自宅で今すぐ可能な運動で無理なく筋力&心肺機能の低下を防ぐ方法
自宅で過ごす時間が増えると運動量が減少しがちですが、健康な心身を保つためには心肺機能や筋力をしっかりと保つ必要があります。運動生理学者のレイチェル・クライミー氏らが公開している「スペースの限られている家でも無理なく運動できる方法」は、基本的には高齢者や慢性疾患を抱える人向けなのですが、運動不足気味で体力に自信がない人でも無理なく行えそうな内容になっています。
For older people and those with chronic health conditions, staying active at home is extra important – here's how
https://theconversation.com/for-older-people-and-those-with-chronic-health-conditions-staying-active-at-home-is-extra-important-heres-how-135322
アクティビティトラッカーを開発するFitbitは、2020年3月22日にユーザー間の身体活動レベルが前年同期に比べて世界的に減少していることを報告しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として家で過ごす時間が増えていることを考えると、これは予想の範囲内ですが、だからといって運動不足が人に影響を及ぼさないわけではありません。
運動不足によって体が受ける影響の1つに「心肺機能」が挙げられます。
心肺機能は文字どおり心臓と肺の働きのことで、肺で効率よく酸素を摂取し、心臓のポンプ機能でそれを全身に送り出すことをいいます。心肺の持久力によって、体の異なるシステムがどれほど効率的にかつ協力的に働いているかわかります。一般的に心肺持久力は20代でピークを迎え、徐々に落ちていくといわれており、運動不足の生活によってその勢いは加速するとのこと。
2019年に発表された研究では若く健康な男性5人を3週間にわたって寝たきり生活にしたところ、心肺持久力は27%も減少することが示されました。この研究では同じ被験者を1度目の実験から30年後に測定したところ、心肺持久力の低下が11%だと示されました。通常の生活を送っていれば30年で11%しか減少しないところ、寝たきり生活は3週間で27%も減少させることから、その影響力の大きさが読み取れます。運動をしない生活はそれほどに人から心肺持久力を奪うのです。
一方で、運動不足の生活を送っていても、その後に運動を再開すると、心肺持久力は復活することが研究で示されたといえます。
◆自宅で活動的に過ごす方法
一般的に、高齢者や、2型糖尿病などの慢性疾患を持つ人は、若く活動的な成人に比べて心肺機能が低いといわれています。そして心肺機能の低下は心臓病や脳卒中といった別の健康リスクを招く危険性があり、「活動的に過ごすこと」が多くの疾患リスクから体を守ることになります。
COVID-19の流行により、家にいることが奨励されていますが、それでも活動的でいることは可能。以下の6つのポイントが助けになるとのこと。
1:「起床時」「昼食前」など1日の決まった時間に運動を組み込む。
2:「1日の合計運動時間」が30分になるように運動する。1回10分の運動を3回繰り返してもOKで、毎日必ずする必要もない。
3:スマートフォンで活動量をトラッキングする。社会的距離戦略の中で毎日何歩歩いたかを記録し、歩数を増加させることを試みる。
4:「階段を上る」「スマートフォン越しに会話をしながら家中を歩く」といった1日を通して行える運動を見つける。
5:テレビCMの休憩中など、少なくとも30分おきに起き上がって移動することにより、座りがちな時間を最小限に抑える。
6:家事やガーデニングを通して1日の活動量を増やす。
◆自宅で運動する方法
まず運動靴をはいて、膝・足首などのケガのリスクを最小限に。そして水分補給のための水筒などを近くに置きます。
廊下を歩いたり階段を上り下りするなどのゆるやかなウォームアップを行い、次に早歩きやスキップ、1つの場所で行進するなど、軽く息が上がる程度の約10分の有酸素運動を行います。
その後、以下の図にあるようなトレーニングを、各10~15回、3周程度行います。
トレーニングの内容を細かく見ていくと、以下の通り。
1:スクワット
2:壁押し
3:段差の上り下り
4:座ったまま足を曲げ伸ばし
5:立った状態で膝から下を後ろに上げる
6:重りを持って肩から腕を上げる
7:つま先立ち
これらのトレーニングは1つの動きに2秒かけるなど、一定のテンポを保ちながら行うのがポイント。重りとしてのダンベルがなければ水のボトルなどで代用可能です。なお、糖尿病を患っている場合には運動前・運動中・運動後に血糖値を確認し、運動中の四肢にインスリンを注入しないこと。また、心臓に何か症状を抱えている場合はウォームアップとクールダウンを適切に行い、トレーニングを1周行うごとに45秒の休憩を挟むことが大切とのことです。
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