レビュー

ありったけのビールを客にふるまって稼いでデッキを構築し酒場を盛り上げる「ティーフェンタールの酒場 完全日本語版」レビュー


酒場通りで有名なティーフェンタール村で酒場を経営する主人となって、客をさばいて酒場を盛り上げるボードゲーム「ティーフェンタールの酒場」の完全日本語版が2020年2月20日(木)に登場しました。ダイスを振ってお金を稼いだりビールを生産したりしながら、カードを購入してデッキを構築していくというゲームということで、実際に4人の編集部員で遊んでみました。

ティーフェンタールの酒場 完全日本語版 | ArclightGames Official


酒屋への扉が描かれたパッケージ


ティーフェンタールの酒場の対象年齢は12歳以上、プレイ人数は2人~4人。プレイ時間は60分の想定となっています。


中に入っていたのは、まずルール説明書と追加モジュール説明書。ティーフェンタールの酒場では基本ゲームと、使用するトークンが追加される4パターンが用意されています。


ボードやトークンが収まった厚紙は6枚。


切れ目が入っているので道具を使わずとも簡単に取り外すことができます。


すべてのボードとトークンを外したところ。細かいものを含めてかなりの種類が用意されています。右の赤枠で囲まれているのは、追加モジュールで使用するボードやトークンです。


白い6面ダイス(サイコロ)が16個、青・赤・黄・緑の6面ダイスがそれぞれ3個ずつ。


白・黄色・茶色のキューブ型のマーカーが4つずつと、青・赤・黄・緑の修道院マーカーが1枚ずつ。


ゲーム中で使う各種カード。裏面にはビールの原材料であるホップが描かれていました。


カードにはさまざまな種類があり、酒場のウェイトレスやテーブル、皿洗いや貴族など、バリエーションが豊か。


なお、ゲームのプレイには直接関係ありませんが、箱の内側も酒場を模したデザインとなっていて、目を楽しませてくれます。


◆4人で基本ゲームを遊んでみた
ティーフェンタールの酒場は5つのモジュールで構成されています。モジュール1は追加ルールのない基本ゲームということで、まずは基本ゲームを4人でプレイしてみました。

最初に、各プレイヤーに初期デッキを配布します。初期デッキは、テーブルクロスに色がついている常連客カード7枚と……


「テーブル」「ウェイトレス」「皿洗い」を1枚ずつ。初期デッキは合計10枚のカードで構成されます。


そして、各カードと修道院ボード、カウンター客トークン、色付きダイスを机の中央に配置します。


プレイヤーボードは以下のように組み立てて、初期デッキを左上に置きます。さらに、金庫マーカー(黄)とビールマーカー(茶)をそれぞれ「0」のところに配置。これで準備完了。


「一番最近酒場に行ったプレイヤー」が、ビールをかたどったマーカーをゲットし、スタートプレイヤーとなります。


ゲームがスタートしたら、まず修道院ボードの上にラウンドマーカーを置きます。ラウンドマーカーはラウンドごとに1つずつ進んでいき、各プレイヤーがボーナスを受けます。


次にカードの配置を行います。デッキをよくシャッフルして……


ボードのテーブルがすべて埋まるまでカードを配置します。初期状態ではテーブルは3つなので、客カードを3枚引くまではデッキから引き続けることができます。


客以外のカードが出た場合は所定の位置に置きます。たとえばウェイトレスのカードは、犬がたたずんでいる場所の横に配置。


カードを配置したら、白い6面ダイス4つを振って、出た目のままコースターの上に置きます。


4つのダイスから1つを選び、手元に残します。ダイスを1つ取ったら、コースターを左隣のプレイヤーに渡します。


また、「ウェイトレス」を配置したら、追加で自分のプレイヤーカラーと同じダイスを1つ振り、手元に置くことができます。


4つのダイスを手元に置いたら、今度はダイスをボードに配置します。例えば以下のように、常連客のおじいさんのカードには1の目が出たダイスを置くと、1ダブロン(お金)をゲットできます。


また、ボードにある釣り銭箱は、任意の目のダイスを1つだけ置いて1ダブロンを獲得することができます。


また、酒場ではダブロンだけではなく、客にふるまうビールを生産することも大事。ビールは、任意の目のダイスを1つだけ置くことで1杯生産できるほか、店裏に1の目か6の目のダイスを好きな個数配置して、ダイス1つにつき1杯のビールを生産することもできます。例えば以下の場合、1の目のダイスが2つ、6の目のダイスを2つ、5の目のダイスを1つをに配置。このうち、5の目のダイスは「皿洗い」カードの効果によって目を1つ増やせるので、6の目として使用しています。さらに店裏の右に置かれた「納入業者」カードによってビールの生産量がダイス1つにつき2杯になるので、合計で5×2=10杯のビールを生産できるというわけです。


ビールを消費することで一般客カードを場から購入し、自分のデッキに加えることが可能です。


また、ダブロンは酒場を拡張できる酒場カードを購入可能。それぞれ、一般客カードと酒場カードの左上に書かれているのがカード購入時のコスト。右上はゲーム終了時に得られる勝利点です。


