人は「細かい数字」より「大体の数字」を高く評価する
「商品の割引で90%節約するか、91.27%節約するか」といった場合、実際には後者の方が利益が大きいのですが、人はなぜか「90%」という数字を高く評価してしまう傾向があることがわかりました。
Humans Actually Have an Irrational Preference For Round Numbers
https://www.sciencealert.com/we-actually-prefer-round-numbers-even-when-the-real-number-is-better-news
Revisiting attribute framing: The impact of number roundedness on framing - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0749597820303617
研究内容は以下のムービーから見ることができます。
Gaurav Jain Specific Number Attribute Framing - YouTube
「人は例え不利に働く内容であっても、細かい数字よりも大まかな数を好む」という研究結果は、レンセラー工科大学の行動学者であるガウラヴ・ジャイン氏が実験によって示したもの。
ジャイン氏は1552人のボランティアを対象にし、6つの実験を実施。被験者に「詳細な数字」あるいは「大体の数字」を含む文章を見せた時に、人々の認識がどう変化するかを調べました。
この実験で示されたのは、人が詳細な数字を不快なものとして受け取るということ。研究者は実験の最中に、細かな数字を見せられた時に人は思考のため立ち止まることを発見しました。そして、被験者は理解が容易でない細かな数字を見た時に、理解が容易な「100%」といった理想的な数字と比べ、「理想的な数字よりは劣る」として詳細な数字に対してネガティブな評価を下したとのこと。
「数は一種の言語であり、数値的でない見方を与えることがあります。私たちが詳細な数字を示したとき、評価は悪化しました。なぜこのようなことが起こるのかという明確な理由はなく、驚くべき結果です」とジャイン氏は述べています。
実験では新型コロナウイルスに関する特定の文章を提示したわけではありませんが、この調査結果はマーケティングのほか、公衆衛生の施策に影響すると考えられています。たとえば「91.27%効果がある新型コロナウイルスのワクチンが開発されたとき」と「90%効果がある新型コロナウイルスのワクチンが開発されたとき」という2つのシナリオがあったときに、人々は「90%効果のあるワクチン」をより効果的だと判断する可能性があるためです。
「このアプローチをコミュニケーションの伝達で使うと、関連する属性のターゲットに対する主観的な評価が下がる可能性があるため、管理職や公衆衛生当局は、詳細な数字を使うことには注意する必要があります」とジャイン氏は述べました。
なお、2006年に発表された研究では細かな数字の方が消費者の信頼が得られやすく、交渉への意向が下がることが示されており、今回の結果と合わせてマーケティングなどに利用可能だとみられています。
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