最大860ボルトという観測史上最高電圧のデンキウナギが報告される
デンキウナギの発する電気は人間にとっても危険なものですが、これまでデンキウナギの最大電圧は650ボルトだと報告されていました。しかし新たな研究で、650ボルトを大きく上回る、最大860ボルトまで放電可能なデンキウナギを確認したと発表されました。
Unexpected species diversity in electric eels with a description of the strongest living bioelectricity generator | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-019-11690-z
Most powerful electric eel yet puts all other electric eels to shame
https://www.cnet.com/news/most-powerful-electric-eel-yet-puts-all-other-electric-eels-to-shame/
Newly identified electric eel is the most powerful ever found, say scientists - CNN
https://edition.cnn.com/2019/09/11/americas/electric-eel-scientist-amazon-intl-hnk-scli/index.html
サンパウロ研究財団と国立スミソニアン自然史博物館の研究者らは、ブラジル・アマゾンやスリナム、フランス領ギアナ、ガイアナなどから送られてきた107種のうなぎを分析した結果、新たにデンキウナギとして「E. varii」と「E. voltai」を再分類しました。この分類基準として、これまでで初めてデンキウナギの放電の「電圧」が用いられたとのこと。
実際にうなぎが放電する様子が記録されたところ、最大860ボルトの放電があったそうですが、この数字は過去の記録を塗り替えるもの。これまで動物による放電は最大650ボルトとされてきました。
研究者は、うなぎの電圧がうなぎの住みかと関係していることを突き止めました。E. voltaiは高地にある透明度の高い、酸素の多い水の中に生息していますが、この水は塩分の含有量が少ないために導電性が低いという特徴があります。このためウナギが敵を攻撃するにはより高い電圧が必要になるわけです。
E. variiやE. voltaiは最大2.4メートルにまで成長する巨大な種ですが、今回の調査で初めてアマゾンから見つかりました。「科学的な探索が行われてから250年たって2.4メートルの新種の魚が見つかりましたが、あとどのくらい見つかっていない生き物が存在するか想像できますか?」と国立スミソニアン自然史博物館のCarlos David de Santana氏は述べています。
過去250年間にわたり、アマゾン流域にデンキウナギが生息していることはわかっていましたが、どのくらいの種が存在しているのかは謎に包まれていました。長らく科学者はこの地域に生息するうなぎが同じ種であると考えてきましたが、今回の調査で、遺伝物質や頭蓋骨の形状、電圧などを分析した結果、実際にはうなぎが異なる3つの種に属していることが判明したわけです。
研究者は、3つの異なる種が約710万年前に生息した共有の祖先から進化したものだと考えています。
デンキウナギの生態は技術革新にも役立てられており、今回の新たな発見も、技術分野や医療分野で活用される見込みです。
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一方で、うなぎの生息するアマゾンの保護の重要性も叫ばれており、「アマゾンで新種のデンキウナギが発見されたことは、自然の中にはまだまだ多くの未発見の種が存在することを意味します」「この地域は医療やバイオテクノロジーといった他の科学分野でも大きく注目されるところであり、種を保護していく必要があります」とSantana氏は述べました。
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