NASAが火星探査機「Perseverance」の打ち上げに成功
現地時間の2020年7月30日(木)、NASAがフロリダ州のケープカナベラル空軍基地にあるケープカナベラル空軍基地第41発射施設から、火星探査用ローバー「Perseverance」を搭載したアトラス Vロケットの打ち上げに成功しました。
NASA, ULA Launch Mars 2020 Perseverance Rover Mission to Red Planet
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-ula-launch-mars-2020-perseverance-rover-mission-to-red-planet
Mars launch: NASA sends Perseverance rover to space
https://edition.cnn.com/2020/07/30/world/mars-perseverance-rover-launch-scn/index.html
「Perseverance」は、火星に生命の痕跡がないかどうかを確認するために地球から送り出された探査用ローバーです。Perseveranceのミッションは火星の岩石や土壌といった地表サンプルを収集して地球に持ち帰ることと、火星の地質や気象などに関する調査です。なお、Perseveranceの採取した地表サンプルが無事地球へ送り届けられることとなれば、火星の隕石を除いて、地球へやってくる最初の火星サンプルとなります。
Perseveranceは小型車と同じくらいのサイズのローバーで、23台のカメラや、温度や湿度を観測したり物質の構成を分析したりする装置、初めて「火星の音」を録音することが可能になる2つのマイクなど、ミッションを遂行するためにさまざまな機器を搭載しています。腹部には小型ヘリコプターの「Ingenuity」を搭載しており、これが火星で飛行に成功すれば、地球以外の天体で飛ぶ初めてのヘリコプターということに。また、Perseveranceにはロボットアームが搭載されており、そのの先端には顕微鏡の「SHERLOC」および記録カメラの「WATSON」、地表サンプルの組成を分析するためのX線分光計「PIXL」などが搭載されています。他にも、ノルウェー国防研究所が開発した地下の氷と塩水を探すための地中レーダー「RIMFAX」や、スペイン宇宙生物学センター提供の温度・風向・風速・気圧・湿度・放射線・ダスト粒子形状などの分析が可能な分析器「MEDA」、火星の大気から純酸素を作り出すための実験機器「MOXIE」、化学組成や鉱物学分析を行う「SUPERCAM」、立体画像の撮影やローバー本体の周囲地形分析に使用される「MASTCAM-Z」などがあります。
Mission Overview: NASA's Perseverance Mars Rover - YouTube
We’re on our way to Mars – me and the almost 11 million names I carry. One home behind us, and a new one ahead. #CountdownToMars
— NASA's Perseverance Mars Rover (@NASAPersevere) July 30, 2020
Post-launch Update: https://t.co/ssXuLjQVez pic.twitter.com/fJmK48hTiL
NASAは現地時間の2020年7月30日7時50分に、ケープカナベラル空軍基地第41発射施設からPerseveranceを搭載したアトラス Vの打ち上げに成功。打ち上げの様子は以下のムービーで確認できます。その後、現地時間の9時頃、ジェット推進研究所(JPL)のコントロールセンターが大気圏外へと飛んでいったPerseveranceからの信号を受信したとしており、「これはJPLのディープスペースネットワークが火星への旅の途上にある宇宙船と接続したことを示しています」と、今回の打ち上げのマネージャーを務めたオマル・バエズ氏は語っています。
WATCH: NASA Mars 2020 Perseverance Rover Launch #CountdownToMars - YouTube
NASAのジム・ブリデンスティン長官は、「Perseveranceの打ち上げにより、歴史的な探査ミッションが新たに開始されることとなります。この驚くべき探査用ローバーが困難を乗り越えていくために、我々全員が最高のものを必要としていました。そして今では、信じられないほどの科学により、火星サンプルの収集も可能となっています」と述べています。
打ち上げに成功した後、Perseveranceは高感度受信機を備えた巨大アンテナのディープスペースネットワークと接続していますが、その通信は当初ミスに終わりました。しかし、Perseveranceの公式Twitterアカウントは「私は元気で、火星への旅の途中です。地球と近い今の段階では私が発する信号が強すぎるかもしれません。しかし、地上のチームと明確に通信できるようにするには信号強度は重要なため、地上では現時点での私の信号強度に合わせるべく賢明に働いてくれています」とツイートし、問題が解決に向かっていることを強調しています。
I am healthy and on my way to Mars, but may be too loud for the antennas on Earth while I'm so close. Ground stations are working to match my signal strength so that I can communicate clearly with my team. https://t.co/vLaRxcKomR
— NASA's Perseverance Mars Rover (@NASAPersevere) July 30, 2020
なお、Perseveranceは2021年2月18日に火星の「ジェゼロ」と呼ばれるクレーターに着陸予定で、その後、約680日間にわたり探査ミッションを行う予定です。Perseveranceが採取した地表サンプルは早ければ2031年までに地球へ送り届けられることとなります。
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