メモ

100年前に録音された銃声から第一次世界大戦終結の瞬間を「1分間の音」で再現するとこんな感じ


ロンドンにある帝国戦争博物館(IWM)が、2018年に第一次世界大戦の終戦100周年を迎えたことを記念して、「ドイツと連合国が休戦協定を結んだ時の音」を再現しました。

Making a New World: Armistice Soundwave - Coda to Coda
https://codatocoda.com/blog/making-a-new-world-armistice-soundwave/

Listen to the Moment the Guns Fell Silent, Ending World War I | Smart News | Smithsonian Magazine
https://www.smithsonianmag.com/smart-news/listen-moment-guns-fell-silent-ending-world-war-i-180970772/

約3700万人が戦禍の犠牲者となり、史上最大の戦争の1つとして数えられている第一次世界大戦が実質的に終結したのは、ドイツと連合国の休戦協定が発効した1918年11月11日のこと。この日は、主戦場となったヨーロッパの多くの国々で祝日と定められており、未曽有の戦争に終止符が打たれた日として記憶されています。

そして、以下が第一次世界大戦終結を音で再現した「WW1 Armistice Interpretation」です。再生すると、激しい砲火の音が次第にまばらになり、平和が訪れる様子が1分間で表現されている音を聴くことができます。


この作品は単なるイメージではなく、IWMに収蔵されている実際の資料「THE END OF THE WAR」から再現した音が使われています。


1918年当時、磁気テープはまだ存在せず、録音をするには針で柔らかい樹脂や金属に音を刻み込む蓄音機のような装置が必要でした。当然、そんな装置を戦場に持ち込むことは現実的ではありませんでしたが、音をフィルムに書き込まれた線として記録する技術は開発されていました。

それが、イギリス軍の技術者William Sansome Tuckerが1916年に開発した「音源測距」です。これにより連合軍は、戦場で発砲された火砲の音からその位置を特定し、戦闘に利用していました。


前述の「THE END OF THE WAR」は、この音源測距で1918年11月11日午前10時58分の瞬間を記録したものだといわれています。なお、「11時には終戦すると分かりきっているのに、なぜ10時58分まで砲撃が続いていたのか?」という問題については複数の要因が絡んでおり、主な理由は「連合軍が予備弾薬を運んで帰るのを嫌ったため」「もし戦闘が再開された際に優位に立つため」だとされていますが、「ドイツ側への圧力をギリギリまで維持するため」だったともいわれています

また、第一次世界大戦の戦闘による最後の戦死者は、アメリカ軍のヘンリー・ガンサー二等兵だとされています。ガンサーは終戦の直前に階級が降格されてしまっており、遅れを取り戻すために躍起になっていたため、親友であるアーネスト・パウエル軍曹が伝えた命令を聞かずドイツ軍に向かって銃剣で突撃。ドイツ軍の機関銃により休戦協定発動の60秒前に射殺されました。ガンサーは、皮肉にもこの戦死によって二等兵から降格前の軍曹の階級に昇進しています。

by Concord

IWMの依頼により「WW1 Armistice Interpretation」を作成した音楽スタジオCoda to Codaは「IWMのコレクションから得られた資料は、西部戦線で戦っていた兵士にとって、銃声がいかに激しく、混沌(こんとん)としたものであったかを教えてくれます。『WW1 Armistice Interpretation』が、第一次世界大戦終結の瞬間に思いをはせ、その時どんな音がしたかを知る助けになることを願っています」とコメントしました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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