バイデン批判記事の削除を強要されたとして著名ジャーナリストがニュースサイトThe Interceptを退社
2013年6月に元NSA職員のエドワード・スノーデン氏が行った、政府による国民監視システム「PRISM」の暴露に携わったジャーナリストで、のちに自らニュースサイト・The Interceptを共同で立ち上げたグレン・グリーンウォルド氏が、The Interceptと親会社ファースト・ルック・メディア(FLM)に対して退社を申し出たことを明らかにしました。退社理由は、グリーンウォルド氏が執筆した記事に対し、契約上の編集の自由に反する検閲と内容削除を求められたことだとのことです。
My Resignation From The Intercept - Greenwald
https://greenwald.substack.com/p/my-resignation-from-the-intercept
グリーンウォルド氏は、スノーデン氏の告発で大きな役割を果たしたジャーナリストです。告発当時、グリーンウォルド氏はイギリスの日刊紙・The Guardianに記事を寄稿していましたが、2014年にドキュメンタリー映画監督のローラ・ポイトラス氏やジャーナリストのジェレミー・スケイヒル氏とともにニュースサイト「The Intercept」を共同で設立しました。
グリーンウォルド氏によると、問題になったのは民主党大統領候補のジョー・バイデン氏に関する記事。編集者はグリーンウォルド氏に対して、バイデン氏に対して批判的な項目をすべて削除しない限り、The Interceptには掲載できないと主張。さらに、この記事を他の場所で公開する権利を行使しないように求めてきたそうです。
編集者の主張に対し、グリーンウォルド氏は自分の記事の検閲を避けるために、自分の記事とは別に、グリーンウォルド氏の記事に対して批判的な視点の記事を掲載し、判断は読者に委ねる形にすることを提案しましたが、受け入れてもらえなかったとのこと。
グリーンウォルド氏は、問題となった執筆したバイデン氏およびその息子のハンター・バイデン氏にまつわる記事の草稿を公開しています。
Article on Joe and Hunter Biden Censored By The Intercept - Greenwald
https://greenwald.substack.com/p/article-on-joe-and-hunter-biden-censored
そもそもグリーンウォルド氏がThe Interceptを設立したのは、ジャーナリストが「編集の自由」を享受できる新たなメディアを作るためでした。設立後、グリーンウォルド氏は、共同創業者であるポイトラス氏、スケイヒル氏とともに、「自分たちは日常業務の管理に携わらずにジャーナリストとしての活動に集中する」という方針を早い段階で決定しました。
The Interceptがグリーンウォルド氏の理想としたメディアでいられたかというと、そうではない面も多々あったようです。しかしグリーンウォルド氏は、少なくとも自分自身のジャーナリズムが守られる場である限りはThe Interceptにとどまろうと考えていました。ところが、「その最小限であるけれど基本的な権利すらも編集チームによって抑圧されている」という状況にいたり、今回の退社表明になった、というわけです。
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