サイエンス

月探査機チャンドラヤーン2号の着陸船墜落をインド政府が公式に認める

by ISRO

インド政府が月探査機「チャンドラヤーン2号」に搭載していた月面着陸船が月面着陸に失敗し、破壊されたことを公式に認めました。

New details emerge about failed lunar landings - SpaceNews.com
https://spacenews.com/new-details-emerge-about-failed-lunar-landings/

India Admits Its Moon Lander Crashed, Cites Problem with Braking Thrusters | Space
https://www.space.com/india-admits-moon-lander-crash.html

Chandrayaan-3: Second bid to land on Moon by November 2020 | India News - Times of India
https://timesofindia.indiatimes.com/india/chandrayaan-3-second-bid-to-land-on-moon-by-november-2020/articleshow/72047390.cms

インド宇宙研究機関(ISRO)は2019年7月22日にチャンドラヤーン2号を搭載したGSLV-Mk III-M1ロケットを打ち上げました。ロケットは、当初打ち上げが予定されていた7月15日に不具合が発見され打ち上げが延期になるトラブルに見舞われたものの、その後打ち上げは見事に成功。8月20日に月軌道でのミッションを開始しました。

チャンドラヤーン2号については、以下の記事を読むと一発で分かります。

インドが「第4の宇宙大国入り」を目指す宇宙進出計画の全容が明らかに - GIGAZINE


チャンドラヤーン2号は月軌道から探査を行う「オービター」、着陸船の「ビクラム」、探査ローバー「プラギヤン」で構成されており、9月2日に探査ローバーを搭載したビクラム月着陸船がオービターから切り離されました。しかし、ビクラムは9月7日に月面から約2kmの地点にさしかかったのを最後に通信が途絶。9月8日にはオービターのカメラが着陸予定地点からほど近い場所にあるビクラムを捉えたため、通信の復旧が試みられていました。

それから2カ月以上が経過した11月20日、ジテンドラ・シン宇宙開発担当大臣がインド議会ローク・サバーに提出した(PDFファイル)報告書で、「ビクラムは指定された着陸地点から500m以内の地点にハードランディングしました」と報告し、ビクラムが墜落したことを認めました。インド政府が月面着陸に失敗したことを公式に認めたのは、これが初めてとなります。


報告書によると、ビクラムは月面から30kmから7.4kmの地点から降下を開始し、最初のフェーズで速度を秒速1683メートルから秒速146メートルにまで減速させましたが、着陸の第2フェーズで設計強度を上回る速度で月面に墜落したとのこと。その際の衝撃により、ビクラムや探査ローバーは破壊されたものと見られています。報告では、減速が十分ではなかった原因については明らかにされていませんが、減速用のスラスターの不具合の可能性があるとの報道もあります。

シン大臣は報告書の中で「打ち上げ、軌道上での操縦、着陸船の分離、逆噴射、最初のフェーズでの大まかな減速など、ほとんどのプロセスは成功裏に終わりました。オービターに搭載している機器もすべて正常に機能しており、貴重な科学データをもたらしています」と述べて、今後は軌道上から月面を観測するオービターでの調査に集中する考えを示しました。

なお、インドの大手紙The Times of Indiaがつかんだ情報によると、ISROは既にチャンドラヤーン2号の後継プロジェクトであるチャンドラヤーン3号の開発に着手しており、早ければ2020年11月には2度目の挑戦に打って出る見込みだとのことです。

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in 乗り物,   サイエンス, Posted by log1l_ks

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