サイエンス

エアコンを使わずに室内を涼しく保つ「コールドチューブ」が開発される


涼しさだけでなく健康を維持するためにもエアコンの稼働が必須となってきましたが、エアコンを稼働し続けると電気代がかさんだり、体が冷えすぎたり、環境への影響が気になったりするもの。そこで、科学者らは「肌に触れる空気を冷やす」のではなく「人間の放射する熱を吸収する」ことで機能する「コールドチューブ」という新しい空冷システムを開発しました。

This ‘Cold Tube’ can beat the summer heat without relying on air conditioning
https://news.ubc.ca/2020/08/18/researchers-design-a-new-way-to-stay-cool-in-the-summer/


Membrane-assisted radiant cooling for expanding thermal comfort zones globally without air conditioning | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2020/08/17/2001678117

コールドチューブは壁や天井に設置するパネル式のシステムで、パネル内を水が循環することで冷たさを保ちます。熱は放射によって熱い表面から冷たい表面に移動する性質を持っているため、人間がパネルの下に立つと、皮膚の熱はパネルに移動します。この仕組みによって、コールドチューブはエアコンを使わずとも、まるで冷たい空気が体の周りにあるような感覚を得ることができるとのこと。


このようなシステムは過去数十年にわたって産業的に利用されてきましたが、コールドチューブは「除湿システムを必要としない」という点がポイント。冷たいアイスコーヒーの入ったグラスを暑い場所に置くとグラスの表面に水滴がつくのと同様に、これまでコールドチューブのような空冷システムは、発生した水をなくすための除湿システムが必要でした。しかし、新たに開発されたコールドチューブは 、熱放射を透過させながら結露の発生を防ぐという、冷却パネルを包む密閉性のある防湿膜によって除湿システムの問題を解決しています。

プロジェクトには、ブリティッシュコロンビア大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学バークレー校、シンガポールETHセンターの研究者が参加しました。


研究チームは2019年にシンガポールで実際にコールドチューブを使った家を建てて、住民55人からフィードバックを得ました。コールドチューブを稼働させていると、平均気温が30度の日でも住民らの多くは「快適」「涼しい」と報告したそうです。

以下がコールドチューブを使った建物。


室内側の壁や天井に取り付けられた青いパネルがコールドチューブです。


除湿システムを必要としないコールドチューブは、典型的な空調エネルギー消費の最大50%を削減可能だとみられています。プロジェクトの視察を行ったAIL ResearchのシニアエンジニアであるEric Teitelbaum氏は、夏のイベント会場やコンサート会場、バス停、公共施設など多くでコールドチューブが活用できるとコメント。通常このような施設ではコールドチューブだけを使うのではなく、エアコンと併用することでエネルギー消費を抑えるという使い方が想定されているようです。

一方で、コールドチューブは室内の気温や湿度と関係なく機能するため、夏でもエアコンを付けず、窓をあけただけで過ごせる可能性もあり、特に、気温上昇よって将来的に空冷システムの必要性に迫られるであろう発展途上国での利用が期待されています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、「室内を空冷に保つこと」と共に「換気をよくすること」が求められているため、コールドチューブのようなシステムはより需要が高まっているといえます。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by logq_fa

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