データマイニングを用いることで従来の10倍の地震データを集めることに成功、地震の数は「174秒に1回」
by Richard Walker
大きな地震の前後には多数の小さな地震が発生します。つまり、地震のデータは集めれば集めるほどに、いつか起きるであろう大地震の予測や研究に役立ちます。学術誌・Scienceに掲載された論文によると、研究者がデータマイニングを用いて南カリフォルニアの地震観測網が観測した波形を確認したところ、従来の10倍もの地震データを得ることができたとのこと。その数は1日495回、実に「174秒に1回地震が起きている」というほど高頻度でした。
Searching for hidden earthquakes in Southern California | Science
https://science.sciencemag.org/content/early/2019/04/17/science.aaw6888
Data mining digs up hidden clues to major California earthquake triggers | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-04/danl-dmd041819.php
Scientists Uncover California's Hidden Earthquakes - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/scientists-uncover-californias-hidden-earthquakes/
研究はカリフォルニア工科大学、ロスアラモス国立研究所、スクリップス海洋研究所の研究者らによって行われました。
カリフォルニア州は、1700年にモーメント・マグニチュード(Mw)8.7~9.2のカスケード地震、1906年にMw7.9のサンフランシスコ地震と、巨大地震に何度も襲われています。
その後、1971年にサンフェルナンド地震、1989年にロマ・プリータ地震、1994年にノースリッジ地震と、それぞれMw6台の地震は何度か起きていますが、研究者らは将来的にMw8級の“ビッグ・ワン(大地震)”が来ると予測しています。それがいつ起きるのか、どこで起きるのかを知るため、南カリフォルニア地震ネットワークでは20年にわたって、550カ所の地震観測所からの情報を集めてきました。
今回、研究チームはこの南カリフォルニア地震ネットワークの蓄積した100TB近いデータを200のグラフィックスプロセッシングユニットで分析。以前確認された地震の波形や信号を用いてテンプレートマッチングを実行し、これまでノイズに隠れていた非常に小さな地震の信号も検出。従来の手法で確認できた地震の10倍にあたる、181万件の地震を確認しました。この数は「カリフォルニア州では約174秒に1回地震が発生している」のに相当するとのことです。
研究チームが作成した新たな「地震カタログ」は、新たな時代の地震や断層の分析を容易にすることが期待されています。
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