車上荒らしはBluetoothを駆使して「どの車に高額なデバイスが入っているか」を調べている

by Carlo D'Agnolo

テクノロジーの進歩により泥棒のあり方も変化してきているようで、最近の車上荒らしは無線通信規格のBluetoothを用いて高価な機器を積んでいる自動車を選別していると、ウェス・シラー氏が実体験をもとにまとめています。

Thieves Are Using Bluetooth to Target Vehicle Break-Ins | Outside Online
https://www.outsideonline.com/2406433/thieves-bluetooth-scanner-vehicle-break-in

シラー氏の友人は感謝祭の時期に車上荒らしにあい、MacBookとiPadを盗まれてしまったそうです。車上荒らしは自動車の窓ガラスを破壊し、そこからバックパックだけを盗んでいったのですが、警察によるとBluetoothスキャナーを使用することでMacBookやiPadといった高価な端末がどこにあるのかめどをつけていた可能性が高いとのこと。

友人から「Bluetoothスキャナーを使った車上荒らし」というこれまで聞いたことのない手口を聞いたシラー氏は、すぐにGoogle上で「Bluetoothスキャナー」について調べたそうです。すると、すぐに数十種類のスマートフォンアプリが見つかります。シラー氏が最初にインストールしたBluetoothスキャナーアプリは、周辺のBluetooth信号を検出し、その信号強度を表示するというだけでなく、特定の端末についてはその端末名と写真を表示することも可能というものでした。このアプリを使い、実際に自分の家の中にあった「パートナーが置き忘れていった携帯電話」を見つけることにも成功したそうです。別のBluetoothスキャナーアプリでは、シラー氏の自宅の側を走り抜ける自動車の中にあるスマートフォンやPCといった端末のリストが表示されたそうです。

これらのBluetoothスキャナーアプリはすべて無料で提供されており、使用するのに技術的なノウハウや経験は一切必要ありません。当然、車上荒らしなどの泥棒のために作成されたアプリケーションではなく、開発者がBluetoothを使用する端末を設計する際などに使用されるものだそうです。

by Owen Spencer

シラー氏の友人が車上荒らしにあったのはカリフォルニア州で、同地域では2019年12月時点で車上荒らしが流行しています。警察は公に「泥棒がBluetoothスキャナーを使用している」と警告しており、カリフォルニア州サンノゼ警察はCBSに対して「Bluetooth信号を検出することで車上荒らしのターゲットを決めている泥棒がいる」と語っています。

また、カリフォルニア州サンフランシスコでは2016年から2017年にかけて車上荒らしの件数が24％も増加しており、2018年にはわずかに件数が減少したものの、2019年には記録的な件数になるという報道もあります。

Bluetoothスキャナーを用いた車上荒らしは主要な都市部以外でも流行する可能性が十分にあります。シラー氏はモンタナ州南西部在住だそうで、近所には人気の登山口があるそうです。ここでも車上荒らしの報告がしばしば挙がるそうですが、記事作成時点では基本的にBluetoothスキャナーを用いた最新の手口ではなく、財布などを狙った従来式の車上荒らしとなっているとのこと。しかし、Bluetoothスキャナーはスマートフォンさえあれば誰でも手軽に利用できてしまうため、都市部で流行しているような高価なデジタル機器をターゲットとした車上荒らしが登場する可能性も十分にあると指摘しています。

by Steinar Engeland

Bluetoothスキャナーを用いた車上荒らしへの対策として、Popular Mechanicsは「端末を機内モードにする」「電源を切る」といったものを挙げています。一部の端末はスリープモード中にBluetooth信号を発するケースがあるため、ノートPCなどの場合、天板を閉じてスリープにするだけではBluetoothスキャナー対策としては「不十分」とシラー氏は述べています。

他にも、Bluetooth信号などを遮断するケースに電子機器をまとめて収納する方法や、貴重品を車内に置きっぱなしにしないという方法も挙げられています。