究で示されています。一方で、地中海式ダイエットで健康を手に入れた人は裕福で高い教養を受けた人に偏っているという研究結果もあり、効果を得るには高品質の食材が必要だとも指摘されています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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