特定の友だちが「他の友だちよりも頼りになる」と感じる要因とは?
友だちの存在は健康や人生の幸福に影響することが知られており、いざという時に頼りになる友だちは心の支えにもなります。オハイオ州立大学の新たな研究により、「ある友だちが別の友だちとも親しい場合、そうでない場合よりも頼りになると感じる」ことが判明しました。
Social Resources as Cognitive Structures: Thinking about a Dense Support Network Increases Perceived Support - David S. Lee, Jonathan L. Stahl, Joseph B. Bayer, 2020
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0190272520939506
Why some friends make you feel more supported than others
https://news.osu.edu/why-some-friends-make-you-feel-more-supported-than-others/
Study Finds a Key Factor That Makes Some Friends Feel More Supportive Than Others
https://www.sciencealert.com/there-s-a-reason-why-some-friends-make-you-feel-more-supported-than-others
オハイオ州立大学の博士研究員であるDavid Lee氏が率いる研究チームは、友人関係の種類が相手を頼りにする感覚にどのような影響を与えるのかを調査するため、オンラインで2つの実験を行いました。
1つ目の実験では、研究チームが339人の被験者に対し、「問題が起きた時に頼れる8人のリスト」を作成するように依頼しました。リストに含まれたのは多くが友だちか家族でしたが、中には同僚、恋人、クラスメイト、ルームメイトなどを挙げる被験者もいたとのこと。
次に研究チームは、「リストに挙げられた人物からそれぞれどれほどの支援を受けられると思うか」や「リストに載った8人がお互いにどれほど親しい関係か」という項目について、1~7のスケールで評価するように求めました。
研究チームが各項目の結果から、被験者がリストの人物から得られると感じる支援の量と、リストの人物同士が築くネットワークの密度について分析したところ、「リストに挙げられた人物同士が緊密なネットワークを築いているほど、被験者がたくさんの支援を得られると感じる」傾向が見られたとのこと。論文の共著者であるJoseph Bayer助教授は、「自分たちの生活の中でより多くの社会的支援があると感じている人は、強力でまとまりがあるグループによる、集団的な支援に焦点を当てているかもしれません」とコメントしています。
1つ目の研究では相関関係が調査されましたが、2つ目の研究では240人の被験者を対象に、さらに掘り下げた点が調査されました。この実験の中で、被験者はまず「お互いに親密な4人の人物」と「お互いに親密でない4人の人物」のリストを作成。続いて、「自分の家が壊れてしまって誰かに助けを求める」というシナリオにおいて、被験者の半数は「お互いに親密な4人の人物」に、残りの半数は「お互いに親密でない4人の人物」に助けを求める場合を想像するように指示されました。
この結果、「お互いに親密な4人の人物」に助けを求めるように指示された被験者は、「お互いに親密でない4人の人物」に助けを求めるよう指示された被験者と比較して、より多くの支援を受けられるだろうと感じることが判明したとのこと。さらに調査に関連したアンケートでは、「親しい友人や家族を一つのまとまりとして捉える傾向」や「緊密なグループを自身のアイデンティティの一部として捉える傾向」が強い被験者が、お互いに親密なグループからより多くの支援が受けられると認識しやすいこともわかったそうです。
論文の共著者であるJonathan Stahl氏は、「あなたに自分を本当に支援してくれる2人の友だちがいた場合、彼らがお互いに友だち同士であるならば、あなたはより支援されていると感じます」とコメント。自分と友だちの関係だけでなく「友だち同士の関係」も、誰かが頼りになるかどうかを考える心理に影響すると述べています。
今回の結果はあくまでも心理的な影響について調べたものであり、友だち同士が親密であることが実用的な支援につながるかどうかは不明です。しかし、Bayer氏は誰かに助けを求める際の基準として、「お互いにつながっている友だちに焦点を合わせてください。その人が、あなたが最も支援を得られると感じている人です」とアドバイスしました。
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