ポイントとなるのは勝利点10点の貴族カード。どれだけ貴族カードを持てるかが勝利の鍵となりますが、左上にコスト表記がないように、入手方法はやや特殊です。


貴族カードは、大量のビールを支払うことでデッキに投入することができます。


また、酒場の拡張を行うことで貴族カードをゲットできます。酒場の各パーツはダブロンを支払ったり、関係するカードをコストとして支払うことでグレードアップが可能です。例えば、皿洗い場をグレードアップするには9ダブロンが必要ですが、皿洗いカード1枚につきコストを3ダブロン減らすことができます。


つまり、場に出ている皿洗いカード3枚をすべて支払うことで……


無料で皿洗い場をグレードアップすることができます。


酒場のパーツを1つグレードアップすると、貴族カードを1枚デッキに投入することができます。


修道院ボードの下部では、カードの効果などで修道院マーカーを進めることができるマスがあります。修道院マーカーを進めることで、さまざまな恩恵をうけることができます。例えば青色の修道院マーカーが通過している以下のマスの場合は……


「うちの店にこの客はちょっと……」という人を出入り禁止処分にする、つまり自分のデッキから排除することができます。初期デッキにある常連客カードは、大したダブロンを生み出さない上に勝利点もないというカードなので、可能な限り出禁にするのが酒場のためになります。ビジネスの世界とはかくもシビアなもの。


そんな感じで酒場を盛り上げながらゲームを進めていき、8ラウンド終了したところでゲームセットです。1プレイは4人プレイでだいたい90分ほど。


ゲームが終わったら、デッキのカードにある勝利点の合計を計算します。1位になったプレイヤーは酒場の施設を積極的にグレードアップし、狙い通りに大量の貴族をデッキに加えることに成功。1枚10点の勝利点を持つ貴族カードは、確実に勝利するためにはどんどん獲得しておくべきといえます。


◆追加モジュールで遊んでみた
次に、モジュール2とモジュール3を追加した状態で遊んでみました。

モジュール2は、芸人トークン3種類とシュナップストークンが追加されます。


また、修道院ボードを裏向けて、モジュール2に対応した冬バージョンに変更します。


モジュール3は、プレイヤーボードのうち、酒場の主人ボードをひっくり返し、白い評価マーカーを主人の上に置きます。評価マーカーがこの酒場主人ボードを動いていくことで、勝利点や特典をゲットできるという仕組みです。


また、一般客カードが追加されるほか、「吟遊詩人」カードも追加されます。「吟遊詩人」は評価マーカーを1マス進められるカード。


評価マーカーが、シュナップスが描かれたマスの上を通過すると、シュナップストークンを1つもらえます。


シュナップストークンは酒場のカウンターの上に配置。


ラウンドが進むと……


芸人トークンがプレイヤーに配られます。例えば以下の芸人トークンは、シュナップストークン1つを2ダブロンに変換してくれます。


シュナップスを芸人に飲ませることで芸人が踊ったり歌ったりしてくれるので、酒場が盛り上がり、酒場にお金をもたらしてくれるというわけです。


他にもシュナップストークン1つを支払うことで、ダイスの目1つを任意の目に変換してくれるという芸人もいます。


ダイスの目を変えることでダブロンやビールの量が大きく変わるので、ここぞというときに芸人にシュナップスをおごると大きなチャンスを生んでくれます。シュナップスと評価マーカーを使うことで、基本ゲーム以上にメリハリのあるゲーム展開が期待できます。


「とにかく毎ラウンドで必ずテーブルと吟遊詩人を買う」という作戦を採ったプレイヤーの酒場が以下。ゲーム後半になるととにかく大量のダブロンとビールを生む大酒場に発展し、他のプレイヤーも「あの酒場だけ盛り上がりが半端ないぞ」と騒然としました。


とにかく毎ラウンドに吟遊詩人が店に現れて歌い上げるので……


評価マーカーが酒場の主人ボードの上をギュンギュン回っていきます。


ゲーム中盤まではデッキ内に貴族カードが1枚しかなく、明らかにポイントで後れを取っていたはずなのですが、終盤に勢いが爆発し、最終ラウンドだけでも貴族カード7枚以上を獲得。


他プレイヤーも嫉妬するほどの大評判を得た酒場は、2位のプレイヤーに100ポイント近い点差を付けて優勝しました。


ティーフェンタールの酒場は、ルールは単純で慣れてしまえばテンポよくサクッと進められるゲームです。「ダイスを振ってその目を利用する」という部分で運は重要ですが、それ以上に「コストを支払ってカードを獲得し、デッキを構築する」ことが勝利のカギとなります。基本ゲームはあくまでも基本ルールに慣れるためのチュートリアルといった印象で、追加モジュールを導入することでゲームの展開に起伏が生まれます。

ルール自体は非常にシンプルですが、「対象年齢12歳以上」とある通り、ダブロンやビールなどの資源を頭の中で覚えて管理することが求められます。ダイスによって視覚化されているとはいえ、「あれをやってこれをやって……」と考えているうちに混乱してしまう可能性もあるので、不安な人はメモをしながらプレイするのもあり。


また、プレイヤーボードが複数のボードで構成されているほか、追加モジュールが多く用意されていることもあって、ボードやトークンの種類がとにかく多く、コンポーネントの管理がかなり大変。そのため、ゲームの準備にはある程度時間がかかってしまうこともありました。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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