メモ

マイティ・ソーのモデルである北欧神話の神をまつる1200年前の珍しい神殿が見つかる


マイティ・ソーのモデルにもなった北欧神話の神トールをまつる、古代北欧文化の「神殿」の跡地がノルウェーで見つかりました。キリスト教が支配する前の神殿が見つかるのは非常に珍しく、ノルウェーではこれが初めてとのことです。

1,200-year-old pagan temple to Thor and Odin unearthed in Norway | Live Science
https://www.livescience.com/ancient-viking-temple-to-thor-odin-unearthed.html

Found: An Old Norse 'Godhouse' Fit for Thor and Odin - Atlas Obscura
https://www.atlasobscura.com/articles/godhouse-for-thor-and-odin

ノルウェーのベルゲン大学の考古学者であるSøren Diinhoff氏は2020年9月、ノルウェー西部の街で行われていた住宅開発の準備の最中に、古代の建物の基礎を発見したとのこと。発掘調査により、2000~2500年前の長屋を含む農業跡地の存在が明らかになりました。


この中に北欧神話の神々をまつる神殿も含まれていました。神殿が建てられたのは8世紀ごろだと見られ、建物は長さ14m×幅8m×高さ12mほどだったと目されています。キリスト教が支配的になる前の古代北欧文化の遺跡が見つかるのは非常に珍しく、古代北欧の神殿がノルウェーで発掘されたのはこれが初めてです。

興味深いのは、この神殿が建てられた時代は、その土地が裕福なエリートによって支配されだしたタイミングということ。当時、スカンジナビアの社会はローマ帝国の社会と相互関係を持ち始めたところでした。北欧の社会が、キリスト教徒が支配し階層を持つ社会と接触することで、このような神殿が建てられるようになったわけです。

キリスト教文化の流入により、北欧の宗教的信仰はより組織的かつイデオロギー的になりました。発見された建物も、旅行者が南部のキリスト教文化圏で目にしたのであろう、大聖堂のパターンと一致していたとのこと。ここからDiinhoff氏は、建物が教会のように屋根に独特の塔を持っていたと考えています。

これが建物の跡地。柱が建てられた場所に残った穴から、建物の真ん中に塔があったことが推測されています。


研究チームが再現した「神殿」はこんな感じ。


建物の周りには供物となる食べ物を準備する場所が集中しており、生け贄となったのであろう動物の骨も多く発見されているとのこと。また男根の石像も発見されており、受胎のための儀式に利用されたものだとみられています。

Diinhoff氏によると、神殿の中にはオーディンやソー、フレイといった北欧の神々の木像が置かれ、夏至や冬至といった宗教的に重要な日には肉や飲み物、あるいは金のような希少な金属が供され儀式が行われました。なお、英語の水曜日(Wednesday)、木曜日(Thursday)、金曜日(Friday)といった言葉は、これらの神々の名前からつけられています。

その後、11世紀ごろから国王がキリスト教を強制し、神殿を破壊したり燃やしたりすることで古代北欧の信仰は消えていきました。今回発見された神殿が、その時に破壊されたものだということまでは定かではなく、今後のさらなる調査が求められています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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