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新型コロナウイルスの流行で「モノの価格」がどう変化したのかAdobeがレポートを発表


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で経済活動の鈍化が報告されていますが、一方で、オンラインショッピングでは売上げが増加し、製品価格にも変化が生じています。Adobeは2014年から「Digital Economy Index」(DEI)でeコマースの動きを追跡しており、COVID-19の影響でオンラインショップにおける製品価格がどう変化しているかを報告すると共に、これからの変化を予測しています。

Adobe Digital Economy Index | Adobe Analytics
(PDFファイル)https://www.adobe.com/content/dam/www/us/en/experience-cloud/digital-insights/pdfs/adobe_analytics-digital-economy-index-2020.pdf

April Digital Economy Index: How COVID-19 Continues to Shift E-Commerce Trends | Adobe Blog
https://theblog.adobe.com/april-digital-economy-index-how-covid-19-continues-to-shift-e-commerce-trends/

DEIは1兆ものウェブサイト訪問者情報を匿名化して集計したデータと、アメリカの小売業者上位100位のうち80社から集めた10兆の製品最小管理単位の情報をベースに分析を行っています。DEIの分析の結果、COVID-19の流行でeコマースの利用が急激に増加し、アパレル・電子製品・食料品などさまざまなオンラインショップに影響を受けたとのこと。加えて、2020年4月はオンラインショップや、ECサイトで購入したものをリアル店舗で受け取る「BOPIS」の注文が前年比で208%になったことが示されています。

またDEIではアメリカのユーザーの「デジタル購買力」も追跡していますが、これも前年比で4.1%増加。この指標は、消費者が2019年同時期に104ドル(約1万1150円)で購入したものを、100ドル(約1万720円)で購入できるようになったことを意味します。デジタル購買力は長年増加し続けており、これはアパレル市場のデフレが影響しているとみられています。Adobeのマーケティングおよびカスタマーインサイト担当副社長のジョン・コープランドさんは「長年続くオンラインのデフレがCOVID-19で発生している価格上昇の影響を和らげた」と述べています。


特に顕著な変化がみられた「アパレル」「電化製品」「食料品」の3つのカテゴリにおける、製品価格の変化は以下のとおりです。

◆アパレル
アパレルのオンライン市場での価格をグラフにすると以下のような感じ。横軸は2014年1月から2020年までの時間軸、縦軸はベースラインから価格が何%増減したかを示します。


アパレル市場では各都市のロックダウンによって実店舗が閉鎖を余儀なくされ、オンラインでの競争を勝ち取るために大きな値下がりが見られたとのこと。アパレル業界では例年であれば3月から4月にかけて、平均して2.9%の価格減が見られますが、2020年はその4倍の11.9%となりました。これは過去5年間の4月の中で、もっとも大きい数字です。しかし、価格が減少しているにもかかわらず、アパレル市場は全体としてオンラインでの売上げが34%増加することになりました。

また、これは想定の範囲内と言えますが、4月に消費者が購入した衣服は「快適な家着」が多かったとのこと。eコマースにおけるパジャマの売上げは143%となった一方で、ジャケットの売上げは33%減となったそうです。

◆電化製品
AdobeがDEIでの追跡を開始した2014年以降、電化製品の価格は安定した割合でデフレを経験していますが、COVID-19の影響で、オンライン売上げは58%増加し、ここ数年で初めて値上がりが起こったとのこと。

以下のグラフは横軸が2014年1月から2020年までの時間軸、縦軸はベースラインから価格が何%増減したかを示しています。紫色は電化製品全体、水色はコンピューターの価格を示したもの。


電化製品のうち、特に需要が高まったコンピューターは価格が上昇したとのこと。コープランド氏は、「電化製品のオンラインショッピングについては、消費者はこれからも値下がりを経験することはなさそうです」「サプライチェーンの影響によっては、今後数カ月の価格をさらに悪化させるかもしれません」と語っています。

◆食料品
アメリカにおける食料品のオンラインショッピングの売上げは4月に110%となり、価格は少し増加していますが、まだ2019年の1月から3月までの増加レベルと同じ程度だそうです。

過去5年にわたって、3月から8月の間はオンラインショッピングの食料品価格は減少し、9月から12月にかけて増加するという傾向がありました。COVID-19の影響でこのパターンがどう変化するかは、記事作成時点では不明とのこと。「特定の食料品において、サプライヤーがコストを増加させており、これがeコマースの流通経路にどう転化されるのか、追跡を続ける必要があります」とコープランドさんは述べています。


なお、ワイン・ビール・スピリッツといったアルコール類や、それに付随するコルク抜きといったアクセサリーのオンラインでの売上げは、4月に74%も増加したとのことです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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