GoogleがAndroidスマホで世界最大の地震検知ネットワークを構築する技術を発表
Googleが、Androidスマートフォンを利用して世界最大規模の地震検知ネットワークを構築できる技術を開発したと発表しました。この技術によって、アプリのインストールをすることなくスマートフォンの機能のみで地震を検知して予測し、大きな揺れが到達する前に各スマートフォンへ警告を送る地震検知ネットワークを構築できるとのことです。
Earthquake detection and early alerts, now on your Android phone
https://blog.google/products/android/earthquake-detection-and-alerts/
連邦緊急事態管理庁(FEMA)によれば、地震によるアメリカの経済的損失は平均すると年間61億ドル(約6400億円)だそうで、そのうち61%はアメリカ西海岸のカリフォルニア州で発生しているとのこと。また、カリフォルニア州ではマグニチュード6.7以上の地震が2050年までに99.7%の確率で発生し、アメリカ北西部のワシントン州・オレゴン州ではマグニチュード8~9の大地震が2050年までに10%の確率で発生すると考えられています。
Googleは、アメリカ地質調査所(USGS)およびカリフォルニア州の緊急サービス室と協力し、カリフォルニア州のAndroid端末を地震検知システム「ShakeAlert」の一部にすることで世界最大規模の地震検知ネットワークを構築したと述べています。
地震が起こす波にはおおまかにP波とS波の2種類があります。Googleによれば、Androidを搭載するスマートフォンのほぼすべてに第一震となるP波を検知できるような加速度計が内蔵されているとのこと。地震の初期微動と思われる揺れをAndroidスマートフォンが検出すると、揺れが発生したおおまかな場所と共に信号がShakeAlertのサーバーに送信されます。
システムは、サーバーに集約された大量のAndroidスマートフォンからの信号をもとに、実際に地震が発生しているかどうかを把握。その後、スマートフォンに向けて地震警報を発信するという仕組みです。警報がスマートフォンに届いてから本震がやってくるまではおよそ数秒から数十秒で、Googleは「私たちは本質的に、地震が伝わる速度よりもはるかに早い光の速度で地震と競っています」と述べています。
地震が多い日本でも、気象庁による緊急地震速報システムで第二波となるS波が到達する前にスマートフォンに警報を送信していますが、この緊急地震速報システムで使われる地震計や震度計をすべてスマートフォンに置き換えることで、地震検知ネットワークの規模と精度を上げようというのがShakeAlertとGoogleの目的です。
スマートフォンを地震検知ネットワークにするという試みはすでに存在しており、2016年には「MyShake」というシステムが発表されていましたが、これはスマートフォンに専用アプリをインストールする必要がありました。
スマホを全世界地震探知・通知ネットワークとして使うアプリ「MyShake」 - GIGAZINE
今回のShakeAlertへの対応は、アプリを別途導入する必要がないというのが大きな利点。Android バージョン5.0以降のデバイスであれば対応可能で、全世界で25億台以上のスマートフォンをShakeAlertのネットワークに組み込めるようになります。AndroidスマートフォンとShakeAlertを使った地震検知ネットワークは、2019年10月からカリフォルニア州限定で本格的な運用試験が行われており、Googleは「2021年までに、カリフォルニア州以外の地域でもAndroidスマートフォンの機能を使った地震警報システムが構築されることを期待しています」と述べました。
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