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Amazonが米国防総省のクラウド事業入札競争に敗れたのは「トランプ大統領の政治的介入のせいだ」と異議申し立て

by Michael Vadon

2019年10月、アメリカ国防総省が推進してきたクラウド事業「Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI)」を、事前の予想を覆してMicrosoftが受注したことが報じられました。この入札競争について、Amazonが「入札に関してドナルド・トランプ大統領による不正な介入があった」と主張し、裁判所に対して異議申し立てを行っています。

amazon-jedi-appeal.pdf
(PDFファイル)https://regmedia.co.uk/2019/12/09/amazon-jedi-appeal.pdf

Amazon: Trump photon-torpedoed our $10bn JEDI dream because he hates CEO Jeff Bezos • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/12/09/jedi_contract_complaint_amazon/

Amazon: Trump used “improper pressure” to block AWS from DOD cloud contract | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2019/12/amazon-sues-dod-claims-trumps-improper-pressure-blocked-cloud-contract-win/


JEDIとは、アメリカ国防総省が運用している400カ所あまりのデータセンターに分散保管されている全データを、クラウドに移行して一元管理しようというプロジェクト。事業の性質から契約相手となるのは1社のみであり、最大10年間で上限額10億ドル(約1兆1000億円)という超高額な事業として注目を集めました。入札競争にはAmazon、Google、Microsoft、Oracleなどの名だたる大企業が参加しましたが、事前の「Amazonが圧倒的に有利」という予想を覆し、Microsoftが勝利を収めました。

米国防総省の1兆円超のクラウド事業「JEDI」入札競争にMicrosoftが勝利、大本命のAmazonは敗れる - GIGAZINE

by anandirc

JEDIの落札を逃したことに対し、Amazonは「Microsoftが勝利した背景には政治的な介入があった」として批判を展開。2019年11月には裁判所に異議申し立てを行いAmazonウェブサービス(AWS)アンディ・ジャシーCEOも入札に関して重大な政治的介入があったと主張。2019年12月には、「重要な意思決定が正しく実行されないことは、国家と民主主義にとって本当の危機だといえます」と述べていました

そんな中、入札への異議申し立てに関してAmazonが裁判所に提出した書類が2019年12月9日に公開されました。この書類で、Amazonは「トランプ大統領の政治的介入が、政府の調達プロセスにおける完全性に疑問を投げかけています」と、介入を行ったのがトランプ大統領であると明言しています。


Amazonはトランプ大統領の介入が政治的スタンスで対立するジェフ・ベゾスCEOを攻撃するためのものだと主張しており、「アメリカ大統領が国防総省の予算を使い、個人的および政治的目的を追求することが許されるべきなのでしょうか?」と批判。書類の中では、トランプ大統領がAmazonに対して繰り返し批判を行ってきた事実や、元国防長官のジェームズ・マティス氏に対し「Amazonを締め出す」ように指示したという証言など、「トランプ大統領が意図的にAmazonのJEDI落札を妨害した」という主張が並べられているとのこと。

また、長期にわたるJEDI入札プロセスの中で行われた基準の削除や変更の中には、AWSの持っている強みや特徴を無視して、入札結果を意図的に変更する以外の目的を果たさないものがあるとAmazonは主張。Amazonが過去に積み重ねてきた実績も入札において適切に評価されておらず、「JEDIの国家安全保障における重要性を考慮すると、過去の実績を無視する策定基準の変更は異常な決定です」と、Amazonは書類の中で訴えています。

by Oleg Magni

なお、Amazonが今回の入札競争の結果に対して不満を表明している一方で、MicrosoftがJEDIを落札する以前には「JEDIの落札に定められた基準ラインはAmazonにしかクリアできず、事実上の出来レースだ」という批判の声もありました。

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by Rudi Riet

「出来レース」としてJEDIの選定基準を批判する人々は、「入札者はクラウド事業によって年間20億ドル(約2200億円)以上の収益を上げている」「複数のデータセンター間の距離が150マイル(約240km)以下」「サーバーのRAMが32GB以上」といったさまざまな仕様は、いずれもAWSが入札競争を有利に進めるためのものだと指摘。また、過去にAmazonをコンサルティングしていたサリー・ドネリー氏が、マティス氏のトップアドバイザーとして基準策定に関わっていた点も、連邦法に違反していると指摘されていました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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