世界最大級の密輸事件が発生、約75億円相当の「生きた絶滅危惧種のウナギ」を密輸した男が逮捕され有罪判決を受ける
by cynoclub
日本では「土用の丑の日」などでよくウナギの蒲焼きが食べられていますが、同じ島国であるイギリスもまたウナギのゼリー寄せなどにしてよくウナギを食べています。そんなイギリスで、生きたウナギ約75億円相当を密輸しようとした男が逮捕される事件が発生。その規模から、世界でも類を見ない密輸事件だと取り沙汰されています。
Man found guilty of smuggling £50m worth of live eels out of UK | UK news | The Guardian
https://www.theguardian.com/uk-news/2020/feb/07/man-guilty-smuggling-millions-pounds-worth-live-eels-uk-hong-kong
Seafood trader convicted of smuggling endangered eels in world’s largest wildlife crime - The National
https://www.thenational.ae/world/europe/seafood-trader-convicted-of-smuggling-endangered-eels-in-world-s-largest-wildlife-crime-1.976480
Seafood salesman, 67, convicted of smuggling £53MILLION worth of baby eels from London to Hong Kong | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/news/article-7979179/Seafood-trader-guilty-smuggling-53-million-endangered-live-eels.html
イギリスのニュースメディアThe Guardianは2020年2月7日に、「ロンドンのサザーク刑事法院が本日、66歳の水産物貿易商ギルバート・クーに対し、『無許可で動物を移動させたこと』についての3件の法律違反と、『商品の輸出制限もしくは禁止を回避したこと』についての3件の法律違反で、有罪判決を下しました」と報じました。クーに対する具体的な刑罰は、3月6日に言い渡される予定だとのことです。
クーはイギリスのヒースロー空港で、「冷凍した魚の下に隠した、生きたヨーロッパウナギの稚魚(シラスウナギ)200kg」を香港に輸出しようとしていたところを、国境警備隊に発見され逮捕されました。
イギリス国家犯罪対策庁の調べによると、クーは2015年~2017年にかけての2年間にわたり合計で約1775kgのウナギを違法に輸出したとみられており、取引額は総計で5300万ポンド(約75億円)に及ぶと推定されています。
国家犯罪対策庁の上級捜査官イアン・トルビー氏は「クーが取引したのは絶滅危惧種のウナギなので、クーの事業は最初から最後まで、文字どおり徹頭徹尾違法でした。その唯一の動機は、金銭だったに違いありません」と述べています。
ロンドンにあるクーの自宅からは、スペインやフランスから輸入したシラスウナギを、イギリス南西部の養殖場で飼育していたことを示す書類などが押収されているとのこと。イギリスから密輸したシラスウナギの大半は中国南部の養殖場に送られており、そこから巨大な販売ルートを通じて食料品店などに卸されたと見られています。
ウナギは主に東アジア地域で重宝されている食材ですが、乱獲により地域での漁獲量が激減しているため、ヨーロッパなどから違法に密輸される事件が後を絶ちません。特にヨーロッパウナギは2011年に絶滅危惧種に指定され、ヨーロッパ以外への持ち出しが禁止されましたが、2018~2019年にヨーロッパの10カ国で押収されたウナギの稚魚は合計約6トン、取引額にしておよそ1150万ユーロ(約14億円)にのぼるとのことです。
しかも、これらの密輸は年々巧妙化しており、中国の観光客を装った運び屋や偽の操業許可証を持った漁獲船、アジア人のバイヤーなどが取引に関与していた事例が報告されています。
イギリス検察庁詐欺部門の責任者マリオン・ロングフォード氏は、「この事件でクーの逮捕に尽力した国境警備隊と国家犯罪対策庁には感謝します。私たちは、今回保護された生き物を対象とした犯罪を深刻に受け止めおり、密輸事件の取り締まりと厳正な処罰に全力を尽くすつもりです」とコメントしました。
なお、クーはウナギの密輸のほかに、金塊の密輸を行っていたことも判明しています。
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