ネットショッピングでユーザーを騙すUI「ダークパターン」が違法に
By Don Hankins
ダークパターンとは、ユーザーに知らせることなく製品の購入を実行させたり、料金の発生する仕組みをわかりにくくしたりするウェブデザインのことです。インターネット上で横行するダークパターンを取り締まる法律「The Consumer Rights Directive」がついにEUで2014年6月13日に施行され、ダークパターンのいくつかが違法になりました。
Some Dark Patterns now illegal in UK – interview with Heather Burns | 90 Percent Of Everything
http://www.90percentofeverything.com/2014/08/26/some-dark-patterns-now-illegal-in-uk-interview-with-heather-burns/
ウェブデザイナーであり、消費者の権利に関する書籍を執筆したこともあるHeather Burns氏によると、新しい法律で禁じられることになったダークパターンは「Hidden Costs」「Sneak into Basket」「Forced Continuity」の3つ。
「Hidden Costs」とは、オンラインショッピングのチェックアウト画面で、配送料金や手数料などをユーザーの知らないうちに加算することで、今後は何らかの料金が加算される場合、チェックアウト画面より前にユーザーに告知しなければいけなくなりました。住所を入力するまで正確な値段がわからない配送料金についても、「配達先の場所によっては追加で料金が発生することがあります」とチェックアウト前に、ユーザーに告知することが義務づけられます。
By sea turtle
また、航空券の料金が300円で、購入画面に進むと手数料が4500円かかるというような、安い値段でユーザーを誘導し、後から高額な手数料を加算するといったダークパターンも禁止になるとのこと。
決済確認画面でショッピングバスケットに有料のカタログや謎のオプションが追加されていることを指す「Sneak into Basket」は完全に禁止。たとえデフォルトで追加されている製品を手動で取り除けるような仕様になっていたとしてもアウトです。
サービスを無料試用する際にクレジットカード情報を要求し、試用期間が終了すると、ユーザーへの告知を行わずに有料サービスとして継続させる「Forced Continuity」も全面禁止になります。Burns氏の友人は実際にForced Continuityの被害に遭いましたが、新しい法律が施行された今は、試用期間が終了すると有料サービスに自動的に移行する旨が製品の試用開始の際に告知されていなかったという証拠を提出すれば、余分に支払わされた料金を取り戻すことが可能です。
By eFile989
新しい法律が施行されるまで、ヨーロッパではインターネット上の取引に対して1997年に施行された消費者法が適用されており、Burns氏は「時代遅れも甚だしかった」と酷評していました。新しい法律は、「電子商取引に関する古すぎる法律の改正」「EU圏内のユーザーが違う国のユーザーと交わす取引を安全に行えること」そして、「ダークパターンの排除」を目的としています。
しかしながら、新しい法律のThe Consumer Rights Directiveは、別のコンテンツや誘導に偽装するインターネット広告「Disguised Ads」や、無料サービスの見返りとして個人情報の開示を要求する「Forced Disclosure」といったダークパターンには適用されないので、注意が必要です。また、The Consumer Rights Directiveの一般認知が進んでいないので、未だに違法なダークパターンを実装しているウェブサイトもあります。
By Tim Reckmann
The Consumer Rights Directiveの施行がきっかけで、ダークパターンを使用する企業が減ってくれると、インターネット上での買い物がより安全になるので、そうなることを願うばかりです。
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