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新型コロナウイルス対策の隔離政策がアメリカで実施、中国では家族が隔離された子どもが死亡するケースも

by stokkete

世界中に広まりつつある新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は中国・武漢からの帰国者を2週間にわたって隔離する措置をとっています。そんな中、ジョージア州立大学で客員講師を務める医学史研究者のLeslie Leighton氏は、感染症に対する検疫・隔離措置の歴史についてまとめています。

Coronavirus outbreak sparks first federal quarantine in over 50 years | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/01/coronavirus-outbreak-sparks-first-federal-quarantine-in-over-50-years/

Disabled teenager in China dies at home alone after relatives quarantined | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2020/jan/30/disabled-teenager-in-china-dies-at-home-alone-after-relatives-quarantined

Quarantines have tried to keep out disease for thousands of years
https://theconversation.com/quarantines-have-tried-to-keep-out-disease-for-thousands-of-years-130680


2020年1月29日、新型コロナウイルスの発生源である武漢からチャーター便で195人のアメリカ人が帰国しました。これに対してCDCは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために57年ぶりの「連邦検疫命令」を発出。帰国者たちは武漢を出発してから2週間が経過するまで、カリフォルニア州のマーチ空軍予備役基地内で隔離されることになりました。

CDCは今回の隔離政策について、「感染が確認されていない人までをも隔離する命令である」という点で、既に感染が確認された人を隔離する通常の措置とは違うと明確にしています。記事作成時点では195人の帰国者たちの内に感染者がいることは確認されておらず、CDCのNancy Messonnier博士は「これまでのところ、一般のアメリカ人に対する差し迫ったリスクは低い」と述べています。

Messonnier博士は「感染拡大を恐れて不必要なパニックを起こさないように」と警告しており、アジア系のアメリカ人に対する差別などを行わないように呼びかけています。また、アメリカ人が自分たちの健康を守る最善の方法は、石けんと水で頻繁に手を洗い、洗っていない手で顔を触ったりせず、気分が悪い時は家にいるなど、衛生的な生活を心掛けることだと主張しました。

by diego_cervo

一方、中国の湖北省では「家族が新型コロナウイルスに感染して隔離された結果、脳性まひで障害を抱える少年が世話を受けられずに死亡してしまう」という事態が発生したと報じられています。

武漢市を省都に持つ湖北省の農村に住む17歳のYan Chengさんは、脳性まひによってほとんど自力で動くことができず、話すことも困難でした。普段は父親や兄弟がChengさんの世話をしていましたが、2020年1月下旬に父親と兄弟は発熱したため、「新型コロナウイルスに感染した疑いがある」として15マイル(約24km)離れた施設に隔離されてしまいました。

隔離施設から抜け出すことができない父親は、家に残された息子の世話をするように訴えましたが、村の役人は6日間で2回しかChengさんの元を訪れなかったそうです。そして家族が隔離措置を受けてから6日後の2020年1月29日、Chengさんは自宅のベッドの上で死亡しているのが発見されました。

by Will Clayton

Leighton氏は、今回のアメリカや中国が行っている措置のように、病気になった人を隔離するという行動は古くから実施されてきたと指摘。たとえば旧約聖書レビ記13章には、ハンセン病と思われる患者を隔離する措置について記されています。

また、海外から訪れた人や動物、食品が病原体を持っていないかを確かめる検疫のシステムも、元をたどれば「感染症にかかっている疑いのある人を隔離する」措置から始まったものだそうです。1377年、ヨーロッパで流行したペストを防ぐため、アドリア海に面するドゥブロヴニクの港では「ペストが流行する地域からの船は30日間にわたって港に停泊し、30日後に船の全乗員が健康であればペスト感染者がいないとみなして上陸を許可する」という措置をとっていました。やがて停泊期間は40日に延長され、イタリア語で「40」を意味する「quaranta」が検疫を意味する「quarantine」という単語になったとのこと。

その後も検疫システムは変化していき、「旅行者が入港する前に、深刻な病気が流行している地域を訪れていないかどうかを職員が尋ねる」といったシステムへと変化していきました。その一方で検疫の質にはばらつきがあり、政治的な理由で検疫システムが悪用される事例もあったそうです。

さらにLeighton氏は、チフス菌の無症候性キャリアでありながら偽名を使って料理人として働き続け、多くの人々を腸チフスに感染させたメアリー・マローンや、薬物に耐性を持つ結核菌に感染していたと診断されながらハネムーンでヨーロッパを旅行したAndrew Speaker氏の事例を挙げ、個人に対する隔離措置が上手くいかないケースも多いことを指摘しています。「憲法で個人の権利が保証されているアメリカにおいて、旅行の自由を制限して治療を強制することは重大な決定です」とLeighton氏は述べつつも、検疫が公衆衛生当局にとって有用なツールになり得ると認めました。

by davidpradoperucha

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in メモ, Posted by log1h_ik

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