Amazonが2019年に購入した400万件のIPアドレスの価格が財務報告書公開により判明
「44.0.0.0/8」の周波数帯は1981年にアマチュア無線用に割り当てられ、「AMPRNet」として、無線を介したデジタル通信の実験に使用されてきました。しかし、IPv4アドレスの枯渇から、2019年半ばにアドレスの一部にあたる400万件が売却されました。売却相手が誰だったのか、価格はいくらだったのかは秘密保持契約を理由に伏せられてきたのですが、1年が経過して財務報告書が公開されたことで、相手と価格が判明しました。
[amsat-bb] ORI receives half million dollar grant, and, it's only the first.
https://www.amsat.org/pipermail/amsat-bb/2020-October/080028.html
Sale of amateur radio AMPRnet TCP/IP addresses raised $108 million | Amateur Radio News
http://www.southgatearc.org/news/2020/october/sale-of-amateur-radio-amprnet-tcp-ip-addresses.htm
AMPRNetのIPアドレスが売却されたこと自体は、2019年の売却時に、管理を行う団体・ARDCの公式サイトで発表されています。この質疑応答の中で、売却されたのは「44.192.0.0/10」でIPアドレスの数としては約400万件であること、使用する予定のなかったIPアドレスをIPv4アドレスの不足で価値があるうちに売却したことなどが公開されいます。
AMPRNet | Amateur Radio Digital Communications
https://www.ampr.org/amprnet/
ただし、購入したのが何者なのかは「かなりの大企業である」としか明かされず、金額は「税金申告時までは公表しないことに合意した」として具体的には明かされませんでした。ヒントとして「2018年には1件17ドル(約1800円)で、そのときよりは上昇している」ことが示されました。
それから1年が経過し、財務報告書が公表されたことで、購入者がAmazonだったことがわかりました。
Amazonによる購入価格は1億800万ドル(約114億円)でした。これは、アドレス1件あたり27ドル(約2900円)にあたり、購入時の質疑応答にあるように、2018年の価格よりも上昇していたことがわかります。
このときARDCが受け取ったお金はアマチュア無線を含むデジタル通信に関する助成金と奨学金プログラムや、AMPRNet運用のサポートに使用されていて、少なくとも年間500万ドル(約5億3000万円)の継続的な助成を予定。実際にデジタル通信事業に対して250万ドル(約2億1000万円)の助成をしていて、プログラムはまだまだ始まったばかりだとのことです。
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