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ユーザーを意図的にだます「ダークパターン」はショッピングサイトで予想より広く使用されているとの指摘

by Soumil Kumar

ダークパターン」とは心理学的な仕組みを用いてユーザーをだまし、企業の利益になる方向へ意図的に行動を誘導するためのウェブデザインのこと。プリンストン大学の研究チームが行った調査により、ダークパターンが幅広いオンラインショッピングサイトにおいて使用されている実態が明らかとなりました。

Dark Patterns at Scale
https://dl.acm.org/citation.cfm?doid=3371885.3359183

Dark Patterns at Scale: Findings from a Crawl of 11K Shopping Websites
https://webtransparency.cs.princeton.edu/dark-patterns/

'Dark patterns' trick you into spending more online - Futurity
https://www.futurity.org/online-shopping-dark-patterns-2230962/


ダークパターンはユーザーを引っかけて利益を得るためのウェブデザインに対し、ロンドンのデザイナーであるHarry Brignull氏が命名したもの。ウェブデザイナーは利益向上を求める上司による圧力や、自身の評価としてデータが過度に重視される環境などにより、ダークパターンを作成するようになってしまうといわれています。

プリンストン大学の大学院生であるArunesh Mathur氏の研究チームは、1万1000個ものショッピングサイトにおける5万個を超える商品を対象にクローリングを行い、既知または新規のダークパターンを探し出す調査を実施。その結果、なんと1254個のウェブサイトで合計1800個を超えるダークパターンが検出されたとのことで、対象となったサイトのうち10%以上でダークパターンが使われていることがわかりました。

研究チームは今回の調査中に出くわしたさまざまなダークパターンの手口について、実際のウェブサイトで発生した状況をもとに解説しています。

◆1:こっそりユーザーの支払額を増やす
こっそりとユーザーの支払額を増やすダークパターンの一例としては、「花を購入した際、勝手にグリーティングカードが購入カートに追加されている」というものや……


「スマートフォンを買う際、勝手にスクリーン保護フィルムが追加されている」といったパターンなどがあります。


また、「ワインの無料配送オプション」にチェックを入れて注文すると……


勝手に定期購入オプションに加入させられているパターンも存在するとのこと。


◆2:ユーザーを急がせる
商品購入の際にはさまざまな情報を照らし合わせて慎重に判断するべきですが、ダークパターンの中には「偽のカウントダウン」を表示し、ユーザーに「早く買わないと」と思わせる手口も存在します。ショッピングサイト上のカウントダウンの中には本当に期間限定のセールを行っているケースもありますが、ダークパターンを使用しているケースでは、表示上の時間が切れてしまっても問題なく購入できるとのこと。


また、カウントダウンを表示することはなくても、「この割引価格は期間限定です」といったメッセージを表示させ、ユーザーを焦らせる手口も存在します。


◆3:ユーザーに特定の選択肢を選ばせる
ユーザーに商品の購入を迫るポップアップにおいて、ポップアップを閉じる選択肢の表示を小さくしたり……


薄いグレーで選択肢を表示し、まるで選択不可であるかのように見せかけることも、ダークパターンの一種。


中にはカートに商品を追加した後で、「商品をアップグレードしましょう」というポップアップが表示され、選択したものより高額な商品を買わされるケースもあるそうです。


◆4:ほかのユーザーの存在をちらつかせる
商品画面において、「ほかにも○人のユーザーがこの商品に注目しています」などの表示を行い、ユーザーにプレッシャーをかける手口のダークパターンもあります。


また、出所不明のユーザー評価が商品画面に表示されるケースも、いくつかのウェブサイトで確認されたとのこと。


同様の事例として、旅行予約サイトに表示される「○人がこの搭乗券をチェックしています」というメッセージが、実は全くの虚偽であったと判明したケースもありました。

旅行予約サイトの「今あなた以外に○○人が見ています」はウソだったことが判明 - GIGAZINE


◆5:希少な商品だと誤認させる
かなり広く用いられているダークパターンとして、「在庫が残り3個しかありません」といった風に、商品が残りわずかであるかのように見せかけるものもあります。


中には全ての商品に対して「急いでください、残りの数量が限られています!」という文章が表示されるショッピングサイトもある模様。


また、「あなたがカートに入れた商品は需要が高いです」という文言でユーザーにプレッシャーをかけ、購入を急がせるダークパターンも存在します。


◆6:特定の行動を困難にする
メンバーシップへの加入はオンライン上で可能な一方、契約を解除する唯一の方法が「カスタマーサポートに電話する」となっているなど、契約のキャンセルをわざと難しくするのもダークパターンの手口です。


◆7:特定の操作を強制する
商品の詳細を表示させるためにユーザー登録を迫ったり……


「利用規約に同意」すると同時に、自動でプロモーションメールの受信を許可させるなど、特定の操作を強制するダークパターンもあるとのこと。


今回の調査ではダークパターンを導入するためのサードパーティープラグインの存在も確認できたそうで、Mathur氏は従来考えられていたよりも広い範囲でダークパターンが用いられている可能性が高いと指摘。研究チームは今回の調査結果を、アメリカ議会に提出された「ダーク・パターンを禁止する法案」のスポンサーとも共有しているとのことです。

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in ネットサービス,   デザイン, Posted by log1h_ik

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