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フランス語を140カ国の外国人部隊員に習得させた方法とは?


グローバル化が進む社会・コミュニティの中で、意思疎通をするための「共通言語」の習得は欠かせません。140もの国籍・人種の人たちが集まるフランスの外国人部隊にて、コミュニケーション手段としてのフランス語がどのように短い期間で習得されているのかという体験談が、アメリカの巨大掲示板redditで話題になっていました。

How French Foreign Legion teaches French language to men from 140 nationalities- my personal experience. : languagelearning
https://www.reddit.com/r/languagelearning/comments/flfq2u/how_french_foreign_legion_teaches_french_language/

How the French Foreign Legion teach French to 150+ nationalities in 6 months. Part 2: La Ferme. : languagelearning
https://www.reddit.com/r/languagelearning/comments/g1vq8q/how_the_french_foreign_legion_teach_french_to_150/

2020年3月にredditの「言語学習板」へ体験談を投稿し初めたShaglock氏は、投稿からちょうど10年前に大学を中退し、故郷の東南アジアからフランスに移住してフランス外国人部隊に加わった経験があるとのこと。Shaglock氏が所属していたフランス外国人部隊は、世界中の140を超える国々から言語圏も就学度合もさまざまな人々が集まっており、中にはフランス語の言葉を全く聞いたことがないという人もいたそうです。そんな中で経験した、共通言語を習得させるためのユニークな教育についてShaglock氏は話しています。


Shaglock氏はもともとフランス語といえば「ボンジュール」と「クロワッサン」くらいしか知らなかったくらいにもかかわらず、3カ月の訓練で命令を理解し、チームで動き、爆発物や武器などを取り扱う役目を担うようになりました。また半年後には運転免許の取得試験をパスするほどになったほか、1年で軍事施設の管理を任されるくらいには言語を習得できていたそうです。

ポルトガル語を使う人たちは言語のルーツの関係からフランス語習得が早い傾向にあったり、ロシア出身の人が多いためそのグループで固まってロシア語でやりとりをすることでフランス語の習得がゆっくりだったり、さまざまな言語圏の人々はそれぞれ言語学習への特徴がありました。しかしそのような違いにもかかわらず、6カ月後にはほとんどの人が難易度の高いミッションを任せられるくらいにコミュニケーションが可能になっていたとのこと。

一方で、「D」の発音がないといわれる中国人や、ヨーロッパ圏や南北アメリカなどで用いられるどの言語も習得していないアジア圏の出身者はなかなかコミュニケーションがとれず、言語習得が遅くなる傾向にありました。ただその中でも、日本人や韓国人は勤勉さが評価される場合が多くあり、しっかり時間をかけて言語を習得しランクを上げていったとShaglock氏は話しています。


フランス外国人部隊での特徴的な言語教育「ペダゴジック式」では初めに、食事を全て「SOOP」と呼ぶ、スナック菓子を「CHOCOLA」と呼ぶなど簡単な表現でやりとりが行われていました。また、フランス語で「I」や「You」という主語にあたる「je(私)」「tu(あなた)」は使われることなく「TOI(you)」「MOI(me)」という表現だけが用いられ、「il(he)」や「lui(him)」といった表現は学ぶことがなかったとのこと。これに身ぶり手ぶりを加えて、あらゆるやりとりがこなされていました。

フランス語のレッスンは、毎日の過酷な活動と夕食を済ませた後、4、5人ほどの少人数のグループで1時間ほど行われていました。教員はフランスを母語とする歴が浅い小隊指導者で、言語教員としての経験は長くありません。最初は基本的な文法や単語を学んでいくのみですが、当初は「SOOP」などの簡単な表現だけでやりとりをしていたため、フランス語教室で教員が話すフランス語が全く理解できなかったそうです。

また、これに加えて非フランス語圏の話者にはフランス語話者がバディとして組み合わされることになっていました。フランス語のやりとりを増やすほか、分からないことを質問できるようにしたシステムですが、相方となるフランス語話者の性質だったり、相性だったりといったものに左右される部分が大きく、うまく行かなかったケースもあったそうです。


簡単な単語でやりとりするところからスタートし、基本的な文法を少しずつ上乗せしていくことで、ボディランゲージを伴いながらではあるものの名詞と活用のない動詞をつなげて、最初の1カ月から上手にコミュニケーションをとることができたのだと言います。またもう1点、Shaglock氏は部隊の言語教育の特徴として、「とにかく皆でたくさん歌う」ことを挙げています。

この体験談は、言語学習という面でも外国人部隊の内情という意味でも興味を引かれたコメントを集めました。一方で、言語学者・言語教師を名乗る人から「1950年代の教育方法が、没入感のある体験談で示されているという優れた面と、人種差別に伴う社会的排斥という良くない面と組み合わされて用いられている話に聞こえます。システムとして『成功』とは言えません」というコメントも寄せられています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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