Qualcommが「5G対応iPhoneの開発が最優先事項」と語る
AppleとQualcommの関係は複雑で、過去にはiPhoneに搭載されているチップや特許ライセンス料を巡って泥沼の訴訟合戦が繰り広げられたこともあります。両社は最終的に2019年4月に和解したのですが、その後、Qualcommのクリスティアーノ・アモン社長が同社にとっての最優先事項として「5G対応iPhone」の開発を挙げるほど密接な関係を築くに至っているようです。
Qualcomm President: We're Driving Hard Toward the 5G iPhone | News & Opinion | PCMag.com
https://www.pcmag.com/news/372343/qualcomm-president-were-driving-hard-toward-the-5g-iphone
Qualcomm president says ‘priority number one’ is working with Apple to develop a 5G iPhone - 9to5Mac
https://ww.9to5mac.com/2019/12/04/qualcomm-5g-iphone-12/
AppleとQualcommは和解後、複数年のライセンス契約を結んでいて、協力関係にあります。アモン社長はQualcomm主催の年次会議「Qualcomm Snapdragon Tech Summit 2019」の中で、「Appleとの関係における最優先事項は、できるだけ早くスマートフォンを出すことです」と語り、5G対応iPhoneの開発が最優先であることを示しました。
アモン社長の話からうかがえるように、Qualcommは5G対応iPhoneに対して5Gモデムを提供することとなる予定です。しかし、「RFフロントエンドのすべてを実装するわけではない可能性がある」とテクノロジー系メディアのPCMagは報じています。なお、RFフロントエンドというのは無線通信用のアンテナ・シグナルチューナー・パワーアンプといったコンポーネントが集まった回路です。
アモン社長はAppleとの新たな関係について、「Appleと複数年のライセンス契約を結んでいます。この契約は1年でも2年でもありません。Snapdragonのモデムで複数年です。ただし、(関係を構築することが)非常に遅れたためフロントエンドには期待していません」と発言しています。これについてPCMagは、AppleのiPhone開発サイクルは比較的長いため「2019年4月に両社が和解したタイミングは、5G対応iPhoneにQualcommのRFフロントエンドを統合するには遅すぎたのかもしれない」と指摘。
さらに、アモン社長は「恐らく我々は望むよりも遅いタイミングで和解に達しました。しかし、できる限り多くのことを成し遂げるため、Appleがこれまで行ってきたことを可能な限り活用しようと取り組んでいます。そのため、iPhoneの5G対応はスケジュール通りとなる予定です」と発言し、すべてが理想通りに進んでいるわけではないものの、5G対応iPhoneの登場は予定通りのタイミングになるとしています。
従来の通信システムよりも多くの信号を受け、調整・圧縮する必要がある5G通信では、RFフロントエンドの重要性がより高まっているとのこと。なお、Qualcommは5G対応モデムである「Snapdragon X55」を「モデムRFシステム」とも呼んでおり、このモデムチップのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、Qualcomm独自のRFフロントエンド回路を利用することを推奨しています。
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