ハードウェア

200℃の高熱で新型コロナウイルスをほぼ全滅させる空調用フィルターが開発される


ヒューストン大学の研究者が、新型コロナウイルスを含む病原体を200℃の高熱で一気に死滅させる空調用フィルターを開発しました。実験では、フィルターを通過した新型コロナウイルスのほぼ100%を死滅させることに成功したとのことです。

Catching and killing of airborne SARS-CoV-2 to control spread of COVID-19 by a heated air disinfection system - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2542529320300730


Researchers Create Air Filter that Can Kill the Coronavirus - University of Houston
https://uh.edu/news-events/stories/july-2020/07072020ren-coronavirus-filter.php


2019年末から世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、せきやくしゃみ、会話などで感染者の口から飛び出る飛沫(ひまつ)で感染する「飛沫感染」が主な感染経路といわれています。また、一部の状況では空気中を漂う極小粒子(エアロゾル)を介して感染が拡大する「エアロゾル感染」も指摘されています。そのため、新型コロナウイルスの感染予防として、入念な手洗いとうがい、さらに部屋の換気が叫ばれています。

WHOが新型コロナウイルスの「エアロゾル感染」の可能性を示唆、手洗い・うがいに加えて換気を訴え - GIGAZINE


しかし、空気中を漂うエアロゾルは数マイクロメートルというサイズで、完全に除去するのは難しいものがあります。そこで、ヒューストン大学物理学科のZhifeng Ren教授が率いる研究チームは地元の不動産業者と協力して、吸音材や電極などに使われる市販のニッケルフォームを使った空調用フィルターを開発しました。

以下の写真で、換気扇に取り付けられているのが開発された空調用フィルターです。


ニッケルフォームは金属製で導電性があり、電気的に加熱することが容易。また、スポンジ状なので通気性があり、簡単に加工できることがメリットです。開発されたフィルターは、ニッケルフォームを電気によって200℃まで加熱することで、通過した空気に含まれるウイルスや菌を死滅させるという仕組みです。

実際に、ガルベストン国立研究所での検査では、フィルターを通過した新型コロナウイルスの99.8%を死滅させたことが確認できたそうです。また、炭疽(たんそ)菌の場合は99.9%を死滅させることができたとのこと。

開発に協力した不動産業者は、研究チームが開発したフィルターを組み込んだ空気清浄機の製品化を予定しています。Ren教授は「このフィルターは、空港や飛行機、オフィスビル、学校、クルーズ船での新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐのに役立つ可能性があります」と述べ、開発したフィルターを使った空気清浄機の卓上モデルも開発していると述べました。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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